18.アフロ
・前回のあらすじです。
『和泉が手配書の【似顔絵】を、ようやく確認する』
「おーほっほっほっほ!!」
声がした。和泉は手配書を横にやって、屋根を見る。
「無様ですわね、ウォーリック!」
そこにはモンタージュとそっくり――。
うりふたつ……。
――いや、その『張本人』が立っていた。
ボブショートにしたブロンドの髪。頭の左についた、花の髪かざり。らんらんと無邪気に輝くのは、髪とおなじ色の金の瞳。彼女はフランス人形がつけるみたいな、ワンピースを着ていた。足につけているのもやっぱり、人形がはくようなベルト・シューズ。年のころは十五、六才。丸顔のためにおさなく見えるその少女は、大ぐちをあけて笑っていた。
ずびしっ! と、ウォーリックを指さして。
「ここで会ったが百年目! 悪逆のかぎりをつくしたその御身! いまこそこのわたくし、【クララ・モリス・B・カリオストロ】が、成敗してくれますわ!」
とうっ! と、げんきよくわめいて、少女――カリオストロは、屋根から飛んだ……。
かに見えた。
べきっ!!
カリオストロの足もとで、不穏な破砕音がする。脚にちからをいれすぎて、かわらを踏みぬいたのだ。
ぽかん…………。
和泉たちが見守るなか、少女――【クララ・モリス・B・カリオストロ】は、屋根の穴に消えた。家のなかから大きな音がして、次いで、
「ひええ! てんぷらなべに、女の子がおっこちてきたわい!」とおばあさんの悲鳴。さらに「みず、みずう!!」というおじいさんのわめきとともに、液体を盛大にぶっかける音が聞こえた。
ばしゃあ!!
…………がちゃ。
民家のドアがひらく。
全身をほんのり黒くこがし、さっきまではかわいいボブショートだった頭髪をりっぱなアフロにして、ぶすぶす煙を立ちのぼらせた少女が、よろよろ広場に帰ってくる。
和泉は彼女の不運を、すこしだけ気の毒に思った。そして動揺したじぶんの精神をおちつけるためにも、となりの女子生徒にきいた。
「なんか、おまえの名前よんでたけど……。知りあい?」
「実家の近所に住んでたクソガキですわ」
心底不本意そうに鼻をゆがめて、ウォーリックは吐きすてた。
くくく。
と、少女――カリオストロが、ぶきみに肩をゆらす。




