14.破壊魔(はかいま)
・前回のあらすじです。
『町で【賢者】が、【自衛団】とすれちがう』
〇
(騒々しい)
【トリス】の町の広場で、ウォーリックもまた、天をあおいでいた。
【自衛団】のがなり声。せわしなく立つ砂ぼこり。
どおん! と断続的にうなる、【魔術】の爆撃。
「わー!」
「きゃー!」
「かいじゅうだー!」
とはしゃぐ、こどもたちの声。
――『立ち食いははしたないからやめなさい』と、敬愛する母にはよく言われるものの、なかなかおつなので、やめられない――。近所の屋台で購入したミニ・カステラを、紙袋からつまんでくちにほうりこんで、ウォーリックはひきつづき煙を見あげた。
「おーほほほほ!!」
と、遠くから下品な声がする。【飛行魔術】は使っていないようで、珍妙な影(爆撃犯である)は、民家の屋根を忍者みたいに跳んでわたっていく。
おたずねもののビラは、遠出から【学院】に帰ってきてすぐ、【トリス】にでかけた際に、ウォーリックは手にいれていた。その『おたずねもの』――背中に大きな『太陽』をせおった人影が、したっ! したっ! と、屋根から屋根へと、飛びうつる。
こちらへ。
――広場へ。
もっとも、本人はねらってわざわざこちらに接近しているわけではないだろうけれど。
ウォーリックは、目のうえに片手でひさしをつくっていた。手首のブレスレットに陽光が反射して、けわしく光る。
長い黒髪が背中をなでた。風がふいたのだ。
太陽の直射をよけた、紫がかった黒い瞳。あかぬけた、薄紅を基調とした、タイトなドレスの魔女――メイ・ウォーリックは一瞬、日のもとにあらわになった『破壊魔』の名をつぶやいた。
若干のあきれをともなって。
「クラリス……」




