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鉄と真鍮でできた指環 《3》 ~災厄の首飾り~  作者: とり
 第1幕 夏休みの終わりに
13/59

13.赤法衣(あかほうえ)の少女(しょうじょ)






   ・前回のあらすじです。


   『和泉いずみが【使い魔】の少年しょうねん――クロを、師匠ししょうに貸す』











   〇




 爆音(ばくおん)がする。

 町の一画いっかくである。

 商店街(しょうてんがい)舗装路(ほそうろ)に、ちいさな振動がつたわった。

 (あさ)(じゅう)時をすぎたこの時刻、(みせ)はのきなみ開いている。露店(ろてん)で買った、ホット・ドッグをほおばりつつ、【(あか)法衣(ほうえ)】の少女が、もうもうと空に立ちのぼるけむりを、ながめている。

「ばくはつ?」

「だれかが、魔法(まほう)練習(れんしゅう)でもしているんでしょうかね」

 少女のとなりにいた女性(じょせい)が、『南の通り(サウス・ストリート)』を見あげつつ言う。

「んなかわいいもんじゃねえよ」

 野球(ぼう)をかぶった露店の主人(しゅじん)が、赤法衣(あかほうえ)の少女と、その使(つか)()の女性に手をやった。

「やっこさん、あれで『正義のヒーロー』気どりなんだから、かなわねえやな」

「どーゆうこと?」少女がきいた。

「『悪人(あくにん)退治』だとよ」

「ううん?」

「なんでも、『わたくしは、その資格を得たんですの』。とか」

「それで悪人退治かあ」

 (あか)法衣(ほうえ)の少女はそういって、ホット・ドッグを完食(かんしょく)した。女性がハンカチをわたすと、くちもとについていたケチャップをぬぐう。

「そういや、この時期って人をおそう事件ふえるよね」


 ――だだだだだっ!

 足音(あしおと)が、商店街のむこうから接近してくる。

「あけてくださーい!」

自衛団(じえいだん)でーす!」

「まーたあの【学院】のおじょーさまだよ」

「学院(ちょう)せんせもたよりねえよなあ。これだから【(おもて)】の出身(しゅっしん)は――っと。これは【賢者(けんじゃ)】さま……。本日(ほんじつ)もおひがらがよく」


 (とお)りすぎざまに制帽(せいぼう)をさげてあいさつしていく【自衛団】の面々(めんめん)

 少女――魔術師最強(まじゅつしさいきょう)称号(しょうごう)、【賢者(けんじゃ)】の()を冠する彼女もまた、彼らに会釈(えしゃく)でかえした。

 【自衛団(じえいだん)】――大陸の各地域で構成される、強靭(きょうじん)な【魔術師(まじゅつし)】たちで結成された、治安維持(ちあんいじ)集団(しゅうだん)だ。

「たよんないって……」(あお)のユニフォームをはためかせて、団員たちは、(とお)くの街区にたなびく黒煙をめざして(はし)っていった。「お姉ちゃんが? どうしたの?」

「私の(みみ)にははいっていませんね」

 ()われて、女性は肩をすくめた。露店の主人が、ばつがわるそうに帽子(ぼうし)のつばを動かす。

「ありゃ、しらない?」

 ぴくりと少女の(まゆ)がはねた。それはこのちいさな魔女(まじょ)が、不機嫌なときにするひそめかただと、となりの女性は知っていた。

 店主(てんしゅ)がつづける。

「それが、自衛団の連中、【学院(がくいん)】の院長(いんちょう)せんせに助力(じょりょく)をもとめたそうなんだが……」

 野球(ぼう)(おとこ)のはなしを、少女はだまって聞いていた。






           (『第1幕:なつやすみの終わりに』了)





















       読んでいただき、ありがとうございました。




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