表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/90

第26話 テーブルクロス


 帰ってきましたマイルーム!


 露店を開けたし、リンゴも買えたし、今回のお出掛け任務は大成功。からかいを受けたり、とちょっと恥ずかしいトラブルは有ったけど概ね大満足の結果です。


 あとは、露店に出した物たちが売れたらいいなーって願うだけ。


 それでは、これから更に売るものを作っていこうと思います!



「……そう言えば、ヨツバくんにテーブルクロス頼まれているんだった」


 うん、忘れてたよ。約束すらすぐ忘れる自分が嫌になるね。じゃあ、まずはテーブルクロスを作ろうと思います。どんな物がいいか分からないので、ヨツバくんにメッセージを送る。


『テーブルクロスって、どんな物がいいですか? 色とか』

『ネイビーさんのオススメで!!』


 秒で返ってきたと思ったら、オススメって……。一番難しいのがオススメじゃない? 何色が良いとか、格好良いの、可愛いの、とかなにかしら要素があったほうが作りやすいと思うのは私だけかな?


 …………まぁいいや。10種類くらい作って選んでもらおう。そして、余りは売ろう。


 私が勝手に名付けたトゥエ柄、もといエスニック柄を5種類選んで持ち物から取り出した。一々、持ち物を漁るのは面倒なので、必要そうなものをどんどん取り出していく。

 布以外には、レースも出してみた。端に縫い付けても可愛いなぁと思ったんだよね。レースを付ける物と、私のテーブルクロスと同じようにタッセルを付ける物の2種類作ろうと思ったので、5種類に合いそうな刺繍糸も選んでおく。

 1つの柄の布でレース付きとタッセル付きを作って2枚、それを5種の布で作ろうと思うので、全部で10枚です。


 よし、準備はオッケー。

 それで試してみたいことがあるんだよね。


「…………お、やっぱりできた!」


 私が使ったのは型紙機能。一度作ったテーブルクロスを型紙に登録できないかなーと思って試してみたところ、無事登録できました! やったね、ピース。


 これで、一枚一枚大きさを調整してチャコペンを引く作業とはおさらばです。『型紙』『テーブルクロス』『転写する』を選択していけば、布に線が描かれるので、後は縫い代を気にしながら切っていくだけ。わーい、簡単だー!

 しかも、テーブルクロスって直線に布を切って、真四角の布を切り出せばいいだけだから、『裁縫』の『直線』機能も使える。わーい、更に簡単だー!

 

 ほんと、広い作業机がないから、布に線を引く作業だけでも凄く大変なんだよね。型紙があるものはそういうのをスキップできるから大助かり。


 10枚共切り終わったら、『アイロン』機能を駆使して全部の端を三つ折りしていく。毎回機能を変えるのは面倒なので、一つの作業は一気にこなしてしまう。

 全部アイロンができたら縫う作業です。縫うときに、レースも一緒に縫っちゃおうかな。……うん、そうしよう。


 現実だったら、一緒に縫うとかいう難易度の高いことは絶対にしなかっただろうけど、この器用ステータスがあればなんとかなるかなーって思ったんだよね。

 レースは、柔らかい糸を編んだような物だ。色はオフホワイト。これ縫い付けるの絶対激むずだと思うんだよね。でも、なんとかなる、って思えちゃうんだ。器用の恩恵を今までの生産で感じてきたからね。


 よーし縫うぞー!!



 

「出来たーー!」


 5枚分の布の端を、レースも一緒に縫うことが出来ました。めちゃ可愛いー!

 思った通り、エスニック柄と編んで作られたレースの相性はばっちりでした。めちゃくちゃオシャレで素敵だね。


 因みに、残り5枚の布も、普通に端を縫うだけなので、それも縫い終わってるよ。私ってば仕事が速い。


 じゃあ、レースが付いてない布に付けるタッセルを作って行きましょう。これも何度も作ってるから簡単。……未だ、椅子の手すりを活用しないといけないのはどうかと思うんだけど、序盤だし仕方ない仕方ない。

 タッセルを…………えーっと、1枚に4個使うから、5枚分で20個だね。よし、サクサク作っていきましょう!!


 …………20個は作り終わったよ。終わったんだけど、端全部がタッセルで埋められてるテーブルクロスもオシャレじゃない?とか思いついちゃった。どうしてくれようかこの脳みそ。角だけじゃなくて、端に全部って一体何個作れば良いんだ……。


 うん、忘れよう。今のは考えなかったことにした。

 今の私にそこまでやる気力はないのでね。ほら、これってゲームだからさ、楽しい範囲でしかやりません。


 …………まぁ、ちょろいので、誰かがそういうものが欲しい、って頼まれちゃったら作っちゃうかもしれないけど、うん。フラグじゃないよ、たぶん。



 はい、気を取り直して、タッセルの縫い付け作業を行います。これも慣れたね。……本当にこの付け方でいいのかは知らんのだけど、取れないし、なんとかなってるし大丈夫でしょ。見た目的にも悪くないし。

 見た目が良ければ全て良し!


 

 〈裁縫レベルが8に上がりました〉


「10枚かんせーい」


 わーい、と手を挙げて喜びに浸った。お願い『ネイビーくん』、このくらいは許してください。

 よし、ヨツバくんにメッセージだ!

 

『テーブルクロスいくつか作ったので、お暇なときに選びにきてください』

『早速作ってくれたんですか? ありがとうございます! というか、選んでいいんですか!?』

『はい』

『今から行きます!!』

 

 今から来るのか。フットワークが軽いなぁ。まぁ、私も困らないので『待っています』と送って、ヨツバくんの訪れを待つ。



 ◇ ◇ ◇



「わぁ……すごい…………! どれもオシャレですねぇ……タッセル付きは格好良いし、レース付きは可愛いです。布の柄は同じなのに、タッセルかレースかでかなり雰囲気が変わりますね……どれもめちゃくちゃ良いです…………」

「ありがとうございます」


 そうだろうそうだろう。もっと褒めたまえよヨツバくん。

 褒められた分だけ私は調子に乗って、ヨツバくんが気に入りそうなものを量産するぞ。ふっふっふっ。

 私はちょろいのでね。ちょろくなかったら、人の分までテーブルクロスを作ってなかっただろう。だってこれ、売れるか分かんないじゃん?

 序盤で、マイルーム用のアイテムを買う人なんてエンジョイ勢ぐらいだろうし、エンジョイ勢はエンジョイ勢なので総じてお金が無い。

 そう、私みたいに。……うっ、ダメージ受けた。


「うぅん、……これっ、にします!! めちゃくちゃ悩みました……!」


 ヨツバくんが選んだのは、黄色から黄緑色が多く使われた明るい柄で、たまに差し色の様に濃くて深い緑色が入る物だった。それで、レース付き。

 うん、柄に曲線が多いのもあって、クローバーぽくてヨツバくんに似合ってると思う。レースもシロツメクサっぽくも見えてきて可愛い。


「僕、色的には青が好きなので、青系統の物にしようかなとも思ったんですが、直感がこの布が良いって言ってるようで目が離せなくて…………これに決めました」

「直感も大事ですよね。柄もヨツバくんに似合ってると思います」

「わ、ありがとうございます! それじゃあっ、買わせてくださいっ。いくらですか?」

「いくら……まだ決めてないんですよね。いくらがいいと思いますか?」

「僕が決めるんですか!?」


 ヨツバくんは素っ頓狂な声を上げている。ごめん、そうもなるか。自分で決められないお姉さん(お兄さん)でごめんね。


「あ、露店に、値段を自動設定できる機能があるのでそれを参考にするのはどうでしょうか?」

「いいですねっ! …………と、いうか、露店開いたんですか? 教えてほしかったです……」


 ヨツバくんがしょんぼりしてしまった。感情豊かで可愛いね。……愛でてる場合じゃないか。


「露店を開いたのは、ついさっきなんです。テーブルクロスを作る前に開いたばかりで、まだ大した商品もなかったので…………それなりに充実したら教えるつもりでしたよ」


 …………ごめん。教える、って思考はなかったんだけどね。嘘も方便です。お茶会のための金策だったし、露店を開いたってことを教えて欲しいものだとは思わなかった。……でも、翌々考えたら、ヨツバくんが、実は生産していて何か露店で売っているのに、それを知らなかったら私も悲しかったかも。

 こういうの気を付けていこう。


「じゃあ、露店に行きましょうか。……俺はマイルームから飛べるんですが、ヨツバくんはどうしたら…………」

「あ! 僕をネイビーさんのパーティに入れてくれたら大丈夫です! 一緒に飛べます!」

「そうなんですか? 便利ですね」

「便利ですよねぇ……」


 パーティ申請がすぐに飛んできたので秒で承認。うむ、ヨツバくんがパーティメンバーになったぞ。…………ねぇ、私気が付いてなかったんだけど、メンバーの一覧から人のレベルも確認できるじゃん。

 ヨツバくんも口頭でレベルを聞いてくるから、他の人には確認できないもんだと思ってた。だけど、レベル……確認できた…………。

 ヨツバくんのレベルは────27レベルでした。

 早くない? 生産せず戦闘しかしてなかったら普通なの、何なの……? 怖いよぉ。


 私は見なかったことにした。得意ですこう言うの。


「じゃあ、露店に行きましょう」



 ◇ ◇ ◇

 


「……エッ」

「……は?」

 

 露店に飛んだ瞬間、目に入った光景に私は絶句した。隣のヨツバくんも声を漏らして動揺しているのが伝わってくる。


 あれは、悪意しかない。

 

 初めてフレンドになったヨツバくんもワールドチャットの皆さんも優しかったから忘れていたけど、MMOだという覚悟がまだ足りていなかったのだろう。

 その光景を見て、一番に思い浮かんだ言葉は『泣きそう』だった。その言葉しか浮かばなかった自分が情けなかった。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ