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最強二人の王都生活  作者: 御手洗団子
7/18

第七話ゴブリン?討伐から強者認定?

 ふぅ、転移完了ね。あいつが路銀の真実に触れそうだったから、わざと遠い所にテレポートしてやったわ。

 ゴブリンの殲滅があらかた終わった辺りでこっちに呼びましょうって……あら?


「何かしら?下僕の近くにある巨大な魔力は」


 ドラゴンか何かかしら?

 ドラゴン並みに膨大な魔力を持った生物が近くにいるなんて、ちょっと聞いてないんだけど。こんな魔物がいるんだったらゴブリン退治なんて到底できないじゃない。


「…受付を担当してるならそれぐらい教えときなさいよ」


 仮にも新人をドラゴンのいる森に行かせるなんて。

 …まぁ、下僕だったら問題はないでしょうけど。それに手傷も負ってるみたいだし、多少は倒しやすくなってはいるのかしら?それにしたって新人冒険者にとっては無理難題だと思うのだけれど。 

 …王都はスパルタ方式で冒険者を育てているのかしら?


「なるほど。だから脳みそまで筋肉が詰まってるような冒険者しかいないのね」


 合点がいったわ。道理でパッパラパーの脳みそスポンジボブ達しかいない訳だわ。王都の方針で脳みそ筋肉化計画が進行していたのね。

 だったらこの依頼を完遂させた後、ギルド長に直談判しに行かないといけないわね。教育方針が間違っているなら女神であるこの私が直してあげるのが筋ってもんでしょう?


「まぁ、あいつが依頼を放棄している間。私は私でゴブリンの殲滅をしようかしら」


 あいつに借りもできるしいい機会ね。

 今、私の目の前にあるこの洞窟がゴブリンの住処となっているのよね。…うーん討伐証明のために右耳を切り落とさないといけないから、少し面倒ね。


「燃えなさい」


 まぁ、多少疲れるけどこの方が安全ね。女神である私が、一匹一匹であった端から右耳を切り落としてから燃やすなんて事できないわ。そう言うのは下僕の仕事であって女神がする事ではないもの。

 …ん?何かしら?数匹だけ私の魔法に抵抗するゴブリンがいるのだけれど。不愉快だわ。ゴブリンの分際で。


「消えなさい」


 うん。右耳以外跡形もなく塵となったわね。ゴブリン風情が調子に乗るからこうなるのよ。女神が燃えろと言ったら燃えるのが仕事でしょう?

 ……約一名だけどんなに燃やしたいと思っても燃やせない奴がいるけど。まぁあいつは私の下僕だししょうがないわね。


「集まりなさい」


 風によってどんどんとゴブリンの耳が運ばれてきて山を形成していく。…こうして耳だけで構成された山をみると気持ち悪いわね。いっそ全部燃やしてしまおうかしら。…ダメよ。いくら私が女神過ぎるからと言って気持ち悪いと言う理由だけで金策を燃やしてしまうなんて。


「しまわれなさい」


 見ているだけで燃やしたくなってしまうから、これはもうさっさと収納してしまった方がいいわね。私の空間魔法の収納にゴブリンの耳が収納されていく。…最後まで気持ち悪かったわね。


「…不愉快だわ」


 私の女神過ぎる目が毒されてしまったわ。たかがゴブリンが女神である私に精神攻撃を仕掛けてくるなんて。次あったら欠片も残さずに燃やし去ってやるわ。

 それにしても何かを燃やしたい気分ね。何かを燃やしてこの気持ちをリセットしたいわ。…ちょうど下僕の戦いも終わった事だし下僕でスッキリしましょう。うん、そうしましょう。


「テレポート」



 …おいおい。聞いてないぜ。ゴブリンの討伐依頼として受けたのに、なんだこの魔物は。もしかしてこいつがゴブリンなのか?


「グルルルルル…」


 首が九本あって?見上げるほどの巨体で?口から火と毒と思わしき液体(地面に触れた瞬間ジュッって音を立てて地面から煙が出る)が漏れ出てて?背中からは翼が生えてやがる。

 どう特殊変異したらゴブリンがこの姿になるんだよ。それともあれか?王都ではこいつの事をゴブリンって呼んでんのか?


「フシュルルル…」


 え?王都はこれを新人に受けさせるの?これが王都流の新人冒険者育成法?ああ、でも手傷も負ってるし、多少は倒しやすくなってるのか。

 なるほど。道理であんな脳みそ空っぽのすっからかんパーティーができあがる訳だ。それが王都の新人冒険者育成方針なのか?


「ガアアアアア!!!」

「うるせーよ。考え事してるから少し黙ってろ」

「ガルゥア!!!」


 おっと。あぶねーな。人が考え事をしてる時にいきなり噛みついてくんじゃねーよ。


「よっと」

「グギャアア?!!!」


 丁度殴りやすい位置に顔があったから吹き飛ばしておいたが。……再生すんのかよ。はぁ、これが王都のゴブリンか。


「うーん」

「グルァアアアアアア!!!!!!」


 基本的に俺は防御主体のタイプだからなー。こう言うタイプは苦手とするんだが。まぁ、出会ったもんはしょうがないなー。


「よっと」

「ギャアアアア!!!」


 一応首を吹き飛ばす毎に弱ってはいるみたいだから、このままぶん殴り続けるのも悪くはないが。翼も生えてるし空中に逃げられると俺はどうしようもないしなー。


「しょうがない」

「キシャアアアアアア!!!!」


 それにあんまり時間かけるとあいつがうるさいからなー。さっさとこいつを倒してあいつを探しに行かないといけないから、…少しばかり強めに殴っとくか。


「よっこいせ」

「ギャアァ……」


 っともう再生しなくなったか。ふぅ、久しぶりに疲れた。


「燃えなさい」

「……おいおい、疲れ果ててる幼馴染に対してずいぶんなご挨拶だな?」


 普通、自分の幼馴染が疲れて倒れてるところにテレポートまでして火魔法をぶつけますかね?


「ふん。下僕が疲れるなんてありえないでしょ」

「いや、まぁそうだけど」


 よっと。まぁ幼馴染だから分かるか。俺の身体には常に【不変】がかかってるから疲れるなんて事はありえない。


「で、ゴブリン退治は終わったか?」

「ええ。下僕が雑魚と戯れてる間にね」

「お前がここに飛ばしたんだろうが」


 あ、そう言えば路銀の話をしようと思ったんだった。


「そう言えば聞こうと思ってた事があるんだが」

「おーい!!大丈夫か!!」


 …誰だよ?タイミングの悪い奴だな。ってか何か聞き覚えのある声だな。


「大丈夫か?ロウ」

「ガルフさん?」


 あれ?ガルフさんが何でこんなところに?


「ちょっと、私魔法使いなのよ?ちょっとはパーティーメンバーに配慮しなさい」


 おお!物凄い美人だな。レイとためを張るレベルだ。それに凄い実力者だ。


「あら。もう見つけたのね」

「…アドリアさん」


 お?レイの知り合いか?にしてもこんな美人といつ知り合ったんだ?後、なんで唐突に俺のつま先を執拗にスタンピングするんですか?


「坊主大丈夫か?」

「ガルフさん。どうしてこんな所に?」

「実はこの森にS級の魔物が来ていたのよ」

「S級の魔物ですか?」


 なるほど、だから風呂で会ったのか。王都にはその魔物を追ってきていたんだな。

 まさかさっきのゴブリン亜種か?嫌でも俺でも倒せたレベルのモンスターだからなー。さっきのゴブリン、なんか手傷を負ってたみたいだし、多分そのS級の魔物から逃げて来たんだろうな。


「って坊主後ろ!!」

 

 後ろ?後ろにはグチャグチャになったゴブリン亜種以外はないはずだが。


「ガルルルルァアアアアア!!!!」


 …上半分を俺が吹き飛ばしたはずだが。その状態からでも再生すんのかよ。ったくしつこいゴブリンだな。


「ったく下僕は詰めが甘いわね」

「いや、しょうがないだろ。ここまで再生能力が高いとは思ってなかったんだよ」

「談笑してないで、逃げなさい!!」


 え?でも相当弱ってるし、もう一回ぐらい頭吹き飛ばしたら死ぬと思うんだが。


「燃えなさい」


 っと。こいつが燃やしたから問題ないな。流石に今のでやられただろ。


「うん。跡形もなく灰になったな」

「なっ。…今のはそこの嬢ちゃんがやったのか?」

「そうだけど?」

「…凄い威力の魔法ね」


 まぁ、こいつは規格外って言うかなんて言うか。普通の物差しでこいつを見たら、物差しが何本あっても足りないぜ。


「ええ。一応は」

「でもあなたが魔法を使う前から瀕死だったみたいだけど」


 ちょっと。こいつの機嫌を損なうのは止めてもらっていいですか?その言い方だとこいつは「あなたの実力で倒した訳ではないんでしょう?」と捉えるんで。そのしわ寄せが俺に来るんで。いやほんとに。


「ああ。だとしたらこいつを瀕死にするような強い魔物がこの森にまだいるって事になるな」

「だとしたら不味いわね。私達の手に負えない可能性があるわ」

「あのぉー」


 うわー。このタイミングで言うと俺の実力を誇示しているみたいに思われるから嫌なんだけどなー。しかも、こいつの機嫌も損ねる事になりそうだし、後でどんな目に遭わされるか分かったもんじゃない。


「ん?なんだ?ロウ」

「あのー、そいつを瀕死にしたのは俺です」

「は?」


 だから嫌だったんだよー。絶対に「え?何言ってんの?こいつ」って感じになると思ったんだよー。うわー。恥ずかしー。俺がイケメンだったらこんな空気にはならなかったんだろーなー。


「流石にそれはないわよ。隣の子にいい所を見せたいって言うのは分かるけど。本当の事を言いなさい」

「……」

「……」

「あー、やっぱりそうですよねー」


 そりゃ、こんな地味顔の奴が「S級の魔物を倒しました」って言ったって信じてもらえる訳はないよなー。


「いや、もしかしたらあり得るかもしれん」

「はぁ?!何を言ってるの?ガルフ」


 え?何この空気?ってかなんでこいつはさっきから一言も喋らないんだよ。


「この坊主だったらそれぐらいはできそうだ」


 ……ガルフさん。俺が女だったら惚れてるね。…まぁ同じパーティーにこんな美女がいるから地味顔の女はいらないと思うけど。


「何とち狂った事言ってるの。こんな地味な子がこんな化け物を倒せる訳ないじゃない」

「いや、顔は地味かもしれんが実力は確かにある」

「…あんたよりも?」

「ああ」


 いや、防御力に特化してるのでそこまでではないですが。


「…そう。あなたがそこまで言うんだったら仕方ないわね」

「…すまんな」

「別に構わないわよ。ただほんとに信じた訳じゃないわ」

「今はそれでも構わないさ」


 ふぃー。なんとか穏便な形で収まりそうだ。いやー、ゴブリン亜種との戦いよりもヒヤヒヤしたぜ。


「じゃあ、ヒュドラの討伐報告に行くわよ」

「あいよ。坊主達ももう暗いし気を付けて帰れよ」

「分かりました。ありがとうございました」


 うわー。かっこいー。俺もあんな大人になりたいなー。ってかさっきからずっと喋ってないけど、どうした?


「…ムカつくわね」

「は?」


 ちょっと。レイさん?

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