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鉄と真鍮でできた指環 《3》 ~災厄の首飾り~  作者: とり
 第4幕 魔術師の誤算(ごさん)
45/59

45.あかい衣(ころも)



 ・前回のあらすじです。

『カリオストロが、和泉いずみに火の魔法まほうを放つ』





 あか(ころも)が、ひるがえる。めるようなほのおの動きがそうえるのかとおもったが、和泉(いずみ)はすぐに、「ちがう」と悟った。


 全身に、予測よそくしていた痛みが来ない。火が法衣(ほうえ)あぶ感触かんしょくや、皮膚を熱気ねっき。それらがまるで、別世界でのできごとであるかのように、触覚(しょっかく)は、清澄(せいちょう)な空気だけを感じていた。


防御壁(ぼうぎょへき)……)


 それも、かなり上位じょういの。


 ――ふつうは、魔力(まりょく)防壁ぼうへきったところで、迫り来る魔術まじゅつ影響えいきょう多少たしょうある。魔法まほう障壁(しょうへき)は、あくまで相手あいての攻撃を緩和(かんわ)するのが目的で、完全に威力(いりょく)()ぐのは、よほどこうのちからが小さい場合ばあいに限られる。


 カリオストロの、本来ほんらいつよさがどんなものかは、分からない。だが、いまはマジック・アイテムの加護により、強化きょうかされている状態じょうたいである。()()()()に。


(まさか、オレのなかにねむっていたちからが、ピンチで目覚めざめた――)


 なんてわけは、ないな。と、和泉は自分の願望(がんぼう)にしらけた。眼前に揺らめく、緋色(ひいろ)法衣ほうえを留める。


「【災厄さいやくの首飾り】って言うから、どれほどのもんかとおもったけど、」


 【賢者(けんじゃ)】にのみ着用ちゃくようを許された法衣のそでから、彼女かのじょの細い手首が、のぞいていた。その先には、にぶ色合(いろあ)いの金属がつかまれている。開いたおとがいに、深い藍色(あいいろ)の、【制御せいぎょ】の【魔鉱石(まこうせき)】をめた(りゅう)(つえ)。そのなが()をしっかりと持って、彼女は、自身の魔術まじゅつを展開・維持(いじ)していた。


 ふと和泉(いずみ)が自分のとなりをれば、彼女の使(つか)()も立っている。ホワイトブリムに、あかいメイド(ふく)、長いちゃ色いかみ女性じょせい


 ――ほのおが砕けた。魔法の壁が、打ち消したのだ。


 ざああっ!


 強い風が吹く。和泉たちをまもっていた壁が消える。『そと』の空気が、もどってくる。建物たてものの外壁や、(とお)りの地面じめんの、けたにおい。大気中(たいきちゅう)にふくまれる砂埃すなぼこりや、微細(びさい)粒子(りゅうし)の焦げた、煤臭すすくささ。


「こんにちは、和泉」


 肩まで伸びた、黄金色(おうごんいろ)の髪が風になびく。グリーンのおおきなひとみが、肩越しに振り返ったあいらしい微笑(びしょう)と共に、和泉をる。


「あっ、(あかね)!」


 和泉いずみは喜びの声をあげた。のまえの少女しょうじょが、自分をまもってくれたのが嬉しくて、この時ばかりはカリオストロの存在を忘れた。あと、「もう死んでもいい♡」と思った。




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