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「超高層ホテル52階バスルーム・謎の完全犯罪」  作者: 嘉宮 慶
第五章  特殊犯捜査第七係の凄腕
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6話  謎の密会


 五月二十五日 

 捜査会議の始まる前に主任と三森・五十嵐の三人が主任のデスクの前で立ち話を

始めた。

 特捜第七係・弓削からの報告を主任が二人に始めた。

「弓削警部補の捜査によると昨日の午後、クラブ『嬪』の莉音と財務担当役員・

香坂は、日本橋マンダリンホテルで逢い、数時間に亘ってホテルの部屋で過ごし

た。その後、香坂は吉祥寺のハモニカ横丁の『慎』という居酒屋に立ち寄り店主

とかなり長いひそひそ話をした後に分厚い封筒を店主に握らせた。弓削捜査官は

封筒の中身は現金と思われると報告してきている」

「莉音と香坂が繋がったのか……」

 三森が呟いた。

「莉音は、藤堂社長のアリバイを証明している。そ時時もマンダリンホテルで

一緒だったと……」

 五十嵐が記憶を辿って言った。

「二人と出来ているのか……?」

 主任が苦笑いしながらそう云うと、

「銀座のママさんは大変な商売だね」

 五十嵐が話を混ぜ返した。

「ホテルの部屋で二人は何を話したか? が、問題だね。店の中はここのところ

警察が入り一人一人に話を聞いている。その状況が二人を合わせた。そして

何かを相談した」

 三森が冷静に物事を見ていた。

 更に推測した事を話し出した。

「店のホステスも黒服もママと社長・香坂が事件に関わっているのか? 

疑心暗鬼になっている。ママからすれば、警察がしょっちゅう出入りする店は、

興味本位で来る客が一時的に増えるだろうが、本当の意味で店の客にはならない。

興味が無くなれば来なくなるのは見えていた」

 三森は尚も続けて

「―― なので、この状況をなんとか出来ないか? 香坂に相談した? 必然、

話の中身は店の事、特に二之宮部長のハンカチの件を警察は執拗に調べている。

ハンカチを捨てたとするゴミ箱まで押収していった。尋常ではない。ママは店を

守りたいだけ……」

 三森は、ここまで云うと主任の顔を見て意見を求めた。

「考えていることは理解できるが、ママ自身が事件の当事者ならば相談と

云うより、画策して実行した事に落ち度はなかったか? それをお互いに確認

したかった……。とりわけ莉音は心配で落ち着かない。実行したことを思い

出しながら香坂に訊いて貰い安心したい」

 主任はそこまで一気に云った。

「主任の話だと香坂は当然の如く事件の首謀者に聞こえますが?」

 五十嵐が核心を突いた疑問を口にした。

「三人共どうも同じ人間を星と思っているようだが……」

 三森が呟いた。

「無理もない話だ。店の中で起きたことが事件の核心である物証の出所で

ある可能性が非常に高い。そこの責任者、莉音が相談する相手が事件に

ついて何も知らないわけがないからな…… 逆に首謀者である方が自然

だな」

 主任の話は、三森の憶測を補強した。

 三人が同時に頷き意見が一致したことを確認した格好になった。



「香坂を任意出頭で事情聴取だ。それからハモニカ横丁『慎』の店主・

奈良銀次を洗ってくれ……? ちょっと待った。順番は逆だ。先に店主・

奈良銀次を洗ってくれ。その後香坂の事情聴取で行こう」

「主任もう二之宮の勾留期限まで余り時間がありませんが……」

 五十嵐が心配した。

「どの道二之宮は本星ではないからな。 検察に説明が付けば保釈だ。

どんな条件が付くのか? それだけだ。ただ我々とすれば誤認逮捕の声が

マスコミから上がらないように、その時までに真犯人を挙げられれば

上出来と云うところだな」

 主任の肩が少し下がったように見えた。

「怖いのはマスコミでなくて西尾係長でしょ……」

 五十嵐が余計な一言を云った。

 三森は五十嵐の脇腹に素早く肘鉄を見舞い黙らせた。

「ウ――」思わず五十嵐が呼吸を止め蹲った。

 肘鉄が見事に急所を射貫いていた。



 その夜の捜査会議では、被害者、榊と「いせや」から一緒に帰った

グレーのスーツの男を追っている所轄から「全力で聞き込みを行って

いるが飲食店関係から有力な情報が得られていない」と報告があった。

 主任からは、特捜第七係が捜査中のクラブ『嬪』の莉音についての

報告があった事を捜査員に伝えられた。

 それぞれの捜査員へは引き続き現在の持ち場にて捜査続行の指示が

出て会議は散会した。



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