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鉄と真鍮でできた指環 《3》 ~災厄の首飾り~  作者: とり
 第2幕 災厄(さいやく)の首飾り
18/59

18.アフロ



   ・前回のあらすじです。

   『和泉いずみ手配書てはいしょの【似顔絵にがおえ】を、ようやく確認する』





「おーほっほっほっほ!!」

 声がした。和泉(いずみ)手配書(てはいしょ)を横にやって、屋根(やね)()る。

無様(ぶざま)ですわね、ウォーリック!」

 そこにはモンタージュとそっくり――。

 うりふたつ……。

 ――いや、その『張本人(ちょうほんにん)』が立っていた。


 ボブショートにしたブロンドの(かみ)(あたま)の左についた、(はな)の髪かざり。らんらんと無邪気(むじゃき)に輝くのは、髪とおなじ色の金の(ひとみ)彼女(かのじょ)はフランス人形(にんぎょう)がつけるみたいな、ワンピースを着ていた。(あし)につけているのもやっぱり、人形がはくようなベルト・シューズ。年のころは十五、六才。丸顔(まるがお)のためにおさなく見えるその少女(しょうじょ)は、(おお)ぐちをあけて笑っていた。


 ずびしっ! と、ウォーリックを(ゆび)さして。


「ここで()ったが百年目(ひゃくねんめ)! 悪逆(あくぎゃく)のかぎりをつくしたその御身(おんみ)! いまこそこのわたくし、【クララ・モリス・(ビー)・カリオストロ】が、成敗(せいばい)してくれますわ!」

 とうっ! と、げんきよくわめいて、少女――カリオストロは、屋根(やね)から飛んだ……。

 かに()えた。


 べきっ!!

 カリオストロの足もとで、不穏(ふおん)破砕(はさい)(おん)がする。(あし)にちからをいれすぎて、かわらを踏みぬいたのだ。


 ぽかん…………。


 和泉(いずみ)たちが見守(みまも)るなか、少女――【クララ・モリス・B・カリオストロ】は、屋根の(あな)に消えた。家のなかから大きな(おと)がして、()いで、


「ひええ! てんぷらなべに、(おんな)の子がおっこちてきたわい!」とおばあさんの悲鳴(ひめい)。さらに「みず、みずう!!」というおじいさんのわめきとともに、液体を盛大(せいだい)にぶっかける音が聞こえた。

 ばしゃあ!!

 …………がちゃ。

 民家(みんか)のドアがひらく。


 全身をほんのり黒くこがし、さっきまではかわいいボブショートだった頭髪(とうはつ)をりっぱなアフロにして、ぶすぶす(けむり)を立ちのぼらせた少女(しょうじょ)が、よろよろ広場(ひろば)に帰ってくる。

 和泉は彼女(かのじょ)の不運を、すこしだけ気の毒に(おも)った。そして動揺(どうよう)したじぶんの精神をおちつけるためにも、となりの女子(じょし)生徒にきいた。

「なんか、おまえの名前(なまえ)よんでたけど……。知りあい?」

「実家の近所(きんじょ)()んでたクソガキですわ」

 心底不本意(ふほんい)そうに(はな)をゆがめて、ウォーリックは()きすてた。

 くくく。

 と、少女――カリオストロが、ぶきみに肩をゆらす。



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