第一話 《勘違い》
そんなことを考えていると、口論をしていたうちの一人が
「それはそうと、お前、名前は?」
と、聞いてきた
「…ライ…です…」
「ライか、私は夕でこっちは來那、よろしくなライ!」
そう言って手を差し出してくる夕
「はい…よろしくお願いします…」
そう言って差し出された手を握ると、
「敬語やさん付けは不要…少なくともこいつには…私もなしでいい…よろしく…ライ」
そう言って、こいつと言われたことに不満がありげな顔をしている夕を無視して來那も手を差し出してきた。
「…はい…じゃなくて、うん…よろしく…」
初対面の人に敬語を使わないことが慣れていないせいか、ぎこちなく言葉を返したライは來那の手も握った。
自己紹介が終わり、少しした後、來那が、
「それにしても…ライ…あなたは一体どこからきたの?」
と聞いてきた。
「それ、私も気になったんだよね。この近くで大きな音がなったと思って探索してたら、服とかボロボの 状態のライが倒れていたからさ〜」
「…僕もわからないです…頭に蹴りを入れられた後から意識がほとんどなくて…気がついたらここに…」
そう言ってライは蹴られたときの痛みを思い出すように自分の頭に手をおいた。
「…蹴られたことについて…あまり深くは聞かない…でもこれだけは聞かさて…」
そう言って來那は少し不思議そうにして、
「何故…あれだけ服がボロボロだったのに…かすり傷一つ…ついていない?」
「え…それは來那たちが僕の手当てをしてくれたからじゃないの?」
「私達がしたのは、ライを運んで來那の部屋で寝かせたくらいさ。傷に関しては私達は何もしていないよ?」
「え…」
じゃあ何故自分の体にかすり傷一つついていないんだ?確かに結構な怪我をしていたはずなのに…
「まぁ…とりあえず服を着替えたら?…そんなボロボロな服じゃ…寒いでしょ」
そう言って來那は一着の服を持ってきた。
「あの…一ついいですか…」
「何?」
「服を貸してくれるのは助かるんだけど…男用の服って來那は持ってるの?」
今ライ達がいるのは、來那の家。男の人が住んでいるとは思えないほど女の人が好みそうな内装になっている。そんな家に男用の服があるとは思えなかったライだが、來那はこれまた不思議そうな顔をして、
「何故…男用の服がいる?…貴方、女でしょ…」
と言われた…そしてライは、
「いや僕男なんですけど…」
『え…』
その言葉に、來那だけでなく夕までもが驚きの表情を浮かべた。
「ライ…お前、流石に男は嘘だろ…」
「…長くて白い髪…透き通るような青い目…人形のように可愛い顔…これで男なら…女は一体…」
そんなことを言いながら僕に近づいてくる二人…
「あの二人とも何を…」
「貴方が男かどうかを調べる…」
そう言って來那と夕は僕の体をあちこち調べ始めた…