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最強二人の王都生活  作者: 御手洗団子
17/18

第十七話神獣登場から治療終了

『何もない所だが歓迎しよう。そこのいささか小さい娘も、遠慮する事はない』

「あ、いえ。私の事はお気になさらず。お二方でどうぞ」


 …私?今こいつ「私」って言ったか?一人称が俺から私に変わったのか?こいつが?これが神獣パワーか。流石神獣様と言った所か。

 と言う事は、それだけ神獣がこの国で崇められてる存在だって言うなの事なのか。まぁ、こいつこの国に来てからまだ日が浅いんだけどな。


『今日は我を治しに来てくれたのだろう?お前達の会話は全て覗かせてもらったよ』

「流石神獣様」

「まぁ、ここに来たのも偶然みたいな物なんだけどな」

「ちょっと!神獣様の御前なのよ?!!もうちょっと敬意を払った対応をしなさい!!」

『ふっふっふ。構わんよ。我としても、この場所に人間が来るのはいささか久しぶりなのでな。少し興奮しておる』

「そうなのかー。でもこうやって話をしている分には、思い病気にかかってるって感じはしないけどなー?」


 普通に俺と話せてるし、見てる感じ別になんら変わりはないんだが。

 まぁ、って思っても、会ったのもさっきだし、それに病気って言うのは見た目じゃ分かりにくいものだからな。


「んじゃ、軽い質問からしていくぞ」

『分かった。答えられない質問は答えんが』

「そりゃ、別に構わん」


 だってこの質問の時間もほんとだったら、いらないんだからな。

 俺の【不変】で通常の状態から不変にしたら、病気が治るって言うか直る?


「んじゃ、まず一個目の質問だ。病気にかかる前に、その病気の予兆と言うか兆候?みたいな物って何かあったか?」

『…いや?何もなかったように思うが』

「ふむ」


 何の兆候もなく病気かかったのか。そりゃ珍しい事だな。

 病気って言う物は、かかる前に何かの兆候を見せるもんなんだが。

 例えば、疲労が溜まってたり、寝不足が続いてたり、後はそうだな。周りに感染してる人がいたりなんて言う事があって病気にかかるもんなんだけどなー?


「んじゃ、外に出たりなんて事をしたとかもないのか?」

『ないな。ここ数百年は外に出た記憶がない』


 …あっぶねー。今一瞬「引きこもりじゃねーか」ってツッコもうとしたー。よく耐えたな。俺。

 ツッコむ寸前で止めたから良かったものの。ツッコんでたら取り返しのつかない事になってたかも知れんな?なんせ相手は神獣様なんだから。

 でも数百年も外に出ねーって、相当レベルの高い引きこもりだぞ?何だ?引きこもり神か?引きこもり神なのか?


「じゃあほんとに感染の原因に心当たりはないんだな?」

『ああ。思い当たる節は全くない』

「そりゃ、困ったなー」

「ちょっと。治せるって言ったでしょ?今更治せないなんて言わないわよね」

「…治せるは治せるんだが…」

「じゃあ、とっとと治しなさいよ!…もしかして怖気づいたのかしら?そりゃ仕方ないわよね。だってあの神獣様でも治せなかったんですから」

『ベルニカ。ちょっと抑えなさい』

「だいたい。神獣様に向かって、何なのよその態度!さっきから失礼にも程があるわ!敬語を使いなさいよ!」

『ベルニカ。落ち着きなさい』

「そもそも。私は期待してなかったわよ!あなたが、神獣様を治せるなんてね!!あなたも。いざ神獣様を目の前にして怖くなったんでしょ?!自分の技術じゃ、治せないと分かったんでしょ?!ほら!言い返してみなさいよ!!!」

『ベルニカ!!!!』


 うおっ。びっくりした。こう、何て言うか心臓を鷲掴みにされた感じがしたね。

 比喩表現じゃなく森がざわついてたな。流石真珠様。これぞ鶴の一声。

 

『我が心配なのは分かるが、少し落ち着け』

「だって私は…!!」

『お前の気持ちは分かっている。我の寝込んでいる姿を見て、心配してくれたのだろう』

「だって、…だって」


 ちょっとちょっと。困るんですけど?こう言う湿っぽい展開。

 だって俺ギャグ担当ですし?何て言うかそのー、そっちの人選ミスと言いますか?

 こう言う場面なら、どっちかって言うと、あいつの方が似合ってると思うんですよー。こうズバッと言ってやるみたいな、ね?分かりますかね?この感じ。場違い感と言いますか何と言いますか。


「…あー、そー、だな。一旦治しちまった方がはえーか。うんそうしよう」

『何をブツブツ言っていいるのだ?』

「ちょっと俺の手を掴んでくれ」

『ん?何故だ?』

「今からお前の病気を治す。その方が話が早く進むからな」

『…ん?手掴むだけで治るのか?』

「そーだけど?」


 ほんとは掴むじゃなくて触れるだけでいいんだけど、まぁ医者っぽい雰囲気みたいな物も必要じゃん?


「…嘘、嘘嘘嘘…!!そんなんで治る訳ないじゃない!!治せないからってそんな嘘つくなんて、信じられない!!」

『…本当に手を掴むだけでいいのか?』

「ああ。別にそれだけで構わん」

「ちょっと、神獣様?!!この男の妄言を信じるんですか?!!」

『掴んだぞ、これでいいのか?』

「あー、それで大丈夫だ。行くぞー、【不変】」


 うん。スキルを使えた感じがあったから、多分スキルは成功したな。

 これで病気が治らなかったら、多分だけど気分の問題だなー。

 流石に精神病は治せないわ。人の精神に関与する事は難しいからな。一歩間違ったら幼児退行する危険性があるから、やりたくないって言うかめんどくさい?


「どーだ?」

「そんなんで治る訳ないじゃない!!バカなんじゃないの?!」

『…治ったぞ』

「へ?」

「マジで?」

『ああ。本当だ。多分、治ったぞ。身体がさっきよりも軽くなっている。まだ本格的には分からないが、多分治ったと思うぞ?』


 良かったー。これで失敗してたら、今まさに目をむいて驚いてる精霊王に問答無用で殺されちまう所だったわ。あっぶねー。

 さっきまで俺の事を親の仇を見るような眼差しで見てたんだが。正直いつ殺されてもおかしくねーって思ったわ。嘘、今も思ってるわ。視線に力が宿るんだったら多分俺三十回位射殺されてるぞ。


「おお。成功したか。そりゃ良かった。失敗したらどうしようと思ってたけど」

「……」

『しっかし本当に治してしまうとはな。とんでもないスキルを持っているんだな?』

「あー。あんまりこのスキルの事は他言はしないでくれ」

「……」

『…ふむ。それでは何か褒美をとらせよう。何か願い事を言うがいい』

「んーそうだなー。あ、そうだ。何か欲しいもんとかあるか?」

「……え?俺っすか?このまま出番なく終わると思ってたんですけど」


 うん。俺も今さっきお前の事に気が付いたよ。

 お前、いざ施術(まぁこれを施術と呼べるのかは分からないが)が始まったら全然喋らなくなんのな?喋る素振りを欠片も見せなかったからびっくりした。

 と言うか今度はお前の代わりに精霊王が喋んなくなんのな?どーしたん?


「…別に俺何もしてないんすけど」

「何も思いつかないからお前が決めてくれない?」

「…えー?責任が重大で問題が山積みなんすけど?」


 別に問題が山積みではないだろ。

 …あ、そう言えば問題で思い出したけど、俺達は、今金策のためにこの森に来てるんだったわ。

 …お願い事、大金にしときゃよかったなー。


「そんじゃーどうするっすかねー?」

『そうそう。願いを叶えるにあたって、色々と制限があるのだが』

「例えばどんな事っすか?」

『そうだな。…一度叶えた願いの撤回はできない。願いを叶える前だったら、撤回できるのだがな?それから、願いの複製はできない。「叶えられる願いを百個にしてくれ!」とかは無理だ』


 そうなったらチートだからな。そんなバグみたいな事、認められる訳ないだろ。

 …バグみたいな奴が何言ってんだって?何言ってんだ?こんな普通な奴、そうそういねーぞ。没個性的過ぎて逆に珍しいまであるね。…俺は誰に話しかけてるんだよ。


『説明が少々面倒だから、一度願い事を言ってみてくれ。その願い事がダメだったら、ダメと言うから』

「んじゃ、そうっすねー」


 こうも選択肢が多いと悩むよなー。

 …あ、あの感じに似てるなー。何もすべきない日に、頭の中で「このままじゃ不味い!何かしないといけない!」とは思ってるんだけど、何もする事が思いつかない時。

 あの急かされてる感じなんなんだろうなー。マジで。


「…悩むっすねー。…あ、そうだ。自分の事を兄貴が好きになるようにして欲しいっす」

「…は?」

『…は?』


 …は?

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