18話 遺体発見現場の遺留品
五月七日、捜査本部
捜査本部では、ゴールデンウイーク明けの初日が終わろうとしていた。
重苦しい空気が部屋の中を漂っていた。
その空気を切り裂くように村上主任の電話が鳴った。
主任が素早く受話器を取り上げた。
科捜研の渡辺主査からだ。
「現場遺留品のハンカチから採取したDNA型と二之宮部長のDNA型が一致しました」
「なに――――! 二之宮のDNA型と一致した! 間違いないか! そうか――」
「村上主任、他にも押収したパソコン内のデータを洗いました。気になるデータを
プリントアウトしましたので一緒に送ります」
「あー、わかった! 検査結果を至急送っておいてくれ」
そこまで言うと、電話を勢いよく切った。
「三森君・五十嵐君ちょっと来てくれ」
興奮して上ずった主任の電話から何か有ったな!? と、三森は思った。
「現場に落ちていたハンカチから検出されたDNA型が二之宮のDNA型と一致し
た。科捜研から連絡があった。逮捕状取るぞ!」
「もうこんな時間ですが? 確か犯行時間は奥さんと一緒だったと?
それに……?」
「それに……なんだ!」
主任が憮然とした口調で三森に質した。
「二之宮に榊を殺害する動機がまるで見えないんですが……」
「う――――ん……!」
珍しく主任が言葉に詰まった。
遅々として進まない捜査に焦りも混じっていたのだろう。
「明日一番 任意で引っ張りましょう!」
主任の焦りを感じていた三森が静かに告げた。
「そうだな……腑に落ちないところもあるし……」
主任は一息つくと、次の指示を出した。
「出来るだけ捜査員集めてくれ、家宅捜索も一緒にやろう」
本人のハンカチで有れば犯行を否定できないはずだ。
三森は知らされた事実に漫然とした疑問を感じた。
二之宮のアリバイは虚偽なのか?
二之宮の動機はなんだろう?
信頼しているはずの部下を殺害して二之宮に有利に働く事があるのか?
三森は静かに思考を巡らせ自問を繰り返した。




