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鉄と真鍮でできた指環 《3》 ~災厄の首飾り~  作者: とり
 第1幕 夏休みの終わりに
4/59

4.賢者



   〇前回のあらすじです。

   『和泉いずみがおきて、【使つか】の少年しょうねんはなしをする』





 少年(しょうねん)――クロは親指(おやゆび)てた。

史貴(しき) (あかね)でしょ。さっきまでそいついたんだ。でも安心(あんしん)してよマスター。ボクがちゃーんと()い返してあげたからさ」

 ――史貴 茜。

 和泉(いずみ)居住(きょじゅう)し、教授(きょうじゅ)として仕事をする学術(がくじゅつ)施設、【学院(がくいん)】の内部ないぶにおいて、最も(ひい)でた【魔術師(まじゅつし)】におくられる称号(しょうごう)賢者(けんじゃ)】の()を冠する少女(しょうじょ)である。

 また、和泉がこっそり(おも)いをよせているひとでもあるのだが。

「なんでっ。()こしてくれたらよかったじゃないか!」

「『オレが起きるまで起こすな』ってマスターが言ったんじゃないか。あとボク、あいつキライなんだもん。ちんちくりんのくせしてえらそうで。あれっ、マスター。なんで()いてるの。なんでなみだが血の色になってるの?」

 ごッ。ごんっっ。

 クロに二発(にはつ)ゲンコツをくれて、和泉はベッドからびだした。

「今度からは丁重(ていちょう)にもてなせッ。くそーっ!」


 朝食(ちょうしょく)はこの(さい)ぬく。

 綿(めん)のロングパンツをはいて、そのへんにほっぽりだしていたハイカットシューズに(あし)をねじこむ。

「おいっ。(あかね)がいたのって、どんくらいまえだった!?」

「五分くらいまえかな?」

「うー。()いつくかな……」

 半泣(はんな)きになって和泉(いずみ)は玄関にけた。

 とおりすぎざま、ハンガーにかけていた教員用(きょういんよう)の【黒法衣(くろほうえ)】をひったくる。乱暴(らんぼう)に身体にまとう。


 大陸北部(ほくぶ)山岳(さんがく)の、切りひらかれた土地にある【学院】。そこに所属(しょぞく)する教員きょういんや、研究者(けんきゅうしゃ)にあたえられる集合住宅(しゅうごうじゅうたく)・【宿舎(しゅくしゃ)】の男子だんし(とう)

 和泉(いずみ)弱冠(じゃっかん)十六歳で教授きょうじゅについた秀才しゅうさいだった。というのも、彼の右手(みぎて)にはまった指環ゆびわ……【ソロモンの指環(ゆびわ)】という、手にいれた魔術師(まじゅつし)の【学院】におけるあらゆる場面(ばめん)での優遇ゆうぐうを約束する、鉄と真鍮(しんちゅう)でできた勲章(くんしょう)恩恵(おんけい)あってこその出世しゅっせだが。

 ドアをける。

「きゃあっ!」

 (おお)きな衝撃(しょうげき)

 そとにいた誰かを、和泉(いずみ)()しあけたドアがはじき飛ばした。



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