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鉄と真鍮でできた指環 《3》 ~災厄の首飾り~  作者: とり
 第2幕 災厄(さいやく)の首飾り
16/59

16.ぬれぎぬ



   ・前回のあらすじです。

   『和泉いずみが【自衛団じえいだん】のおとこに、事件の解決をまかされる』





「みつけたぞ!」

 和泉(いずみ)少女(しょうじょ)に駆け()った。(なが)黒髪(くろかみ)魔女(まじょ)がふりかえる。『二十(にじゅう)代』と言ってもとおる佳人(かじん)(かお)には、数日前(すうじつまえ)まで大きなやけどがあったが、ぶじに完治(かんち)したらしい。白磁(はくじ)のような(はだ)にもどった彼女(かのじょ)ほおに、和泉はこっそり安堵(あんど)した。

 彼女がけがを()ったのに、彼には『責任』があったのだ。

 ――それはそれとして。


「ウォーリック!」

 彼女のほそい手首を和泉はつかんだ。強い陽光(ようこう)をさえぎるために、かざしていたらしい。

 ウォーリックは、(むらさき)光沢(こうたく)()びた(ひとみ)で和泉を()た。

 和泉(いずみ)(はな)が、ひくっと動く。なにやらあまいかおりがする。その正体(しょうたい)は、ウォーリックが片手にかかえている紙袋(かみぶくろ)だった。たこやきサイズのカステラが、なかにぎっしりつまっている。


「いきなりなんなのですか。和泉教授(きょうじゅ)

「それはじぶんの(むね)に手をあてて、よく考えなさい」

 教員(きょういん)らしくえらそばってみせてから、和泉は「だはーっ!」と、肩からちからをぬいた。

「てか、なにやってんだよウォーリック。ストレスでも、たまってたのか? あっちこっち爆破(ばくは)してまわってるって聞いたぞ。やめてくれよ。(まち)の人たちをおびやかすなんて、きみの本意(ほんい)じゃないだろ。史貴(しき)学長(がくちょう)にまで、めいわくかけてさ」

「……? なにをかんちがいしているのか、わかりませんが」

「いや、いいって。いいわけは、また今度に【学院(がくいん)】で聞く。学長には、オレがいくらか弁解してみるけどさ。とにかく、今日(きょう)は家に帰って、ゆっくりやすんで、あしたにそなえな。あ、わすれてたかもだから言っとくけど、あしたからだからな。学校」

「……。……」


 ウォーリックはじぶんの手をひるがえし、和泉の手首をからめあげた。教授の腕を、彼自身の背中(せなか)()しつけるようにして、ねじりあげる。

「いでででででえ! おまえ、なにすんだよっ、おまえええ!」

「おまえに『おまえ』と言われるすじあいは……いえ、もういいです」

 もう何度目(なんどめ)になるかわからない注意(ちゅうい)をしようとして、ウォーリックはやめた。あきらめた。

 和泉(いずみ)の腕をねじったまま、彼女(かのじょ)はツイと、民家(みんか)屋根(やね)にあごをむける。



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