第1話 キャラメイクって楽しい!
初投稿です。
大好きなVR物で、自分がやりたいことを詰め込みました。
よろしくお願いします。
「よーし! キャラメイク!!」
ゲームで一番好きな時間はキャラメイク、って答えるくらいにはキャラメイクの時間は心が踊って好きだ。
やっぱ嘘。一番は言い過ぎた。
もちろん冒険や戦闘、はたまた生産だって一番を争うくらい好きだ。
好きじゃなかったらこの新作VRMMORPG『Fantasy Journey Online』のゲームなんて買ってない。
もちろん、ゲーム内コミュニケーションも大好きだ。じゃなかったら、MMOは選ばない。VRゲームでお茶会、とか楽しいよね。このゲームでもそういうことしたいんだよ、私は。フレンドを作ってカフェ巡り、とかもあり。
買ったばかりのこのゲームは、ほぼ同じ内容らしいオフライン版『Fantasy Traveller』も同時発売の為、ただキャラメイクして冒険を楽しみたいだけならオフライン版で済む。そっちの方が値段も安く済むし。
しょうがないけど、オンラインゲームはお金がかかって仕方ない。月額使用料もかかるし、ネット環境にも気を使う。
ネット回線とか機器とかの環境は、昔と比べれば大した差はないらしいけれど、出来る限り良い環境で遊びたいとおもっちゃうじゃん? お金をかけられる最大までは、ってね!
因みに、コミュニケーション大好きと言っても現実でのコミュニケーションは不得手である。現実でもお友達いっぱい欲しいよぉ……えーん!
「うーん、金髪、銀髪……青、緑……一周回って黒や茶色……?」
ぽちぽち画面を押して色を変える度に、目の前の等身大アバターの髪色が変わる。髪の長さは腰までのロングで、その顔は、男性とも女性とも考えられる中性的な顔をしている。これがデフォルトアバターらしい。
因みに、デフォルトの髪色は茶色だった。
今現在、ゲームにログインしてすぐ現れた部屋のような仮想空間でキャラメイク中だ。その空間には等身大のアバターと、アバターの目の前に機械が用意されていて、それを使ってキャラメイクをしている。機械は両腕を広げたくらいに大きい。
機械の画面の上部には、種族、髪色、髪型…………などの項目がずらりと並んでいて、今は髪色の項目を選んでいるため、画面いっぱいに髪色に関わることが並んでいる。
その画面の左側に、初期色として二十色表示されている。その下には明度と彩度を変更できるバーがあって、これをいじってるだけでも楽しい。明度をいじって白に近い金髪にしてみたり、彩度をいじって濃い金髪、寧ろ黄色かな?って見た目にしてみたり。
たのしい。こういうの一生できる。
でも、用意された二十色は初期色だけあって、肌馴染みが素晴らしい。染めた感がなく、地毛のような風合いに調整されている。それと比べてしまうと、自分でいじると浮いているように見えてしまう。難しい。でも、難しいからこそ楽しい!!!
画面の右側は、一番上にカラーコードをいれる場所がある。ここは既に使いたい色を決めてきた人向け。
その下には色相環があって、真ん中が空いた円にグラデーションで色が表示されている。その、空いた部分には、四角の形で明度と彩度を色を見ながら選択することができる。
しかも、グラデーションを作れるバーもある。グラデーションバーに色をスワイプするだけであら簡単、良い感じのグラデーションの髪色がアバターに反映される。二色でもできるし、なんなら八色くらい細かくグラデーションを設定することもできる。
自由だ!! 自由度が高すぎて、素晴らしい。
「んふふ、たのしい、何色にしよっかな〜。……でも、楽しいけど……」
うーん、髪との馴染みを考えたら先に肌の色を決めた方が良いかも。でも、めちゃくちゃ好きな髪色を見付けられたらそれに合う肌の色にしてもいいしなぁ。どっちもあり。
種族によっては、肌色が固定されてしまうけど、私は【人間】に決めているので無問題。【人間】なら、どんな肌の色にでも設定できるからだ。青とか、緑とかも関係なし。見た感じ【人間】ならなんだってできそうで、楽しみしかない。
…………うん、【人間】とは?
詳しく言うと、種族は【人間】【エルフ】【ドワーフ】【獣人】の四種族がある。
【人間】の自由度の高さを他にも上げるなら、例えば【エルフ】は耳が長く尖っていて大きさくらいしか調整出来ず、丸い耳にすることは出来ないのだが、【人間】ならエルフ風として耳を尖らせることなんて朝飯前である。流石に耳自体を無くすこともできないし、獣耳と尻尾は生やせないので、獣耳が欲しければ【獣人】にしないといけない。
【獣人】も耳と尻尾だけのなんちゃって獣人から、二足歩行の獣姿まであるので、そっちはそっちで楽しそうなキャラメイクができるなぁーと思って悩みはしたけれど、もふもふは自分がなるよりも愛でる方が好きだから、【人間】に決めた。
因みに、このゲームはまだオンラインサービスが開始していない。開始は、1週間後の土曜日10時からである。だから、キャラメイクに時間をかけてのんびり気ままに出来る。
ほんと、平日仕事で土日休みの仕事でよかったなーってしみじみ思ってる。サービス開始からガッツリ出来るなんて嬉しい。
開始までに出来ることは、キャラメイクと簡単なチュートリアルだ。チュートリアルは、体の動かし方と初期武器の練習、それにモンスターの討伐ができるらしい。プレイヤーランクも5までは上げられる、って公式サイトに書いてあった。
プレイヤーランク5になるとフレンドとパーティを組む機能が解放されるらしく、それもあってオンライン開始前にランクを上げられるんだろうと言うネットの誰かのコメントも見た。
だから、開始前までにチュートリアルとランク上げをしとかないとマルチが楽しめない。でも、5まではすぐ上がっちゃうらしいけどね!
物語のネタバレ以外は余り気にしないからどんどん見ちゃったけど、体の動かし方の練習をするだけでもプレイヤーランクの経験値が貰えるらしくて、チュートリアル全て終えて、解放されてるモンスター討伐もちょちょいとやったら、もう5になっちゃうらしい。
あ、因みに開始までは、プレイヤーランク5までしか上げられないけど、何度でも武器練習をしたりモンスター討伐をしたりして遊べるらしい。もちろん、経験値は入らないから経験値を貯めてスタートダッシュ……、とかは出来ないけどね。
閑話休題。
うん、髪色決められないから先に髪型をやろう。
「えっなにこれっ、すごいっ!!」
最初から選べる髪型の豊富さにも驚いたけど、なによりも驚いたのは、自分の手で髪の毛をセットできるモードがあることだ。
今までプレイしたことのあるVRゲームは決まった髪型からの選択だった。だけどこれは、クリエイトモードが用意されていて、好きな場所に三つ編みをしたり編み込んだりと自由にできる。
……自由度は高いけど、自分の手で行わないといけないから器用じゃないと出来ないモードだ。でも、任せて! 器用さには自信がある。九歳下の可愛い可愛い妹の『髪の毛可愛くして』っておねだりの為にお姉ちゃんは頑張って難しい髪型も練習してた。
だから、手の込んだ髪型には自信がある。
……一人暮らしを始めてからは、そんなおねだりもたまに帰省する時にしか叶えてあげられていないんだよね。帰省せずゲームしてるお姉ちゃんでごめんね……妹よ……。
ううん、今はゲームを楽しもう!
「よーし、やるぞーー!」
「やばい、終わらん。どうしよう」
どうしてこうなった。髪型を凝って凝りまくったのは良かった。しかも、二十種類までは保存が出来るから、良く出来たものはどんどん保存していって、やってみたかったけど妹には似合わない髪型も作ってみたりした。
そうしたら、この髪型だったらこの髪色が良い、そしたら顔ももっと可愛い女の子らしくとか、いやいやこの髪型なら男らしくとか……、キャラメイクの項目をいったりきたりして、楽しみ過ぎた結果なんにも決められていない。
しかも、顔の造形は四十種類もあった。小さい女の子や男の子みたいな顔にもなれるし、はたまた年老いた女性や男性にもなれる。
顔を選ぶたびに、「え! この顔なら、あーいう髪型作ってみたかった!」とか思っちゃって、また髪型を作る作業に戻る。終わらん。終わらんけど、楽しすぎる。買って良かったこのゲーム。
もちろん、顔の造形でも細かいバーが沢山ある。目の大きさを変えてつり目やたれ目にしてみたり、鼻を鷲鼻にしてみたり、耳を尖らせて長くしてエルフ風にしてみたり……なんだってできる。
耳がみょーんと伸びたり縮んだりしたのは、自分がバーを動かしているからだと分かっていても凄く面白くて少し笑った。嘘、めちゃくちゃ笑った。
この保存したどれかを自分の分身として動かす、と考えると、鏡などで自分の姿を見るたびに、にやにや笑顔を浮かべるナルシストが爆誕するかも。うん、絶対するな。だって、どれも良い出来なんだもん。もんとかいうな、良い年で。
流石にそろそろ決めて、冒険を楽しみたい。まだ、チュートリアルしかできないけど。それでも、ファンタジー世界に降り立つのは楽しいだろうし。
って、ことで。
ファンタジーらしいアバターに絞っていこうかな。現実では難しくて、物語の登場人物みたいな雰囲気にしたい。
あと、現実の私はタレ目ガチだから、ツリ目にしよう。髪の毛もグラデーションにしたい。よし、どうせなら現実と性別を変えて男性アバターにしよう。イケメンは良いものである。
ガチムチまではいかないけど、筋肉もしっかりついていて、強そうな見た目。うん、いい感じ。
……まぁ、私が動かすので強いかどうかはわかんないけどね!
因みに、見た目の雰囲気だけであって、性別の項目は特にない。ゲームに性別って関係ないからね。
……ふふふ、初めからどういうアバターにするか考えてキャラメイクしていたら、無駄に時間を使わなかったんじゃないかなーとは思うけど、無駄とは思わない。
だって……そういうゲームかと勘違いするくらい楽しいキャラメイク時間だったんだもん。……わぁお、なんて「もん」が似合わないアバターなんでしょう。元々成人済みに似合わない口調だったけど、この怖いお兄さんみたいなアバターには更に似合わない。
…………逆にギャップでかわいいかな?
あとそう、悲しいかな身長はいじれない。もちろん、足の長さもいじれない。股下2メートル、……は言い過ぎだけど、足が長くなりたい人生だった。
取りあえず、ゲーム開始して落ち着いたらシークレットブーツを作ろうと思うんだ。だって、顔がイケメンなのに身長が160センチなのはいやだ。170センチは欲しい。
イケメンの顔に似合う筋肉も装着できたし、後は身長。そう、シークレットブーツは全てを解決する。たぶん。
「よーしよし、いい感じでは!」
ついに完成しました。やったね。
髪色は上から深い青紫色から暗い黄緑のグラデーション。それで髪型は、右側に顎までの三つ編みが垂れていて、キュート。左側は細かく編み込んで後ろに流して、小さなポニーテールを作ってある。どこかの民族にいそうな髪型だ。そして、立ち上げた前髪の隙間から、彫りが深く険しい目つきが覗く。その瞳の色は新緑の緑。
うん、怖いお兄さんだね。
良いじゃん強そうで。俗に言うネナベプレイです。
あと、肌の色も、ちょびっと灰色味を入れて、灰色がかった透明感のある肌にしてみた。人外味があって素敵。
……あ、これでお茶会するのか私? この見た目じゃ、きゃっきゃっうふふのお茶会が出来なさそうだ。
……でもまぁ、いっか!
この見た目気に入っちゃったし、プレイヤーランクを上げていくと、二つ目のアバターを作ることも可能らしいから、そっちでお茶会を楽しむのもありだなー、って今思いついた。ってことで、キャラメイクは終わり!
早くFJOの世界に行きたい。
私は期待に胸を踊らせて『冒険開始』を押した。
「いざ、ゲーム開始!!」
…………チュートリアルだけだけども!