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鉄と真鍮でできた指環 《3》 ~災厄の首飾り~  作者: とり
 第2幕 災厄(さいやく)の首飾り
22/59

22.ブリーシンガメン



   ・前回のあらすじです。

   『【カリオストロ】と【ウォーリック家】の因縁いんねんが明かされる』





「ごらんになって~」

 カリオストロは、ちいさな身体には不似合(ふにあ)いな、ブリリアン・カットされた金剛石(こんごうせき)中央(ちゅうおう)にはまった『首飾(くびかざ)り』をかかげていた。

「あれは……」

 (あお)い輝きをはなつ石に、和泉(いずみ)はぞっとする。【魔術(まじゅつ)】のちからを宿した、【魔鉱石(まこうせき)】という鉱物が、この世界には存在する。――が、あの宝石(ほうせき)は、そのたぐいのものではない。ただの宝石だ。だが、紺碧(こんぺき)の色をはなつダイヤモンドは、「妖力(ようりょく)」とでもいうべき、なにか不吉なオーラを、透明度(とうめいど)の高い全身からただよわせていた。


「ブルー・ダイヤ」

 ウォーリックが、その正体(しょうたい)を、うめき声にのせる。

「……じゃあ、あれは」

 長身(ちょうしん)の身体をこわばらせて、黒髪(くろかみ)魔女(まじょ)は、首飾りの()をもあえいだ。

「ブリーシンガメン。……災厄(さいやく)の、首飾(くびかざ)り!」


 和泉(いずみ)背中(せなか)を、しゃれっ()の失せた冷や(あせ)がつたう。


 【ブリーシンガメン】。『北欧神話(ほくおうしんわ)』における、(あい)と美の女神(めがみ)・フレイアの持つアクセサリー。欺瞞(ぎまん)男神(おがみ)が、小人(こびと)につくらせた宝のひとつ。


 もちろん、カリオストロの持っているのは、その名をかりただけの、人間がつくった【マジック・アイテム】だ。【学院(がくいん)】もふくめて、【(うら)】の(おお)くの学術(がくじゅつ)機関が、研究(けんきゅう)・開発にちからをそそいでいる、魔力の増幅器。【

 (おもて)】の世界でも有名(ゆうめい)な、不幸をもたらすといわれる霊石(れいせき)『ブルーダイヤ』を触媒(しょくばい)とすることで、実現がかなったのだろう。


 和泉(いずみ)はわれにかえった。カリオストロが持つ、高価にすぎる首飾り。それがあまりにも、()のまえの少女(しょうじょ)の持ちものとして、つりあわなくて。

「まてよ、【ブリーシンガメン】って、かなりの(かず)宝石(ほうせき)使ってるんだろ? そんな……十五、六才の歳で手にいれられるようなもんじゃ――」

 この疑問には、カリオストロ本人(ほんにん)が答えてくれた。とくいになって。

「わたくしの四人(よにん)のおにいちゃまがっ、わたくしの誕生日(バースデー)にっ、わたくしのためにとっ、オークションで()りおとしてくれたのですわ!」

「あまやかしすぎだろ」

「クラリスは五人きょうだいのすえっ子長女(ちょうじょ)。しかも、待望(たいぼう)(おんな)の子だったみたいで……お兄さまがたからもお父上からも、それはそれは(ちょう)(はな)よとかわいがられていまして」


 ウォーリックはもうすっかり疲弊ひへいした調子(ちょうし)でうめいた。こころなしか、(かお)がげっそりやつれている。反対(はんたい)に、カリオストロはげんきになっていく。どんどん、げんきになっていく。

 ――首飾りをゆらして。



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