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8話  土地所有者

 

 榊は二店目の店舗指導が終わった所だった。

 もう昼はとっくに過ぎていた。

 営業車の中で軽く弁当を掻き込むと法務局に向かった。

 土地の謄本から地主を当たるつもりでいた。

 土地登記簿謄本の所有権・欄に草薙慶一朗と記載が有る。

 住所は武蔵野市吉祥寺東町○丁目△△番地の表示がある。


 住所と名前をノートに書き写した。

 夕方から店舗指導の店が二店控えていた。

 地主に直接当たるのは、明日にした。


 三月十一日朝・十時

 榊は武蔵野市吉祥寺東町○丁目△△番地 草薙邸の門扉前に立った。

 薬師寺の店「メルクス吉祥寺東町店」前・バロック電子の土地所有者だ。

 門扉はブロンズ製・間口約二間 ぴったり閉まって施錠されている。

 門扉から玄関先までは、優に百メートルはある。

 先程から何度もインターホンを鳴らしているが、留守らしい。

 出直すことにした。

 本社に向かう。



 メルクス本社・店舗開発本部

 榊は倉科圭吾を探していた。

 倉科圭吾は榊と同期入社だ。

 ナチュラルマッシュに丸眼鏡を掛けた爽やかな感じの男だ。

 身長こそ百六十五程だが、気の優しい、同性に好かれるタイプだ。


 榊が倉科のデスクに行くと不在だった。

 事務の女の子にデスクを指差し……「何処……?」と小さな声で聞く。

「来客中です。直ぐに戻ると思います」

 事務の女の子が、そう答えている所に倉科が戻って来た。

「榊じゃないか……! 社内にいてもあまり会わないね。ちょっと顔色悪いぞ! 

 どうした?」

「ああ、久しぶりだね。ちょっといい……。」

「ああいいよ、そこの打合せテーブルでいいかい……?」

「顔色が悪いって? 忙しくて寝不足だ。教えて欲しい事が有るんだ」

「なんだい、やけに深刻そうじゃないか……?」

「実は担当店の吉祥寺東町店のオーナーから、店の前の工場が移転すると聴いた。

その跡地に大型スーパーが出店すると言う噂が有るらしいんだ」

「ちょっと待って……。今住宅地図持ってくるから……」

 倉科は住宅地図を広げ場所の確認をした。

 住宅地図には加盟店が記入されている。

 又,情報のあった土地には細かな文字でその内容が箇条書きで記されている。

「おお、ここか……、情報は何もないね。このバロック電子のところだよね。

ずいぶん広い土地だなあ! スーパーには持って来いだね!」

「おい、おい、冗談言っている場合じゃないんだよ」

「おお、悪い!」

「で、そのスーパーの話は本当の話なの……?」

「その話でここに来たんだよ……!」

「この地図に何も印が無いが…… その辺の情報探れない……?」

「どこの銀行が咬んでいるか解かる? それが解かれば何か引っ張り出せるかも

しれない」

「銀行か……? 明日ちょっと調べて見るよ」

「解かったら、知らせて! こっちもその線で当たって見るよ!」



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