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鉄と真鍮でできた指環 《3》 ~災厄の首飾り~  作者: とり
 第3幕 ホープ・ダイヤ
36/59

36.斧(おの)なげ




   ・前回のあらすじです。

   『チャコとシロが、不審ふしんな物音を聞きつける』








 チャコたちは屋敷(やしき)の廊下を歩いた。

 途中(とちゅう)、カベに掛けていた(おの)を取り、エントランス・ホールに移動する。

 ()の長い斧を両手(りょうて)に構えて、チャコは二階(にかい)の――物音(ものおと)のした部屋(へや)に入った。

 足音(あしおと)しのばせる。

 うしろのシロもまた、息を殺してついていく。


 ぎいい。

 チャコはドアを開けた。

 主人(しゅじん)が一日の大半(たいはん)を過ごす研究(けんきゅう)室だ。

 (おく)のようすをうかがう。押し上げ式の硝子窓(がらすまど)に、ひとりの(おとこ)が、(あし)を掛けている。

 白髪(はくはつ)に、黒法衣(くろほうえ)の【魔術師(まじゅつし)】。


「あ、和泉(いずみ)だ」

「このっ、狼藉者(ろうぜきもの)が!!」

 ぶんっ。

 チャコは(おの)()げた。

 分厚ぶあつ()が、くるくるキレイな(えん)を描きながら、まっすぐ侵入者しんにゅうしゃに飛んでいく。


「きゃー!!!!」

 悲鳴(ひめい)をあげて和泉はけた。

 というか、窓枠(まどわく)から足を踏みはずした。

 庭に落下しそうになったのを、ふちに手をかけて支えなおす。

 ちりっ! と白い(かみ)をかすめて諸刃(もろは)通過(つうか)し、庭に吸い込まれていく……。

 ――ざくっ。


「いきなり斧を投げるんじゃない!!」

 懸垂けんすい要領(ようりょう)で身体を持ちあげて、和泉(いずみ)わめいた。

 チャコは「はっ」とそっぽを向く。

「ただの泥棒(どろぼう)だと(おも)ったのです」

「私が『和泉だ』って言ったあとに()げてたよね?」

「気が動転してたのよ」

(うそつけ!!)

 シロに得意気に答えるチャコに、和泉は心のなかで毒づいた。

 (まど)(あし)を掛けなおし、二階(にかい)研究(けんきゅう)室によじ(のぼ)る。


「せんせー」

 下から弟子の声がする。

「なんか、上から(おの)降ってきたんやけど」

「気のせいだ」

「でもフツーに触れるし。オレの(よわ)い心が見せた幻覚や言うんは、ムリあるんとちゃうかなあ?」

「ごめん。ウソついた」

「せやろ」

「チャコが()げてきたんだ」

「ほなしゃーないな」


 和泉(いずみ)(あかね)の家にいたふたりの【使(つか)()】に背を向けた。

 庭に()たせている、弟子の永城(ながしろ)に声をかける。

(わる)いけど、(はな)しつけるまでそこにいてくれ」

「えーよ」

 永城は、屋敷(やしき)の庭――ほぼ裏庭にあたる――から手を上げて了解(りょうかい)した。

「でも、もう刃物(はもの)は降らさんよう言うといてな」

「うん」

 永城の(すう)センチ隣りには、チャコの投げた(おの)が刺さっている。

 和泉(いずみ)は永城に誓って、シロとチャコに向きなおる。




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