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第20話 ログイン2日目 ワンピースを作ろう


 起きました。只今の時刻は6時。

 ゲームは7時からやろうと思ってるので、ご飯やら洗濯やらを急いで行っていく。

 

 なんで7時かって言うと、こっちで7時から始めれば、ゲーム内時刻では4日目の22時となる。なので、ギリギリ4日目に滑り込みたいな〜っていう算段。

 

 寝ている間に3日目が終わっちゃって、4日目も終わりそうなのが寂しいんだよね。時間加速って、こういうところが寂しい。ログインをしてなくても、あっという間にゲーム内で時間が経ってしまう。

 まだ仲の良い住民(NPC)ができていないから良いけれど、もしもできた場合は結構大変かも。上手く説明ができる自信がないよ。ほら、隣人が突然数日姿を見せない、って絶対怖いよね……?

 月曜からは私も仕事だし、知らない内にゲーム内で時間がどんどん経っていくんだろうなぁ。まぁ、ゲームが4倍出来て嬉しいんだけどね。それのおかげで、仕事が終わってからも、1時間遊ぼうとするだけで、4時間も遊べるわけだし。


 

 よし、ご飯とか全部完璧に終えました。

 今日も一日FJOを楽しんていくぞー!



 ◇ ◇ ◇



 ログインしました。

 よーし、22時だ。4日目に滑り込み完了。


 取りあえず買い置きしておいた『ラビットベアの肉挟みパン』を食べて空腹を回復させる。何度食べても美味しい。でも、りんごも恋しくなってきたので、明日の昼間にでも買いに行こうと思う。


 何をしようかな。

 ……って、もう決まってるけどね!


 爽やかな水色から深い青のグラデーションの布を使って、ヨツバくんに贈るワンピースを作ろうと思います。

 

 解放されたワンピースの型紙は、シャツみたいな襟が付いていて見た目だけはシャツワンピースのようだ。だけど、ボタンやファスナーはないのか、序盤では手に入らないからなのかは分からないが、胸元はレースアップで留めるようだ。『旅人のシャツ』もレースアップだもんね。

 それで、ウエストがキュッとしまっていて、ウエストからふわりと膝丈のスカートが広がるのが可愛らしい。

 

 余りにも可愛くなかったら露店に型紙を買いに走ってたんだけど、めちゃ私好みで気に入ったのでこれで作っていこうと思います。それで、ウエストにはリボンベルトも付けようと思います。


 よーしやるぞー!




「やっばい……型紙機能便利すぎた…………」


 床に広げた布の前で私は感動していた。

 …………床で作業しててごめん。本当はでっかい作業テーブルが欲しいんだけど、まだ序盤だし仕方ないよね。簡素なテーブルは小さくて服を作るほどになると、収まりきらなかったので、床でしてます。

 ゲーム的仕様で、靴の裏に汚れはないし、ほこりもないから出来る技だね。


 それで、型紙機能。『型紙』『ワンピース』『転写する』を選択していくだけで、目の前の布に型紙通りの線が転写されたんだよね。それも、布が勿体なくならないように、一番効率的な裁ち方が自動で判断されて、転写されていた。

 便利すぎる〜〜!


 勿論、手動でやることもできるみたいなんだけど、こんな便利機能あったら使っちゃうよね? そう、人間だもの。


 ただ、自動裁断はないので、一つずつ縫い代を意識しながら裁っていく。でも切るだけでいいなんて楽。型紙を写すときって、ずれないように気を付けないとだし、現実だと大変でかなり苦手な作業だったんだよね。

 それがボタン一つで済むなんて、偉大すぎるよ。



 裁ち終わりましたー。

 まずは、型紙機能に付属されている作り方の説明を熟読する。プロじゃないんで、そんな簡単に完成させられません。


 よし、作り方は頭に入れたので縫っていきます。

 と思ったら、ぴこんっと通知の音が。あ、ヨツバくんだ〜昨日ぶりだね。


『おはようございます。今何してますか?』

『ワンピースを作ろうとしてます』

『! 見たいです! 行ってもいいですか!?』

『良いですよ』


 良いって答えてから、ヨツバくんに渡すワンピースなのに、本人の前で作っていいものかと悩む。でももう、答えちゃったあとだしな。


 って、ほら。コンコンとノックの音が聞こえて来るので、扉を開く。今日も元気な笑顔が弾けるヨツバくんがそこにいた。外は暗いのに、ヨツバくんだけ光を放っているかのように眩しい。


「こんばんはっ、お邪魔します〜!」

「こんばんは、どうぞ」


 ヨツバくんはしっかり自分の椅子を持参していた。しかも、今日はテーブルまで持参していた。置いていい場所を聞かれるので、床に布が置いてないところを指差してお願いする。すぐにテーブルと椅子を設置したヨツバくんは、せっせとテーブルの上に何かを準備している。


「えへへ、僕、お菓子持ってきました!」


 なるほど、用意してたのはお菓子みたいだ。クッキーやマドレーヌ、チョコがお皿に盛られていて美味しそう。お菓子が売っているところもあるんだ。後で教えてもらおう。もう、素敵なお茶会じゃんこれ。


「自由に食べてくださいねっ満腹度も回復しますし!」

「ありがとうございます」


 それは助かる。生産とかしてると、満腹度の減りが早い気がするんだよね。多分、気の所為じゃない。


「……わ、ぁ!? それって、テーブルクロスですかっ!? めちゃくちゃオシャレですね!」

「! ありがとうございます」


 へへ、嬉しい。


「いいなぁ……ネイビーさんがお暇なときでいいので、僕もテーブルクロス欲しいです……。お金とかは払います!!」


 だめですか、と上目遣いされると弱い。私は、美少女に、めちゃくちゃ弱い。なので、速攻で良いですよって頷いていた。困っちゃうね。

 怖いお兄さんなのに、これじゃあ美少女に甘いお兄さんだよ。

 


「それじゃあ……縫っていきますけど、多分似たような作業が続くので飽きたら自由にしてくださいね」


 それだけいって作業を始める。まずは出来上がり線を合わせてまち針で留めて、縫っていく。……うん、それの繰り返し。ひたすらまち針で留める、縫う、留める、縫うの繰り返しだ。


「わぁ……!? 縫うの早いですねっ」

「ステータス補正ですね」

「それでも凄いですね〜……手作業大変じゃないですか?」

「大変ですけど楽しいです」


 こういう作業はきらいじゃない。

 しかも、ミシンはないけど、ミシン並みの速さで縫える手もあるし、楽しい。



「そう言えば、ヨツバくんの『ヨツバ』ってクローバーからですか?」

「……ええっと、大まかに言うとそうです!」


 大まかに言うと? まぁ大まかでもそうならいっか。

 それなら、クローバーの刺繍をいれたいなー。ふふ、ヨツバくん専用衣装としての道を邁進しているね。

 


 よしよし、ワンピースの形が見えてきた。いやほんと、縫うのが早いし、思考も早い。今の私はマルチタスクとか大得意、って状態。喋りながらでも縫えちゃうもんね〜。…………現実だとマルチタスクって不得意だから、差異に泣いちゃうかもね。



「…………本当に縫ってるだけですけど、見ていてつまらなくないですか?」

「つまらなくないですっ! どんどん出来上がっていくのを見てるの楽しいです~! ……それにこう見えて僕も作業してるんですよっ、『魔法』スキルの解放目指して頑張ってます!」

「『魔法』スキルの……?」

「そうです! 今、体内魔力を感知してぐるぐる回しているところです」

「ぐるぐる、回す…………」


 ど、どういうこと……!?


「FJOってβ版だと詠唱で良かったのに、本サービスだと体内魔力の感知から始まるんですよねー。まぁ、言えばギルドで無料講習が受けられるので良いんですけど大変なんですよね」

「…………体内魔力って、どういうことですか?」

「僕も上手く説明できないんですけど、プレイヤーの体内には魔力があって、それは、割れない水風船みたいなのなんですけど、その魔力を意識して動かさないといけなくてですね…………」

「……はぁ」

「この魔力を見つけるには、自分には魔力がある、って信じるとこから始めるんですけど、それで……えっと…………」


 分からん。

 取りあえず、魔力があるって信じればいいの……?

 


 それはそうと。

  

「あの、魔力は良く分かんない……んですけど、ワンピースは出来ました」

「エッ」

 


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