表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強二人の王都生活  作者: 御手洗団子
18/18

第十八話お願い事から能力強化

「今、なんて言った?」

「兄貴が自分の事を好きなるようにお願いしたんすよ!」


 なんて事をしでかしてくれたんだ。と言うかどうしてそんなお願いをしたんだ。いや、別にお前の事を嫌ってた訳ではないんだがな?こう心の準備もクソもない感じじゃん?今の状況って?

 まぁ、まだ今なら撤回できる。さぁさっさと撤回するんだ。ハリー!!アァップ!!


『…まぁ。いいだろう。願いを叶えてy』

「ちょっと待ったー!!」

「なんすか?いきなり」

「その願い、ちょっと待っただ」

『どうしてだ?お前はそのいささか小さい小娘に、お願い権を譲っただろう?』


 それを議論する前にまず、お前の言動がおかし過ぎるだろ。主に言の方が。

 まず、いささか小さい小娘ってなんだ?小さい二回言ってんじゃねーか。「頭が頭痛でいてぇ」と同じシステムになってんだよ。

 後なんだ?お願い権って。いや、聞いた後しばらくしたら、「ああ。お願いをする権利の事か」って分かったんだが、俺の人生の中で一度も聞いた事ねーぞその権利。


「いや、まぁそうなんだけどな。流石に今の願いは看過できないって言うか」

『でも何もお願いが浮かばなかったから、そのいささか小さ過ぎる小娘に譲ったのだろう?もう譲渡し終わった後にその話を蒸し返すのはどうなんだ?』


 いささか小さ過ぎる小娘って、どんだけ小さいんだよ。何、俺の舎弟って、でかめの精霊だったの?

 それは置いといて、まぁ確かに譲ったのは俺だし、それを今更蒸し返すのは男としてどうなんだ?って言う思いも勿論ある。がしかし、その願いに俺が関係してくんなら話は別だろ。


「いや、そうね?確かに、その件を今更蒸し返すのは男としてどうなの?って意見もあるよ」

「そうっすよ。諦めて俺の事を好きになるっすよ」


 お前はそれでいいのか?

 と言うかお前散々俺の事、「兄貴兄貴兄貴兄貴」言ってるけど、ぜんっぜん俺に、兄貴に対する対応をした事ないよね?…まぁ兄貴に対する対応がどんな物なのか知らないんだけど。


『では、その願いでいいんだな?』

「いいっす!!」

「ちょっと待て、全然よくないぞ?!!」

『ではいくぞ!!』


 俺の意見は?ねぇ?俺の意見は無視ですか?頑なに俺の方を見ようとしないんだけど。こいつ等。


『これで完了だ』

「やったー!!これで兄貴が遂に俺の事を!!」

「…あれ?別になんも変わってねーぞ」

『「え?」』


 うん。こいつを見ても今まで通り、「小さい騒々しい奴」としか思わんが?


『バカな!我の魔法は確実に成功したはず!!』

「…兄貴!!今俺の事どう思ってるっすか?!!」

「ん?別に?絡みが少々うっとおしい小動物みたいな感じだが」

「うっとおしい…!絡みがうっとおしい…!!」


 おい。お前がどう思ってるか聞いてきたんだろ?なんでそう落ち込んでるんだよ。


「うっとおしい……。兄貴が俺の事をうっとおしい……」

「おい、こんな森の真ん中で双子山座りをするんじゃねーよ。尻汚れんぞ?」

『どうなってるのだ?!!我の魔法が、ただの一般人に通用しないとは!!…貴様、前々から監視していたが、やはり魔王軍の手下か!!』

「お前はなんでだよ」


 結論が飛躍し過ぎだろうが。

 …でもなんでこいつの魔法が俺に効かなかったんだろ?いや、まぁ効かなくて良かったんだけど。

 ……ん?あれ?俺って【不変】ってスキルを持ってたよな?

 …絶対これじゃん。と言うかなんで今の今まで忘れてたんだよ。さっき思い出してたらあんなに慌てる事もなかったんじゃ。


『じゃあ何故我の魔法が効かん?!!そんな事は一度たりともなかったぞ!!!』

「多分俺のスキルが原因だ」

『貴様のスキルが原因?!!どう言う事だ?!!』


 と言うかこいつ怒り過ぎだろ。何をそんなに怒ってるんだよ。


「俺は【不変】って言うスキルを持ってるんだよ」

『【不変】。…なるほど。それで我の魔法を受けても状態が変わらなかったと言う事なのか』

「そー言う事だ」

「卑怯っすよ!!!そのスキル!!…と言うかさっきから言おうと思ってたんすけど。そのスキルって、そう言う使い方できたんすね?」

「そう言う使い方ってどう言う事だ?」


 俺としては別に普通に使ってるだけなんだが。


「神獣様は病気にかかってたじゃないっすか?」

『ああ。と言っても、もう治ったがな』

「それがおかしいって言ってるんすよ!!」


 うお。急に熱くなんなよ。びっくりするから。


「いいっすか!!さっきまで神獣様は病気にかかってたんすよ」

「ああ」

「その上から【不変】を使ったら、病気の状態から不変になっちゃうんじゃないっすか?」


 …あー。なるほど。言いたいことはだいたい分かった。


「あー。これは口頭での説明が面倒だな。おい、精霊王」

「…何かしら?」

「蝋燭か何かを持ってないか?」

「持ってないわよそんな物」

「松明だったらあるっすけど」

「んじゃそれでいいや」


 なんでこいつ松明なんか持ってんだ?日帰りの探索だって言っただろ?


「んじゃ松明に火を点けてくれ」

「無理っす。自分土魔法以外使えないんで」

「…ほら」


 おお。お前も無詠唱で魔法が使えたのか。


「んじゃ、お前の疑問を解くぞ」

「お願いするっす」

「…で、何をするつもりなのかしら?」

「今から俺がこれに【不変】を使う」


 【不変】。


「すると、この松明は消えなくなる。ちょっと消してみてくれ」

「…水球」

「おお!水の中でも燃えてるっす!!」

『…これがお前のスキルなのか』

「そ。【不変】って言って。対象を不変にするスキルだ」

「でもこれじゃ、疑問が疑問のままっすよ!」

「んで、こっからが本題。っと、つめてーな」


 水球の中って、思ったよりつめてーのな。夏にいい能力だなー。


「この松明の不変をとく。そしてもう一度【不変】をかける」

『…火が消えたぞ』

「スキル失敗ね」

「ほえー。兄貴でも失敗するんすね」

「いや、これでスキル成功だ」

『「「は?」」』


 いや、「何言ってんだこいつ」みたいな顔でこっちを見てくんじゃねーよ。

 ほんとに成功したんだって。別に失敗したのが恥ずかしくてそれを隠すために言った訳じゃねーよ。むしろ予定通りだ。


「俺が狙ってた通りだ。お前が言ってんのもこう言う事だろ?」

「そうっすけど。どうやったんすか?」

『そうだな。火が点いた松明に、【不変】をかけたら消えたと言うのは』

「…理解に苦しむわね」

「まぁ、今から説明するから。ちょっと待っとけ」


 あれ。これって結局口で説明する事になってね?…まぁいいか。


「さっきの【不変】は、火の点いた松明にかけた物だ」

「それは言われるまでもなく分かってるわよ」

「俺達が知りたいのは、なんで火が消えたのかって事っす」

「んじゃ、言葉を直すと、一回目は火が点いた状態の松明に【不変】をかけた物だ」

『…つまり二回目は火の点いていない松明に対してかけた物だ。と?』

「そう言う事だな」


 なんとか分かってくれたか。


「…なるほど。どの状態を【不変】の対象するかで変わってくるのね」

「ああ」

「えーと。じゃあ、兄貴の【不変】は、事後でも使えるって事っすか?」

「ん?ああ。そう言う事になるなー」


 流石に死人を生き返らせる事はできねーけどな。


「すっげー!!じゃあマジで無敵じゃないっすか!!!」

「そうでもねーよ」

『…これは我でも倒せんかも知れんな』

「人間界にはとんでもない化け物がいるのね」


 って、そうじゃねーんだ。俺達がこの森に来た理由を危うく忘れる所だったぜ。


「んじゃ、依頼達成って事で帰りたいんだが」

『まぁ待て。こっちにこい』

「ん?なんだ?」


 しっかし、器用に羽を使う鳥だな。こいって言う時も羽の先だけクイッて曲げてたしな。


『お前に我の加護をやろう』

「…さっきのお詫びと言うかなんと言うか。んっんん、私も加護をあげるわ」

「あ、マジで?」


 神獣からの加護ってなんか凄そうだな。…あ、別に精霊王からの加護が凄くなさそうって思ってる訳じゃないぞ。


『お前、名は何と言う?』

「ロウだ」

「ロウ。あなたに精霊王ベルニカから加護をあげましょう。これであなたは精霊に好かれやすくなったわ」

『神獣フェトルからも、ロウに加護を与えよう。これでお前は樹魔法を使えるようになったぞ』


 おお!ありがたいけどなんて言うか、こう、過剰戦力じゃない?

 今よりも強くなったら、結構不味いと思うんだけど。


『これで、加護を与え終わった。ベルニカ、この二人を森に返してあげなさい』

「かしこまりました神獣様。それでは」

『うむ。またな』

「んじゃ、また」

「それじゃっす」


 いやー。まさか王都に来て三日目で神獣に会うとはなー。

 まぁそんな事よりも……今って、何時だ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ