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VRMMOの世界で怖いお兄さんをしています〜本当はVRでお茶会エンジョイしたかっただけなのに〜  作者: 春咲 イブキ
第1章

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第22話 魔法習得速度上昇


「魔法習得速度上昇……? なんか凄そうです、ね?」


 私は間抜けに呟いた。なんか凄そう、としか感想が浮かばなかった。

 

「凄そうなんじゃなく、凄いんですよっ! レアですレア……! ネイビーさんは凄いと思ってましたけど凄すぎます」

「はぁ……」


 いまいち実感が湧かない。ぶっちゃけ他ゲームでも、効果とか、どう凄いのかをちゃんと理解せず、攻略サイト丸パクリ装備で遊ぶ人間は私です。


「どう凄いんですか?」

「…………えへ、正直この効果が付いたものは初めて見たので、細かくはわかりません! でも、魔法を覚えようと練習してるプレイヤーばかりなので、めちゃくちゃレアな効果だと思います!! あの、少し試してみてもいいですか」

「? ど、どうぞ?」


 何を試すのかも分からないまま承諾する。こういうところが自分の良くないところ。

 

「……わ、凄い! さっきよりも体内魔力が動かしやすくなりましたっ!」

「…………気の所為とかではなく?」

「気の所為じゃないですよ! ……たぶん」


 多分なんだ。ヨツバくんも確信持ててないじゃん。


「えー本当に僕がもらっていいんですか?」

「良いですよ。ヨツバくんに似合うものを、と思って作ったので返されても困ります」

「やったあっ、ありがとうございますっ!! 僕、これで頑張って一番に魔法スキル覚えます!」

「一番に……。えっ、もしかして、まだ魔法スキル解放してる方いないんですか?」

「いないです!」


 マジ??? まぁ確かにまだ開始してから2日目、とはいえ、誰かしら取得出来ていそうなのに。


「あ、内緒にしてる方とか、ワーチャや掲示板に興味ない方が解放していたら分からないですけどね」

「そう、ですよね」

「あと、このワンピースは効果が『習得』なので、『取得』後にも効果があるのでは……、と予想が立てられるので嬉しいです!」


 ほぇ〜なるほど。そこまで思い浮かばなかった。

 


 そうやって話していたら視界の端で点滅が見える。あ、これって、空腹通知じゃん。

 

「あ、ごめん……いえ、すみません? 満腹度やばいのでお菓子もらいます」

「あ。どうぞどうぞ!」


 ヨツバくんが持参してくれたお菓子をもぐもぐ食べていく。美味しい〜!

 どのお菓子も美味しくて、どんどん食べていく。うん、これは満腹度関係なく食べたい美味しさだね。……満腹度100になった場合、食べ物って食べられないのかな?

 というか、これってほぼお茶会では? お菓子片手にお話してるのって、お茶会に分類してもいいものだよね?


 やったーー!! 私、お茶会楽しんでる!!


 

「……それで、ですね。僕、ネイビーさんの作業を見ながらワーチャや掲示板も見てたんですけど、この効果の報告は見掛けなかったんですよね。……まぁ、僕も報告する気がないので、秘匿の可能性が高いとは思いますが…………」

「…………まぁ、まだ誰も取得していないならそりゃあ秘匿しますよね」

「そうですね」


 ヨツバくんの話は続く。

 魔法スキル解放は、体内魔力の制御が安定したらされるんじゃないかとか、『魔法』と一纏めじゃなく『火魔法』とか個々で覚えていく場合はその詠唱も覚えてからなんじゃないか、とか。

 『生産』スキルの場合は、一つ作品を作り上げる必要があるので、もしかしたら『魔法』も何か魔法を発動できるまではスキル自体も解放されないんじゃないかって予想も立てられているらしい。

 

「僕、魔法を個々で覚えていく場合は、光魔法とか聖魔法みたいなの覚えたいんですよね。それで、聖女になるんです」

「聖女……」


 大きく出たな。でも聖女ロールプレイとか良いよねー。私の好みとしても、僕っ娘聖女であり男の娘聖女、とても良いと思います。


「このゲーム、たくさんのスキルや職業が用意されているらしいので、『聖女』って職業もあると思うんです。僕の目標は聖女の職業を見付け出すことです!」

「……良いと思います」


 すごいなぁ。私はそこまで明確な目標を持ってゲームに取り組んでないから、ちょっと憧れる。私は、その瞬間が楽しければいいと思っていて、辛い努力とか避けちゃう。ゲームでまで苦労したくない、って思っちゃうんだ。


「凄いですね。……俺は、大変そうなこととか避けてしまうので」

「エッ。僕からしたら裁縫のあの作業は大変そうでしたが!?! 今回だって6時間もかけて作ってたじゃないですか、大変なこと避けられてないですよね!?」

「裁縫は楽しいので。……6時間楽しい時間でしたよ」

「えぇ……。意見の相違があると思います……」

「ヨツバくんだって、6時間俺に付き合ってくれたじゃないですか。その間、魔力制御?の練習をしていたんですよね」

「そうですけど……僕は休み休みでしたし、裁縫の見学をしたり、ワーチャや掲示板を見たりしてましたし……。そんな、ネイビーさんみたいに一つのことを黙々と取り組むのは凄く大変だと思うんですけど……」

「…………ヨツバくんも言ってましたけど、意見の相違ってやつですね。ほら、裁縫はやれば確実に終わりますけど、『魔法』スキルの解放も『聖女』の職業探しも確実な正解がないのでいつ終わるか分からないじゃないですか。そういうもの、って私…………俺は、苦手なんですよね」


 うん……話しながら考えがまとまってきたけど、短期的に終わりが見える物しか自分には取り組めないと思う。長期的な目標を持って、出来るか出来ないか分からなくても出来ると信じて取り組むってかなり凄いことだと思うんだよね。長期的な物だと、一つ間違えたら立て直しようがない気がして怖いし。

 

 私は、現実でも、長い計画を立てなきゃいけなくなるとパニックを起こす。凄く、苦手なんだよね。

 

 今日だけ集中したら終わるものは良いんだけど、1ヶ月とかやらないと終わらないものとか、すんごく苦手。この計画通りに行くのか不安だし、ちゃんと自分が継続できるのかも不安。

 仕事だと仕方ないから頑張るしかないんだけどね。まだお金をもらってる、と思うと頑張れる。

 

 逆に趣味とかは、頑張ることが強制されるものじゃないから頑張れない。


 楽しい、って範囲内でしか動けない人間だよ私は。

 そんな大層なものではないのだ。

 

 それに、私は『ネイビーくん』に大剣を持たせてあげたい、とは思っているけど、自分で見付けたいとも見付けられるとも思えない。誰かが見付けてくれて、それでいて使い方のコツも確立されてから使いたい、とも思ってる。

 怖いじゃん。もし思いっきり間違えた運用をしていて、指さされたら……とか、考えちゃうし。『ネイビーくん』に恥をかかせたくない。


「うーん…………正解がないからこそ、間違えようがないって僕は思います! 間違えても、誰にも間違いかどうかすら分からないんですし! それに、一番はワクワクします。誰にも見付けられてない物を僕が一番に見付けるんだ、と思うとワクワクするんです。…………もし、一番に見付けられなくても、『聖女』って職業があるんだって知れるだけでも、僕はわくわくしちゃうと思いますけどねっ」


 えへへ、とヨツバくんは可憐に笑ってる。

 そういう考えもあるんだなぁと素直に感心する。『正解がないから間違えようがない』、かぁ…………。私は間違えること、って怖くて苦手だったんだけど、そう思えば少しは頑張って見れるかも。


 と、言うか、『魔法習得速度上昇』の効果からかなり脇道に逸れちゃったな。ヨツバくんも気が付いたのか、あーって口を抑えてる。


「と、とにかく、ネイビーさんの作ったこのワンピースによって、僕の夢は一歩近付いた、ってことです! ありがとうございますっ!!」

「……こちらこそ、ありがとうございます」

「それで、ですね! まだ聞きたいことはあるんです」

「聞きたいこと、ですか?」


 聞きたいことってなんだろ? 私に答えられること?


「この布って何素材なんですか? 珍しい効果が出たのは、素材由来なのかどうなのかも、気になりまして……」

「素材…………? 気にしてませんでした」

「…………。ええっと、いくらしました? 高そうなんですが」

「…………覚えてません。衝動買いしたので」

「えぇ……」


 引いてる。ごめんヨツバくん。


「布まだ余ってますよね? 確認してもらっても良いですかっ!?」


 鬼気迫る顔をしたヨツバくんに詰め寄られたので、私はコクコクと頷いた。


 


  

 

ブクマ、評価、いいねありがとうございます。

皆さんのおかげで、本日VRゲームの日間16位にランクインしていました!とても嬉しく喜んでいます。

《追記》VRゲーム日間6位!めちゃくちゃ嬉しいです、ありがとうございます!

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