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唯一人いた墓所

 ザク、ザク、ザク、ザク、ザク。

 唯一人の人間が、その大穴でシャベルを振るっている。

 深さは六十センチ無いくらいだろうか。人一人が横になって入ってその上に土を被せるくらいには全く問題がない。

「よっこらせ」

 穴の中から少女は這い出ると、近くに横たえていた年老いた女性を持ち上げる。なるだけそっと墓穴に入れると、上から土をかぶせ始めた。

 魔女、いや墓守は一、二メートルくらいの深さで掘っていたが、それは彼女が魔女であり、死者だったからだ。まだ生きている彼女がそんなことをすれば生き埋めになりかねない。

 カチャリ、カチャリ、カチャリ。

 石を積み上げていく。

 手を合わせる。

 墓守が消えて、『生きている』死者も見なくなった。また、あの蜘蛛のような機械ももう見ることはなくなった。たまに食料調達の時に見かけることもあるが、全ての機能を停止したかのように動かなくなっていた。

 平和な時が流れていた。

 正確な年月はわからないが、最近再び寒くなったところから暖かくなってきており、再度の春の訪れを感じさせている。

 そして今日。

「ふぅー、終わったぁーっ!」

 少女は勢いよく立ち上がり、両手を伸ばして思いきり歓声を上げた。

 大穴の底には墓標が立ち並んでいる。

 そして、周りを見渡すと。

 そこに死体はどこにもなかった。

 それらは全て、墓標の下に眠っている。

 死体が落ちてくることもなくなり、今日、それらすべての墓を造り終えたのだ。

 その光景を眺めながら、少女は感慨にふける。

 あの襲撃により、墓守が造った墓標はほとんどが壊されていた。その上に少女は墓を造っていき、墓標も下の人の分も含めて建てた。

 墓守があれほど深く掘っていたのは、その上にさらに墓を造ることを見越していたからのように思える。少女にはもう、その真意を知る術はないけれども。

 埋めた彼らが笑顔で最期を迎えられたか、それは少女には分からない、当然だ。生前に関わりない人がほとんどである。むしろ、きっと殺された彼らは、悔しかったり、悲しかったりしたと思う。けれど、少女は彼らが笑ってくれるように、墓を造った。

 ただの自己満足であることは、少女が一番わかっているけれど。

 なんとなく、救われる気がしたからだ。

 仕事が終わった感慨もほどほどに、少女は歩き出す。その手にはシャベルが握られている。

 いつものように洞穴の中に入ると、すぐに外に出てきた。そして、洞穴の入り口のすぐそばにある二つの墓標の前にしゃがむ。

「お姉ちゃん、ユキお姉ちゃん。やっと、終わったよ」

 二人の家族に声を掛ける。

 この二つの墓標だけは、襲撃の時も壊れなかった。それは偶然か、それとも墓守が護ったのかはわからない。でも、本当に壊れなくてよかったと思う。

 家族とは特別なものだ。

「だからわたし、行ってくるね」

 そう言って、少女は手に持っていたシャベルを二つの墓標に並ぶように横に突き立てる。なんとなく墓標の積み石の数が少ない方の横に突き立てといた。

「魔女ちゃんもここで待っててね」

 そう言いながら、少女は懐から小さなスコップと灰色の石を取り出し、悪戯っ子のように、にへへと笑った。

「魔女ちゃんからもらったスコップ!あと、これがユキお姉ちゃんの話してた『月の石』なんだよね?わたしはこれを持って、出かけてくるねっ!」

 だから、ここで待っていて、と。三つの墓に宣言した。

 少女はもう一度洞穴に入ると大きな荷物を持って出てくる。きっと旅に必要と判断した物資を多く詰め込んでいるのだろう。

「それじゃ、行ってくるから!だから、ここで待っててね!」

 笑顔でそれだけ言うと、少女は背を向けて歩いていった。


 残雪のなか、桜が花を咲かせ始めるような、そんな季節。

 一人の少女が、無人の墓場から世界に旅立った。


いやっはー!!終了ーー!!!感想欲しいーっ!評価欲しいーっ!レビューは……ちょっと怖いな……ま、これかいてるのは投稿の一か月前(一話目すら未投稿全話予約済み)なんですけどねー!!(感想評価ほとんど無い読みたぶん当たる)そんなことはさておき、割と代り映えしない日々を書き連ねるのは結構大変ですしお寿司……。まあでも、これもある意味日常か、とタグに「日常」とつけているんですけど、大丈夫でしょうか?うむ、問題ない!(自己解決)というわけで、こんな何もないカラッカラなこの作品をここまで読む人がいるのかどうかわかりませんけども!もしもいましたらとりあえず踊り狂っときましょう!フッフー!!いぇーい!!ズンドコズンドコ!さて、閑話休題っと(使ってみたかった)いやー、綺麗なお話を書きたかったんですよね、一応。本当にその通りになったかどうかはさておき、目指したものとしてはそうなんですよ、いやほんとに。主題としてはタイトル通りに、人間って死ぬとき本当に満足げに笑って死ねるのかという事なんですけど、実際どうなんですかね?経験者はぜひ話を聞かせてほしいものです。これ以上つらつら書くのも流石にどうか感あるので自重はしますけど、人間の生死における心理というのはなかなか興味を惹かれるところありますよねー。生死っていうのはやっぱり日頃感じることが少ないくせに、誰しもが恐れるし、最期に到達する場所だし、特別に感じるのは当然なのは(以下略

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