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3話  捜査本部

   

 四月二十三日(土)二十一時 


 三鷹警察署二階大会議室 入口脇の袖壁に

 「井の頭恩賜公園西園ほたる橋殺人事件捜査本部」と

記された看板が掲げられている。


 この会議室が捜査本部とされ、緊急の第一回捜査会議が捜査員を集めて

行われようとしている。

 会議室前のホールにはマスコミ関係者が押し寄せ、

捜査員が駆けつける度にマイクを向け照明が照らされた。

 その度に関係者が、なだれを打ったように右往左往している。

 村上刑事課捜査一課主任は召集した捜査員の大方が揃った事を確認すると

事件概要の説明を始めた。



 捜査一課・村上刑事の階級は巡査部長。

 事件の捜査主任だ。鼻すじの通った丸い顔・一見刑事には見えない。

 身長165前後か。体躯は細身だが柔道は黒帯だ。


「事件発生は本日四月二十三日早朝五時四十五分、第一発見者は武蔵野市

吉祥寺南町一丁目○○番地、主婦、鏑木聡子 第一発見者から井の頭恩賜

公園西園の玉川上水に架かる「ほたる橋」橋下に人が倒れているとの通報が

あり。


 本庁より救急車の出動要請と機動捜査隊に通報、合わせて万助橋駐在所に

警察官の出動を命令。

  当直の高橋巡査が現場に駆けつけ被害者を確認した。

 ほぼ同時に現場に臨場した機動捜査員が第一発見者の主婦から簡単な

事情を聞き本庁に確認内容が報告された。

 至急応援の要請を警邏中のパトカーに発令。


 その後、救急隊が到着、倒れている被害者の救助に当たったが既に

息絶えている事が確認された為、被害者をそのままに現場は保存された。

 犯行現場の西園を広範囲に渡り規制線を設けた。

 鑑識斑の現場検証が行われ、遺体は杏林大学病院で司法解剖が行われた。

 死因は窒息死・首に痣や傷は無い 胃の内容物の消化状態は死亡する

二時間ほど前に食べたと推測される。

 血中からは、アルコール濃度・0.3%と睡眠薬が検出された。


 殺害時刻は発見時間午前五時四十五分のおおよそ四〜五時間程前の午前一時

から二時三十分の間と推定される。監察医から以上の報告が来ている」



 村上主任はここまで一気に状況を説明すると、一息入れ更に続けた。

「被害者は所持品の運転免許書から氏名・榊博嗣さかき ひろし

生年月日・昭和 六十一年八月六日生まれ三十二歳、住所・東京都立川市

高松町○○丁目

 家族が遺体の確認をした所、十五時三十分被害者の妻・榊慶子さんが

夫である榊博嗣本人である事を確認した。



 被害者の榊博嗣は、フランチャイズに依る店舗を全国展開している

コンビニエンスストアー『メルクス』の多摩地区を担当している

 スーパーバイザーである事が所持品から判明している。

 『メルクス』本社に確認済みである」

 村上主任はバインダーに綴じた書類から目を離さず脇から伸ばした手で

コップを取り一気に水を飲み干した。

 捜査員は、忙しく手帳にペンを走らせていた。


 村上は続けた。

「仕事上の何らかのトラブルを抱えていなかったか? 交友関係等で

被害者に恨みなど持っている者はいなかったか? 

 最近の様子を妻に聞いたが、思い当たる節は無いとの事。


 アルコールと睡眠薬が胃から検出されている事を考慮すると両手両足を

ガムテープでグルグル巻きにされる前に既に被害者は昏睡状態であったと

思われる。

 又、胃の内容物に玉川上水の水が認められていない点は死亡後に

玉川上水に投げ込まれたと推察される。

 橋の上から被害者を投げ込んでいる点など総合すると犯人は極めて冷徹に

して残虐性を持ち、それなりに体力・腕力のある人間と思われる。

 犯行は複数に依る事も考えられる。

又、被害者に深い怨恨をもっている事も考えられる。


 捜査は被害者の交友関係者および仕事上接触のある関係者の聞き込みを

重点的に始める又事件当日及び前日の被害者の足取りを確認する事。



 もう一つ、犯行時の犯人の遺留品か不明だが、「ほたる橋」の上から投げ

込んだ場所と思われる附近に汚れたハンカチを発見押収した。

 これは現在DNA鑑定中である。

 以上が現在のところ判明している」

 村上主任の説明は以上であった。


 警視庁捜査一課の三森刑事も、この捜査会議の席で捜査員おおよそ

二十数名の一員としてその概要を知った。

 三森刑事の階級は、巡査部長、同期の連中と較べれば若干早い昇進だ。

端正な顔立ち、温厚な人柄な為か、敵はいない。印象がニヒルに映るのは

切れ長の眼の為か。



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