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20話  持ちつ持たれつ


 同日四月二十二日・銀座クラブ「嬪」二十二時 


 藤堂はソファーに座りブランデーを傾けていた。

 「ママ、今日、優瑠瑠はどうしたの?」

 「ああ、優瑠瑠ちゃん今日は風邪気味だからお休みくださいって、さっき

電話有ったわよ」

 「ああ、そうなの」

 藤堂は、優瑠瑠のマンションに押しかけようかと思ったが、風邪気味では、

しょうがないか、と思い留まった。

 

 「社長さん、たまには私のこと、お持ち帰りしてくださらない」

 「ママ、それって、僕を口説いているの? かな?」

 「だめ? かしら?」

 「まるっきりだめ…… ではないけど」

 「じゃあ…… 決まり、ね!」

 「じゃあ、決まりねって……? 普通口説く時ってさ、なんていうか、

もっと色気で迫るとかさ、いろいろとやってくれるでしょ! 普通」

 藤堂の太ももを掌で優しく擦りながら

 「ああそうか! ウフフー……ちょと、怒っている?」

 「口説くのも、楽しみのひとつだからさ、なんだか楽しみ奪われたような

気がするね。まったく世知辛い世の中に成っちまったもんだぜ!」

 「まあ―――― そんなところで、見得を切ってどうするの?」

 「男はね…… 時には見得ぐらい切れないと、な!」

 ブラデーグラスを傾け、いかにも楽しそうな目元になっていた。


 日本橋マンダリン・オリエンタルホテル三十六階 


 銀座クラブ「嬪」・ママの莉音りおんは藤堂と三十七階・

マンダリンバーのカウンター席でカクテルを飲んでいた。

 銀座「九兵衛」の寿司を軽く摘んだ後、このホテルのバーに来た。

 女性バーテンダーの教育が行き届いた落ち着いた雰囲気が、

藤堂は気に入っていた。


 莉音は、願い事が出来ると社長を誘う。

 一人の女でも有るが、「嬪」の経営者でも有る。

 藤堂は何度か相談に乗ってやっている。

 今回の相談事は、このバーで方をつける心積もりだ。

 部屋まで持ち越すと蟠りが残り雰囲気が濁る。

 「莉音、今日はどんな話し?」

 「ごめんなさいね。お願いする時だけお付き合いいただいて」

 「いやいや、そんな事ないよ。かえって解りやすくて助かるよ」

 「実は、お金の話ですが…… 今月末の支払い分、ちょっと足りなく

なってしまったの」

 「ああそう…… ママも大変だね」

 「六百万ほど足りないの」

 「六百万か……? いいよ! ママのお願いだ!」

 「ママの口座に明日振り込んでおくよ!」

 「ありがとうございます」


 藤堂は、見返りに担保などの要求を今までしたことがない。

 香坂の裏の仕事「ネゴシエイター」を手伝ってもらう事も有れば、

寝物語にトラブル相手又は、ライバル企業のトップシークレットを聞き

出してくるなど様々な事を頼む。

 持ちつ持たれつの関係がもう何年も続いている。

 ママからの願い事はバーで方がついた。


 三十六階の予約した部屋

 莉音がバスタブに満々と満たされた乳白の湯に

肩まで浸っていた。

 大きなガラス窓が映画のスクリーンのように、煌めく夜景を

映している。

 広々とした浴室には柑橘系のアロマが炊かれている。


 藤堂は立ったままで莉音にすべてを任せ全身を洗ってもらった。

 バスローブを肩に掛け浴室から追い出されたところだ。


 莉音はゆっくりとバスタブに浸るのが好み。

 優に一時間は浴室に籠る。


 その夜、二人の睦言は夜が白むまで長々と続いた。




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