表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強二人の王都生活  作者: 御手洗団子
9/18

第九話換金から問題発生

「…結局、こいつの勘違いを直すことはできなかったわ」


 はっはっは。大丈夫さ。幼馴染を少しは信用しなさい。っと。そうこう言ってるうちに冒険者ギルドについちまったな。

 っとカウンターには誰もいないみたいだが。


「すみませーん」

「あ、はーい」


 昼の受付嬢さんの声だ。…昼にもいたけどちゃんと休み取ってんのかな?冒険者ギルドの受付嬢って、結構ブラック?


「あ!!やっと帰ってきましたね!!」


 お?どう言う事だ?その言い方じゃあまるで俺達を探していたみたいだが。


「え?ゴブリン退治ってそんなに難しい依頼なんですか?」

「違います!!あなた達がヒュドラを倒したと聞いて、ここで待っていたんです!!」


 あー、だったら申し訳ない事をしたなー。ここに来る四時間前にはもう王都に着いてたし、なんなら少し眠たかったから仮眠をとってからここに来たんだが。


「ヒュドラを倒したって誰から聞いたのかしら?」

「S級パーティーの深き森の獅子様からです」


 あの二人ってそんな名前のパーティーに入ってるんだ。


「で、私達のどっちが倒したって事になってるの?」

「えーと、お二方が力を合わせて倒したと聞いておりますが…」


 おいおい。受付嬢さんが困ってるだろうが、そんなに激しい勢いで聞くなよ。


「そして、その依頼の達成金はあなた方にと」

「…たまには役に立つわね」

「おい」


 何様だ。…こいつだったら「女神様よ」とか言ってきそうだな。

 S級冒険者に向かってなんて口の利き方だよ。新人冒険者の俺達よりも余程役に立ってるわ。


「いや、受け取れないですよ」

「なんでよ」

「最終的にあのヒュドラを倒したのは俺達だが、あの人達が弱らせてくれなかったら倒せなかったかもしれないだろ?」

「そんな訳ないじゃない。万全の状態のあいつとやったって一瞬で消し炭にできるわ。それはあんたもでしょう?」


 いや、まぁ消し炭にはできないけど。余裕で倒せはしただろうな。

 と言うかおいやめろ。その言い方じゃあ、「俺達の方が、あのS級の二人よりも余程強いですよ」って言ってるようなもんじゃねーか。


「とりあえず。この達成報酬、俺は受け取れない。と言うか受け取らない。すみませんが後で二人に渡しておいてくれませんか」


 と言うかそもそもこの依頼はあの二人が受けた依頼だからな。横からかっさらっていっただけの俺達に報酬をもらう権利はないよ。


「…頑固なサハギンね」

「サハギンは余計だな」

「無駄に硬い鱗ね」

「それはサハギンに対するコメントだよね?少なくとも、人間には使えないよね?」

「…分かったわよ。私も報酬は要らないわ。と言うかここで受け取ったら、あいつら二人に施しを受けたみたいじゃないの。普通逆の立場でしょ。そう思わない?下僕」


 そこで話を振らないで貰えますか?と言うか大衆の面前で下僕って言うんじゃねーって言ってんだろ。


「そんな事よりもゴブリン退治の報告からじゃないか」

「…私は記憶力のいい女神よ」


 話は逸らせたけどこれ多分後でもう一回同じ質問されるな。…まぁ今じゃなくなっただけよしとするか。


「ゴブリン退治の報告をしたいのだけれど」

「はい、ゴブリン退治ですね。ではこちらのカウンターまで来てもらえますか」


 っと。依頼の達成確認は受付カウンターじゃなくて別のカウンターでやるのか。


「こちらの台に討伐したゴブリンの耳を乗せてもらえますか?」


 …まじで、ゴブリンの耳が討伐の証明になるのか。何?これを設定した奴はゴブリンに恨みでもあるの?ゴブリンスレイヤーなの?


「多分容量が足りないと思うけど、…これよ」


 おお、空間収納。久しぶりに使ってるのを見たな。「下僕がいるなら使う必要ないわね」って言って使わなくなったからなー。

 …ってかどんだけゴブリン討伐したんだよ。台から溢れ出てんじゃねーか。

 程々にしとかねーと、耳フェチって事がバレちゃうかもしれねーだろ。バラしたくねーんじゃねーのかよ。


「わわわ!凄い量ですね!!!」

「当り前でしょう。女神である私にかかればこの位の事造作もないわ」


 やっぱりこいつに多人数戦闘をやらせたら右に出る奴はいないわ。この世界に並び立つ者がいない程の圧倒的な殲滅力。

 俺のはどっちかっつーと一対一専用だからな。いやまぁ時間かけたら多人数戦闘できるっちゃあできるけど、…正直ちょっと羨ましいわ。


「これはちょっと、…数日時間を貰ってもいいですか」

「…え?ちょっと何を言っているのか分からないわね」

「でもこれだけの量となりますと数えるのに結構な時間がかかってしまいますので」


 うん。これは受付嬢さんが正論だわ。だって天井まで届きそうな程あるもん。これを今数えて報酬をって言うのは流石に無理があるわー。


「…何日位かかるのかしら」

「明日、もしかしたら明後日位までかかってしまうかもしれませんね」

「…そう」


 今止まっている宿の宿泊料金が一晩、銀貨二枚。明後日までかかったら、宿を追い出されちまうな。


「…私達の安眠は下僕の腕にかかっているわ」

「そもそもなんで路銀がこんなに少なくなってるんですかね」

「明日、必ず銀貨二枚以上の依頼を達成するのよ」

「ちょっと?話聞いてますか?」

「かしこまりました。女神様ですって?頼んだわよ下僕」


 いや、まぁやるんですけどね?基本的にイエスマンですし?断る理由もないので?やるんですけどね?

 と言うか宿の代金ぐらい俺が出してもいいんだが、それをこいつに言ったら、「下僕に施しを受けるなんて死んでもお断りね」って言われたんだよなー。


「…やっぱりさっきの言葉を撤回しようかしら」

「やめとけ。女神の威信が崩れるぞ」

「…冗談よ」


 こいつならほんとにやりかねんからな。まじで。


「なんなら今からでも依頼を受けようか?」

「いえ。空も暗くなってるしまた今度にしましょう」


 まぁ、そーな。別に【不変】の能力で昼と夜の見え方を不変にしたら、暗視の代わりになるから大丈夫なんだが、…まぁ疲れたし明日でいいか。


「んじゃ帰るか」

「いえ。魔物退治で疲れたことだから銭湯に行きましょう」


 あー。俺今着替え持ってないんだよなー。


「あー。先行っててくれ」

「どうしたのよ。…まさか、私に隠れて依頼達成報酬を受け取る気じゃないでしょうね?」


 何の心配をしてんだよ。と言うかむしろそれはこっちの台詞なんですけど?


「ちげーよ。今着替え持ってねーから宿に取りに行こうと思ったんだよ」

「そう。…私の部屋に入ったら殺すわよ」

「そんな命知らずなまねはしねーよ」

「いや幼馴染みとか、下僕とか関係なしにマジで殺すわよ?」


 こえーよ。目がマジじゃねーか。何か見られたくないもんでもあんのか?

 …分かったぜ。そりゃ部屋に入られるのを嫌がるわけだ。

 自室って言うのは完全にプライベートな空間。他人が入ってくるなんて想像もしていないだろう。つまり部屋には自分の個人的な物、こいつの場合はそう、耳フェチグッズでいっぱいになっているって事だ!


「…なんか勘違いがさらに進行した気がするわね」

「大丈夫だ。俺はお前の部屋を勝手に覗いたりしねーよ」

「それなら構わないのだけれど…。…なんか釈然としないわね。何か重要な事が噛み合ってないままな気が…」


 何をブツブツ言ってんだよ。


「んじゃ、言ってくるわ」

「…ええ」


 さっさと着替え取ってこねーとな。今日も色々あったから、風呂にでも入って、身体を休めたいわー。

 …まぁ俺の身体は物理的に疲れないから、疲れを癒すのは精神的な方だけどな。


「ふぅ」


 王都に来て二日目だけど、村に帰りてーな。

 …別に王都が嫌って訳じゃない、むしろ来てよかったと思ってる、が、疲れたなー。


「おい」

「それもこれもあいつのせいなんだよなー。顔は美少女なんだけど性格がちょっと」

「おい、聞いてるか?」

「誘蛾灯かよって位トラブルを呼ぶし、なんならトラブルを呼び寄せてる節があるからなー」

「おい!」

「聞こえてるよ」

「じゃあ、返事位しろよ!!」


 一回目はまだ俺を呼んでるのか分かんなかったんだよ。二回目以降はめんどそうだから無視してたんだがな。


「なんすか?」

「おいおい、強い仲間がいねーのにそんなに生意気な口聞いちゃって大丈夫か?!」


 ん?なんだ?こいつ。喧嘩売ってんのか?

 …どっかで聞いた事がある声だな。確か、王都に来てから二回程絡んできた…。


「…フラッシュバック?」

「ブラックファングだ!!」


 あ、そうそうそんな感じだったな。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ