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VRMMOの世界で怖いお兄さんをしています〜本当はVRでお茶会エンジョイしたかっただけなのに〜  作者: 春咲 イブキ
第1章

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第3話 サービス開始

 

 ついに、サービス開始の日が来た!

 

 一週間はとても長かった。

 平日の仕事中は、『Fantasy (ファンタジー) Journey(ジャーニー)Onlineオンライン』を思い返してはそわそわしてしまって、普段より集中力がなかったし、あの世界でやりたい事がたくさん浮かんで大変だった。だけど、人に迷惑をかけるほどの遅れやミスもなく、一週間乗り越えられたので一安心だ。

 

 実は今日もそわそわしてしまって、サービス開始は10時からだから早起きをしても意味はないのに、無駄に5時半に目が覚めちゃった。こんなに早く起きるつもりはなかったんだけどね。

 でも、休日である土日は時間いっぱいゲームをしたかったから、早起きした時間を使って作り置きのおかずを大量に作っておくことができたのは大きい。これで、今日と明日のご飯も手軽に済ませられるし、仕事に持っていくお弁当のおかずにもなる。良いこと尽くしの早起きだった。

 まぁ、それでも、時間が余っちゃって、洗濯をしたり掃除をしたり人間に必要な生活をこなしていってもまだまだ時間があったので、何度も繰り返し楽しんだモンスター討伐やチュートリアルをおさらいをして過ごしていた。

 もちろん、とっくにプレイヤーランク5には到達しているけどね。


 あ、モンスター討伐楽しかったよ。ピース。

 受注できたのは『ホーンラビット』と『ホーンフロッグ』だった。名前の通り角の生えたウサギと、角の生えたカエル。

 ウサギって可愛いから倒すの苦手かもなーと思いながら受注したら、全く可愛くなくて罪悪感なく倒すことができた。なんだろ……、ふわふわもふもふですらなかったし目つきは悪いし、凄く殺意が高い顔をしていたよね。

 カエルは、……カエルはね、ちょっとトラウマ。ベタベタしてたよアイツ。というか、ベタベタする液を吐き出してきて、それをもろ被った。その時選んでいた武器が片手剣だったのに、切るというよりかはパニックで泣きながら剣でぶん殴ったよね。それはもう、大号泣しながら。顔に似合わない真似をしてしまったので、反省反省。

 あと、戦闘が終わったらベタベタが取れたのが救いだった。


 因みに、一度もダメージを受けずに倒せるようになるまでは練習したよ! 平日の、仕事から帰ってきた少しの時間だけしか出来なかったけど、全武器種がんばった。

 …………大多数が、最初からノーダメクリアできる雑魚敵なのかもしれないけどね。仕方ないよね、うん。

 その時の経験から、弓、それか片手剣をメインにしようかなーって思った。雑魚敵なのは大きいんだろうけど、弓で遠くから倒すのが一番殴られなくてよかったんだよねー。

 

 あ、でも、今は魔法を覚えていないから杖が打撃武器になっているだけで、スキルポイントを割り振れば魔法も覚えられるので、また別かな。折角のファンタジーゲームだし、一つくらい魔法を使いたいよね。


 …………え、それで片手剣もメインにしたい理由? それは……、ただ単に、このアバターで剣振ってる姿が格好良くて良いな、って思っただけです。へへ。

 


「あ」

 やっと、9時55分!

 因みに、サービス開始時刻までFJOのチュートリアルをプレイし続けていても、そのままオンラインサービスには移行しない。

 そのまま開始できたら楽なんだけど、一度ログアウトしてから、もう一度プレイを開始しないといけないと公式サイトでアナウンスがあったので、『冒険開始』前の仮想空間部屋で大人しく待機している。


「……えっと、トイレも行ったしご飯もしっかり食べた。体調だって悪くないし、あとは時間を待つだけ、だよね?」


 何か忘れていることがあって、すぐに出来なかったら悲しいからと、何度も何度も公式サイトとにらめっこして確認してしまう。


「…………なんか、もっかいトイレ行きたくなっちゃった。強制ログアウトになっても困るし、行ってこよ!」

 


 お手洗いに行って、急げ急げ、ともう一度仮想空間に戻って時計を確認すれば、現在の時刻9時59分。危ない、始まっちゃうとこだった。秒数まで表示してみたら、45秒。やばい、やばい。

 もうやることはないよね? あとは、10時になるだけ。

 

「…………5、4、3、2、1」


 10時に切り替わった瞬間、『冒険開始』をぽちっと押した。本当は押さなくても、脳波読み取りによる思考や視線操作も出来るけど、アバターの指でしっかり押した方が確実感があって私は好き。もし、上手く読み取られなくて遅れても嫌だしね。

 

「わぁ……! っ、と、と?」

 先程までの仮想空間の部屋から一転、大自然が広がって壮大な音楽と共にオープニングが流れ始める。FJOの世界を俯瞰して見ているようで、まるで空に浮いているかのようだ。

 そのまま、ぐわぁっと足元の映像が動いていくから、映像につられて転ぶかと思った。運動音痴なのがバレる。…………バレてるか。


 

『──君だけの旅路を』


 その一言を最後にオープニングは終わり、視界が暗転する。気が付けば、木の温もりを感じる部屋に立っていた。

 

『ようこそ旅人さん! お名前を教えてください』


 ぽん、と音を立ててウィンドウが出現する。名前かー、考えてなかった! えーっと、被りはだめ、なるほど。じゃあ急がなきゃ。


「よし、髪色から『ネイビー』……あ、いけた」


 じゃあ、今日から私は『ネイビー』だ。……喋るときは一人称も変えた方が良いのかな、イケメンだし。怖いお兄さん顔なので、ここは一人称『俺』だと思う。それで、敬語で喋ってたらかなり萌えません? うん凄く良いと思うので、そうしたい所存。


『お名前の入力が完了しました。……チュートリアル完了済みを確認。処理中ですので暫くお待ち下さい』

「はい」 

『……完了しました。こちらは、ネイビーさんのマイルームとなります』

「えっ」


 最初っから家もらえるんだ……。

 しかも、職業旅人なのに、家あるんだ……。早く定職につけ、って言う圧力かな??

 ふふ、でも序盤からお茶会し放題ゲームってことじゃん。

 

『マイルームの説明をお聞きしますか』

「お願いします」

 

 マイルームの説明を聞いてみたところ、外には小さなお庭もあるらしい。家具を置いても、家庭菜園をしても何でも自由に出来る。マイルーム自体は、ミニログハウスって感じの様相で、木の温かみを感じられて可愛い。小さめだから、沢山の人は呼べないかな?

 マイルームの注意事項としては、旅人(プレイヤー)は呼ぶことが可能だけど、住民(NPC)を呼ぶことは出来ない。住民(NPC)を呼びたい場合は、現地に家を持つように。……だそうだ。ここは、異空間らしいね。

 また、マイルームはプレイヤーランクを上げることによって、機能が充実していくそうだ。大きくしたかったら、まずはプレイヤーランクを上げないといけないし、大きくするのにもお金と材料が必要らしい。……どのゲームも金策は大事だよね、頑張らなきゃ。

 

『これで以上となります。良い旅路を──』

 

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