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最強二人の王都生活  作者: 御手洗団子
2/18

第二話宿から風呂へ

 ふぅ…。やっと物理的に肩の荷が下りたぜ。まぁ、肩に担いでた訳ではないが。


「で、どうするのよ」

「ん?何の話だ?」

「さっきの自称王子様の事よ」


 あー。まぁ、何とかなるだろ。一ヶ月後には学校なんだし、学校に通いさえすればまぁ、教師が守ってくれるし問題はないんじゃねーの?


「って言うかさっきはお前も嬉々として煽ってただろうが」

「そんな過去の話をネチネチと言うなんて、器量が知れてるわね。…あんたねぇ、ただでさえモテないのに、そんなじゃ増々モテないわよ」

「お前が王子様の事を言い出したんだろうが」

「ほら、また過去の事を持ち出してるじゃない。ったく」


 え?え?これって俺が悪いんですか?何で俺今非難されてるんですか?


「もし、ほんとに王子様だったら不味いんじゃないの?」

「まぁ、学校の校則に生徒は身分関係なく平等にってあるから問題ないだろ」

「はぁ、…もうちょっと考えて行動しなさいよね」


 お前が言うなよ。いや、まじで。


「それに最悪の場合は近くの森まで逃げればいいしな」

「いやよ、王都まで来たのにまた森でサバイバル生活なんて」


 いや、お前にも責任の一端はあるんだからね?それちゃんと理解してる?


「しっかし今日は疲れたな」

「そうね。誰かさんのせいでね」

「もともとお前が声かけられたのが原因なんだけどな」

「あら。ごめんなさいね。私が美しすぎた事であんたに迷惑がかかっちゃって」

「てめーに謝る気がねーって事はよーく分かったよ」


 まぁ、誰が悪かったなんてのは過ぎた事だしどうでもいいんだが。


「さてと」

「ん?どこか行くのか?」


 もう空も暗くなったし、別に買わないといけない物もないから何もすべき事はないはずだが。


「…風呂よ」

「あー、そう言えば入ってないな。俺も行くか」


 今日は疲れたからな。風呂にでも浸かってゆっくりするか。


「何?付いて来る気なの?」

「嫌だったら別に後から行っても構わないが?」

「…それぐらい別にいいわよ」


 ん?なんだこいつ?付いて来て欲しくないんじゃねーのかよ。


「行くんならさっさと準備しなさいよ。私はもうできてるんだけど?」

「りょーかい」


 明日以降は何事もなく過ごせればいいけどなー。


「準備できたわね。それじゃ行くわよ」

「あいよー」

「あまりにも私が魅力的過ぎるからって覗こうとしないでよ」

「しねーよ。天と地がひっくり返ってもありえんわ」

「は?私の身体が魅力的じゃないって言ってるのかしら。殺されたいの?」


 何て答えたら良かったんだよ…。


「…お前は覗きたいほどに魅力的だけど、覗きはしないよ」

「犯罪予告かしら?女性の前で風呂を覗きたいと口走るなんて」

「理不尽過ぎんだろ…。何て言ってもダメじゃねーか」


 と言うかこいつ村にいた頃より饒舌になったな。都市の空気は自由にするとはこの事か。


「そんじゃ、明日はどうする?」

「そうね…。まずは学校に下見に行きましょうか」

「そうだな。寮に荷物を置かなきゃ行けないしな」

「後は学校の設備とかも見てみたいわね」


 あー、まぁ大陸一の学校を自称してはいるからな。相当な設備があるだろうなー。一ヶ月後が楽しみだわ、ほんと。


「まぁ、さっきの自称王子もあの学校に在籍してるみたいだけどね」

「ん?そうなのか」

「はぁ…。学校の制服を着てたでしょう?」


 あー、確かに。顔ばっか見てたわ。


「見た目通りの腐った目してるわね」

「どんな見た目してんだよ、俺は」

「まぁ、一言で表すなら、サハギンね」

「え?まず、人じゃないよね?どっちかって言うと魚だよね?」

「ある意味池メンよね」

「誰が上手い事言えと」


 中の中はあると自負してたんだが。


「まぁ、その腐った目を直したら、真面に見えない事もないわね」

「生まれつきなんですけど」

「…来世に、期待しなさい」

「やめて?そんな慈悲深い目で見ないで?慰めるように肩に手を置かないで?」


 思っとくけどそれは俺の母と父に失礼だからな?っと、風呂に着いたか。


「もう一回言うけど覗いたら殺すわよ」

「安心しろ、俺も自分の命が惜しい」

「そ、残念だわ」


 軽々しく幼馴染を殺そうとするんじゃねーよ。そもそもお前が王都に誘ったんだからね?そこんところ分かってる?


「じゃーな」


 ふぅ、やっと、疲れを癒せる。…色々あったからなー。


「しつれーしまーす」

「あいよ」


 あれ、誰かいるのか?結構夜も更けてるんだけどなー。


「坊主見ねぇ顔だな?」

「あ、どうも。今日から王都に来たんですよ」

「そうなのか」


 おお。すげぇ筋肉、それに全身に走る夥しい数の切り傷。一目でわかる、この人歴戦の戦士だ。


「すいませんね。貸し切りだったのに邪魔しちゃって」

「いやぁ、別に問題ねーよ」


 うわ、近くで見るとすごいな。威圧感と言うか何と言うか、多分名の知れた冒険者なんだろうなー。


「どうだった?」

「ん?何がですか?」

「王都、初めて来たんだろ?」

「あー、やっぱ凄かったですね。祭りでもやってんのかよって思いました」


 まぁ、午後は疲れる事があったけど。


「がはははは!そうだろうなぁ!」

「ええ。そうなんですよ」

「しっかし坊主。やるなぁ」

「何がですか」

「全くもって隙が見当たらねぇ」


 おいおい。やめてくれよ、今日はもう宿に帰って寝たいんだ。


「お前王都に何しに来た?」

「あー、王都に有名な学校がありますよね?」

「ああ。アウゼリア国立魔道学校だな?」

「それです。それに推薦入学することになったんですよ」

「まじかよ!すげぇじゃねぇか!」


 え?そうなのか?辺境の村から推薦されるって事はあんまり凄くないと思ってたわ。


「そうなんですか?」

「お前知らねぇのか?」

「ん?何をですか」

「…その反応は知らねぇようだな」


 だから何をだよ。


「アウゼリア国立魔道学校が大陸一の学校って言ってるのは伊達じゃないんだよ」

「つまり、まじで大陸一って事ですか?」

「ああ。そして推薦入学は滅多にされることはない」

「そうなんですか?」

「余程スキルが凄くないとされないからな」


 へぇ、自称大陸一じゃねーのか。それは、結構設備に期待してもいいのかなー。


「ほーん」

「…まだ分かってねーっぽいな。アウゼリア国立魔道学校は英雄の育成のために建てられた学校だ」

「それくらいは知ってますよ。魔王の危機に対抗するために勇者タナカが建てた学校でしたよね。確か」

「そうだ。つまりお前は英雄になる素質があると判断されたから推薦入学が認められた訳だ」

「なるほどー」

「…本当に分かってんのか?」


 まぁ、一応は分かってるつもりだ。要はそれくらい異例なことだって事が言いたいんだろ?


「まぁ、今から言っても分かんねーか」

「まぁ、そうですね。あんまりピンと来てないです」


 いきなり英雄候補って言われてもな。そんなん柄じゃないって言うかどっちかって言うとあいつの方が英雄って感じがするな。…あの性格は置いておいて。


「まぁ、学校に行ったら嫌でも分かるさ」

「そうですか」

「あ、まだ名乗ってなかったな」

「あ、そうですね」

「俺の名前はガルフだ」

「自分はロウです」

「ロウか…。よく覚えておこう」


 なんかそう言われると止めて欲しくなるよな。


「よっと」

「出るんですか」

「ああ、結構長湯しちゃったからな。それに待ち人もいるし。…またな、坊主」

「ええ、さようなら」


 ふぅ、これで風呂を独り占めできるな。…いや、別にガルフさんと話すのが嫌って訳じゃないが、まぁ風呂は一人で入りたいよね。


「はぁ、最高だ」

 

 今日は本当に疲れた。



 ふぅ、今日は勘違い男が話しかけてきて大変だったわ。まぁ上手く下僕が撃退したけど。


「失礼します」

「あら、こんな時間に客なんて珍しいわね」


 …こっちのセリフね。はぁ、折角一人風呂だと思ったのに。


「…どうも」

「見ない顔ね」

「今日王都にやって来ましたから」


 …無駄に綺麗な人ね。スタイルも抜群だし、シルクのようなサラサラな翡翠色の髪の毛。ハイエルフか何かかしら?それに、周りに充満してる魔力から判断するに相当な実力者ね。まぁ私やあいつには及ばないでしょうけど。


「相当強そうですね。高名な冒険者様ですか?」

「まぁ、ある程度は有名ね」


 なんかムカつくわね。余裕な態度って言うかなんて言うか、ムカつくわ。


「王都には何をしに来たのかしら」


 何でそれをあんたに言わないといけないのかしら。


「アウゼリア国立魔道学校に推薦入学しに来たんです」

「…へぇ」


 おっ、反応したわね。これは私の勝ちね。よっし。


「じゃあ凄いスキルを持ってるのね」

「いや、そんなことないですよ」


 どっちかって言うとあいつの方が凄いスキルね。まぁ、私が凄くない訳ではないけれど。


「いや、ほんとに凄い事なのよ?アウゼリア国立魔道学校に推薦入学されると言う事は、英雄候補に選ばれた規格外の実力者って事なんだから」

「いやいや、そんなに凄い物ではないですよ」


 あいつの方が規格外の実力者って感じね。まぁ、顔は村人Aって感じだけど。勿論、私も規格外の実力者ではあるけどね!


「あ、そうそう名乗ってなかったわね」

「あ、そうですね」


 別に興味ないけれど、一応覚えておこうかしら。


「私の名前はアドリア。一応S級の冒険者ね」

「凄いですね!あ、私の名前はレイです」


 へぇ、S級って事はなかなかの実力者ね。何がある程度は有名よ。謙遜も程々にしときなさいよ。


「覚えておこうかしら」


 是非とも止めて欲しいわね。むしろ直ぐにでも忘れて欲しいわ。


「それじゃあ、私はそろそろ上がろうかしら」

「もう上がってしまうんですか?」

「ええ、結構長湯してしまったからね。それに待ち人もいるし」


 じゃあ、こんな時間まで入ってるんじゃないわよ。


「それじゃあ、またね」

「ええ、さようなら」


 願わくば二度と会いたくはないわ。…って言っても結構な頻度で会う事になりそうね。女神の堪って奴よ。

 ふぅ、…やっと余計なエルフがいなくなったわ。これで貸し切り状態になったわね。


「はぁ、最高だわ」


 今日は本当に疲れたわね。


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