21.ひいおじいさま
・前回のあらすじです。
『和泉がカリオストロにほめられる。やったあ!』
「そう。わたくしたち一族は、たしかに有能でした」
カリオストロが、ふたりのまえで大きくうなずく。腕組みをして。
「それが、そこにいる『ウォーリック』のひいおじいさまによって、人望をうばわれ、権力の座をうばわれ、すべての領地を、かすめ取られてしまったのです!」
「そうなのか?」
和泉はうろんな目つきでウォーリックをにらんだ。ウォーリックは頭痛をこらえるしぐさである。
「ええ。カリオストロ家は、魔術の才はあっても、領地の経営がへただった。そこでわたくしのひいおじいさまがてつだいを買ってでたのですが、あれよあれよという間に領民をてなずけ、尖兵化し、カリオストロの領地を切り取りにかかったのです。外堀からうめていくかたちになりましたが、最終的には、当主のカリオストロ本人と壮絶な魔術合戦をくりひろげ――」
頭をかかえて、ため息をつく。
「素養の差。とでもいいましょうか。わたくしの曽祖父が勝利をおさめました。そして、そこのクラリスが言ったとおり、彼女の先祖の土地も、権限も、すべて『ウォーリック家』のものとなったというわけです。もっとも、【貴族同盟】をはさんで土地は分配されたため、わたくしどものほうにのこったのは、ごくわずかにすぎませんが」
(ふーん。……って、)
――クラリス?
ウォーリックの呼称が気になったものの、和泉はスルーした。
ウォーリックがつづける。世間話でもするみたいに。
「でも、カリオストロ家はいま、商家としてなかなか名のとおっていたはず。財産だって、以前よりはるかにうるおっていると聞きますわ」
「ほほほ! よくごぞんじですのね! もっと言ってちょうだい!」
(なんだこいつ?)
くちに手をあてて得意気に笑うカリオストロに、和泉。
「だから、うらまれるいわれはないのですが」
とウォーリックは言っているが、カリオストロは聞いていない。
カリオストロに、和泉はこまった顔をした。とてもこまった顔をした。
「なので、クラリス。わたくしがあなたのままごとにつきあう道理はありません。あばれたいのなら、あなたのお兄さまがたにでも言って、専用のお人形でも買っていただきなさい」
「そういうわけにも、まいりませんわ」
――ぎらっ。
カリオストロの胸元で、強烈な魔法の光が輝いた。和泉はサングラスの奥で、義眼のはまった目をほそめる。ウォーリックが、はっと息をのむ。




