終わり、そして始まり
この作品はフィクションです。
時間の止まった世界・・・。
否、正確には止まってない。
意味のあるものではなくなった、それだけだ。
「・・・。神よ。この世界を見守る神よ。あなたは今をどう思うか・・・?」
私は問う。
もう体は動かない。
周囲には白の世界がすぐ傍まで迫っている。
殆ど時間は残っていない。
少なくとも最期の人間である私にはそうなのであろう。
「・・・。もう間もなくこの世界は閉じられる。私も消え去る・・・。この運命は変えられぬ・・・。たまたま私は重なっただけに過ぎぬ・・・。」
私は誰に聞かせるわけでなく、世界に語りかける。
勿論、答えはない。
期待した訳でもない。
「・・・。あきらめ・・・だな。最期は潔く・・・。とは言っても、誰も受け継ぎはしないのだが・・・。」
後悔がない・・・とは言えない。どうしようもなかった・・・とも言えるが。
ただ世界はこの結果を望んだのだ。
私にはそれを受け入れるしかない・・・。
「フッ。フフフフ・・・。何故、こんな事ばかり思い浮かぶのか・・・。」
何故か笑みがでる。
私は壊れ始めているのだろう。
やがて人である事も忘れ、この白に溶け込んでなくなってしまうのだろう。
私は目を閉じた。
この葛藤もあと少しで終わる。
「しかし・・・。次はまた、どこかに生まれ変わるのだろうか?そもそも生まれ変わりなどあるのだろうか・・・。まぁ、この記憶も、この肉体も忘れてしまっているのだろうが・・・。」
そうあって欲しい。
私はそう念じた・・・。