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第四話 新生活応援キャンペーン(夏)

もし少しでも面白い、続きが早く読みたいと思っていただけましたら、評価、ブックマーク、レビューをお願い致します。


作者の別作品、異世界救った帰還勇者だけど魔法少女の使い魔始めました。もよろしくお願いします。


https://ncode.syosetu.com/n2603hm/


202X/07/25


近所のレンタカー屋で朝から車を借り、助手席に七海を乗せて川越街道を埼玉方面に向けて走っていた。目指すのはお値段以上ニ○リだ。


「とりあえずニ○リで布団買ったらレンタカー返して、家の近所の生活雑貨屋で日用品買い足すぞ」

「あーい」

「お前なあ、車ん中でゲームやって酔わないのか?」

「わかんない。あんまり人の運転する車乗った事無いから。今のところは大丈夫だよ」


モン○ンの村クエを進めながら生返事を返す七海。くっそ、羨ましいな。俺は自慢じゃないが乗り物でゲームなんてやったら二分もかからずに酔っ払う自信がある。車は勿論の事、たまに釣り船に乗る時は酔い止め薬は手放せない。


「気持ち悪くなったら早めに言えよ、コンビニ入るから」

「はいはーい」


久々の運転で若干緊張していたが、呑気な七海のおかげで少しは余裕が出てきた。薄く窓を開けてタバコを咥えると百円ライターで火をつける。


「うわ、タバコ吸ってる。服に臭い付くから車で吸うのやめてよねー」

「何言ってやがる、お前の服は全部今洗濯中だろうが。」

「むー、煙いの嫌だからちゃんと窓の外に向かって煙吐いてよね」

「はいはーい」

「真似すんなっ!」


二週間の家出生活ですっかり薄汚れた七海の服は全て洗濯中。下着類は今朝コンビニで買った物を使わせているが、そのうち買い足さないといけないだろうな。


ちなみに今七海が着ているのは、俺のジョギング用のジャージ上下だ。茶髪の女子高生がオーバーサイズのジャージ上下って、田舎のヤンキーみたいだわ。


「っと、そろそろ着くぞ。Sw○tchの電源切っとけ」

「えー、クエスト始まったばっかりなんですけどー?」

「スタンバイにしとけば良いじゃねえか、どうせオフラインプレイなんだろ?」


ウインカーを左に出してニ○リの駐車場に車を乗り入れる。時刻はまだ十時を少し過ぎたばかり。開店直後だけあって週末にもかかわらず駐車場は空いていた。


買うのは七海の使う布団一式と洋服箪笥代わりの衣装ケースだ。これから七海の洋服も増えていくだろうし、下着類など俺に見られたくない物もあるだろう。


車を降りて店内に向かって歩いていると、七海が俺の腕にしがみついて胸を押しつけてきた。他のパパ活相手のオッサン達ともこうやって歩いていたんだろうかと思うと、胸の辺りにチクリとした小さい痛みが走る。本当に女々しい自分が嫌になる。


「こうしてたら、私たちって親子に見えるかな?それとも恋人同士に見えちゃったり?」

「俺がもう少し若くてヤンキーみたいな見た目してたら、ヤンパパとヤンキーの娘みたいに見えたかもな」

「ひどーい、私ヤンキーなんかじゃないし!」


抗議のつもりなのか、グイグイと身体を押し付けてくる七海の胸の感触を右手に感じながらも、努めて平静を装って店内を歩く。寝具売り場から収納品コーナーを周り、購入した品物は全て持ち帰る旨を店員に伝えて車まで運んで貰った。


その後、自宅に戻ってから荷物を下ろし、二人でレンタカー屋に行って車を返却した。レンタカー屋から駅前までは歩いて数分もかからない。駅前にあるスーパーの二階にある生活雑貨の店で七海の食器と歯ブラシ、タオルなどの日用品を購入して帰路についた。


事件は帰宅後に起こった。

新しく買った布団を広げている最中に、七海が聞いてきた一言がきっかけになり、ちょっとした口論に発展したのだ。


「ねえ、買ってきた布団って何処に敷くの?」

「ん、リビングでいいだろ?それなりにスペースあるし」

「えー、私ベッドのままでいいんだけど?」

「いやいや、俺の寝室だぞ?若い女の子と同じ部屋で寝るのも憚られるし、俺がベッドで寝るから七海がリビングで寝ろよ」

「やだ」

「やだってお前…」

「あー!またお前って言った!絶対リビングでなんて寝ないもんね。私はベッドで寝るから、おじさんはベッドの横に布団敷いて寝れば良いじゃん。どうせそのうち私の魅力におじさんがヤラれてエッチするんだし、同じ部屋で寝ても問題ないでしょ!」

「負けねーよ!中年の理性舐めんなよ。それだったら俺がベッドでもいいじゃねーか。たまには布団干してたけど、俺がずっと使ってた布団だぞ、七海も新しい布団の方が良いだろ?」

「……私はおじさんのベッドの匂い好きだけどな…なんか安心するし…」


売り言葉に買い言葉でお互いにヒートアップしてしまったが、最後の七海のボソボソとした呟きはハッキリとは聞こえなかった。


「ん、何か言ったか?」

「何でもない!ベッドは私が使うし、おじさんはベッドの横に布団敷いて寝るの!わかった!?」

「わかったからそんな怒るなよ…」

「ふふーん、わかればよろしい」


だから何でそんな偉そうなんだよ。

あー、もう。今夜からちゃんと寝れるかな…女の子と同じ部屋で寝るとかもう十年以上無かったし、寝付けなかったらどうしよう…


俺の心配など毛ほども気にする事なく、七海はベッドに寝転がって足をパタパタさせている。

軽い空腹を覚えて時計を見れば、既に十三時を過ぎていた。


「七海、昼飯にするぞ。今日は買ってきた弁当で済ませるけど、夕飯からは作るからな。苦手な食い物があれば先に言っとけよ」

「特に無いかなあ」

「それなら良かった。んじゃ今夜は俺が作るから明日はよろしくな」


結局その日は昼飯を食った後はずっと二人でゲームをして過ごした。晩飯は肉野菜炒め、味噌汁、漬物、キャベツと胡瓜をスライサーで引いただけのサラダに白米のラインナップだった。自慢じゃ無いが俺は茶色い料理しか作れない。幸いにして七海は文句も言わず美味そうに食べてくれて助かったが。


そして問題の就寝時間。

スーパーの二階で買った薄手のパジャマに着替えた七海は艶っぽい笑みを浮かべて言った。


「襲ってもいいからね、おじさん」


やれやれ、長い夜は始まったばかりだ。


本日も閲覧ありがとうございました。

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