23.恨み
・前回のあらすじです。
『カリオストロが【首飾り】を自慢する』
「まあ。たしかに、いまの我がカリオストロ家の状況をみれば、祖先のはなしを持ち出すのは、ナン・センス。それはみとめます。ですから、最近のはなしをしましょう、ウォーリック。貴女がこのわたくしにしでかした、惨い仕打ちの数々を!」
「と、いわれましても」
どおん!!!
ウォーリックが言い終えるまえに、彼女の耳元で爆音がした。
となりに立っていた植木が、煙をふいてたおれる。
近くで遊んでいた子どもたちが、泣きだす。
家々から大人たちが飛びだしてきて、わが子をかばって、さっさと屋内に避難させた。
カリオストロの手のなかで、首飾りのダイヤが黒くまたたく。
「すっとぼけたってむだですわ。わたくしが四つのとき。あなたはわたくしが必死にあつめていた、『猟奇殺人鬼カード』をさらっていった」
「おまえ、なにやってんだよ……」
和泉はたまらずつっこんだ。もちろん、ウォーリックに。
ウォーリックは肩をすくめて弁解する。
「戦利品ですわ。カード・ゲームで勝ったから、ほしいものをもらっていっただけです」
「だからって、きらきらの『スペシャル・カード』をぜんぶ取っていくことないでしょう!」
きーっ! とカリオストロはじだんだ踏む。その手のなかでまた【ブリーシンガメン】が反応した。今度は和泉のそばで、爆発が起こる。
「どわっち!」
ベンチがこっぱみじんに吹き飛んだ。
カリオストロのうらみごとはまだつづく。爆発をともなって。
「六才のとき、わたくしの初恋のあいてのサリーを盗った!」
「むこうが勝手に遊びにさそってきただけです」
頭をねらう爆撃を、すんでのところで横に身をたおしてよけて、ウォーリック。かかえていたカステラが、ばらばらと地面にこぼれる。
「八つのとき! わたくしがたのしみに取っておいたショート・ケーキのいちごを食べた!」
「……いらないのかと思って」
「そんなものにも増して……。なにより……、」ぶるぶる。カリオストロは全身をわななかせた。「なんより、このわたくしが……っ! ゆるせないのが……!!」
彼女のかなしみに(子どもじみているが、この少女にとっては、とてもつらい思ひ出なのだ。)呼応するように、【災厄の首飾り】から、凶禍の閃光がほとばしる。
「わたくしが……。十才のとき!」
「つまり、わたくしが、十二才のときですわね」
「ええいっ! どっちもおじょうさま口調でややこしい!!」
ウォーリックの注釈に、和泉が歯噛みした。そのとき!
――ぼごおおお!!!!
広場全体を、カリオストロの熱衝撃波が吹きとばした。




