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最強二人の王都生活  作者: 御手洗団子
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第十三話事情説明から最強スキル

「それじゃあ、この小娘はあんたの舎弟だって言うのね?」

「まぁ結果的にはそうなるな」


 別に俺からこいつに「負けたんだから俺の舎弟になれ」って言ったんじゃなくて、勝手にこいつが「舎弟になるっす」って言い始めたんだからね?ちゃんとそこも説明したよね?


「こんな小さい子供にそんな酷い仕打ちをするなんて……。私の下僕がそんな鬼畜だったなんて、王都に来るまで知らなかったわ」

「ちゃんと話聞いてました?」

「聞いてたわよ。まだ幼い少女に「グヘヘへへ。負けたんだから俺の女になれ。恨むんなら自分の非力を恨むんだな。ヘッヘッヘ」と迫ってそのまま舎弟にしてしまうなんて」

「耳腐ってんのかお前?」

「あら?私の女神過ぎる耳が腐って見えるなんて。その目腐ってるんじゃないの?…ああ、腐ってたわね」


 どう考えても耳が腐ってなきゃそんな聞き間違いしねーだろ。難聴うんぬんの問題じゃねーぞ。

 後、何度も言うがこの目は生まれつきだ。


「そこの貧乳女!!!」

「燃えなさい」

「【不変】」

「…ちょっと。邪魔しないでくれる?」


 いや、邪魔するだろ。目の前で俺の舎弟が燃やされそうになってんだぞ

 って言うか貧乳って言われただけで何の躊躇いもなく人を燃やそうとするんじゃねーよ。俺がいなかったらどうすんだ?


「???何があったのかよく分かんねーけど、俺の兄貴をバカにすんじゃねー!!!」

「でも下僕の目は腐ってるわよ。むしろ腐りきってるわよ」

「腐ってねーよ。むしろ現役バリバリなんですけど?」

「確かに兄貴の目は腐ってるけど!!」

「あのー、聞いてます?人の話。俺の目はまだ最前線で活躍してますよ?」


 ほんとはお前ら仲いいだろ?


「でも、兄貴はお前なんかよりもよっぽどつえーんだぞ!!!」

「……」

「ちょっとやめとけって」


 俺がこいつより強い?そんな訳ないだろ。こいつは一人で国家と喧嘩できるレベルだぞ?俺なんか到底及ばねーよ。


「…知ってるわよ。そいつが強い事くらい。あんたに言われなくてもね」


 …は?まさか俺まで耳が腐っちまったのか?もしかしてこいつから感染した?ならさっさと舎弟を逃がさないと!


「こいつのスキルの話は聞いたかしら?」

「聞いたぞ?【不変】の事だろ?」

「…ちょっと。もう一つのスキルの事。まだ教えてないの?」

「…言える訳ないだろ。あんなスキル」

「…そう。あんたが言いたくないんだったらそれでいいわ」


 こいつにだけは話したが、俺のもう一つのスキルは正直言って呪いに近い物だ。

 このスキルは強さだけ言えば【不変】と並び立つ、いや、場合によってはもう一つの方が強いかもしれん。

 だが、このスキルはレイ以外がいる所では使わない。と言うか使えない。そう言うピーキーなスキルなんだよ。

 もし仮にこのスキルを持っている事が他の人に知れ渡ったら、最悪の場合俺は指名手配されちまうかもしれねーからな。


「んっんん。それでスキルの効果も知っているのかしら?」

「知ってるも何も、名前通りだろ?」

「そうよ。うーん、どう説明したものかしら」

「別にいいよ。俺のスキルの説明なんてしなくても」

「ダメよ。この小娘はあんたの舎弟でしょ?ちゃんと教えておかないと、いざと言う時に困るのはあんたなのよ?」


 お前は俺の母さんか?と言うかそんな状況なんてそうそう来ないと思うけどな?


「まぁ、そこまで言うんだったら別にいいんだけどな?」

「まぁ、あんたにダメって言われても言うんだけどね?」


 その言葉言う必要ありました?今。一言余計じゃありません?


「こいつのスキル【不変】は自分も対象にできるのよ」

「それは知ってるっす」

「あら?じゃあ話が早いわね。んーと、じゃあ一つ質問するわね?」

「ああ!来い!」


 …なぁ、俺ってここにいる必要あるか?

 なんか俺の秘密が目の前でどんどん暴かれてくみたいで俺、ちょっと嫌なんだけど。


「もしあなたがあいつの敵になったとするわね?」

「なっ、そんな事ありえないっすよ!!」

「…たらればのはなしよ」

「兄貴!!俺、兄貴を裏切ったりしないっすよ!!!ほんとっすよ!!!」

「分かったから。分かったからそう泣きついて来るなよ。っておい!今、おれで鼻かんだだろ!」


 どさくさに紛れて何してんだったく。…て言うか君、クロックアップを裏切って俺ん所に来たんじゃなかったっけ?


「…例えを変えるわね?例えば、例えばだけど私とこいつが、例えばだけど、敵同士だとするわね?た・と・え・ば、だけどね」


 例えばを強調し過ぎだろ。四回も言う必要ないだろ。

 と言うか例えばが気になり過ぎて、内容が全くもって頭に入ってこなかったぞ。


「ふむふむ」

「私が例えばだけど、敵であるこいつに魔法を放ったとするわ、勿論」

「例えば、だろ?」

「そう、それよ!」


 いや完全に本題が変わっちゃってるだろ。何のために質問してんだよ。


「あ、…それでこいつが【不変】を使ったとするわ?そうしたら、どうなると思う?」

「え?お前が例えば魔法を使ったら、例えば兄貴が例えば【不変】を使って…。…なんかぐちゃぐちゃしてて分かんねー!!」

「何でそうなるのよ」


 いや原因の一部はお前にもあるからね?お前がそんなに「例えば例えば」言わなかったら、ここまで難しくなってないからね?


「あのね?下僕が【不変】を使ったら、下僕の身体はどうなるかしら?」

「そりゃあ、不変になるに決まってるだろ?」

「じゃあその状態で私の魔法を受けたら?」

「そりゃ、兄貴は今不変になってるから…、あ!そう言う事か」

「そう言う事よ」


 まぁ、不変状態になってる訳だから魔法をくらう前と魔法をくらった後で何も変わらないわな。

 それにしても分かりやすい説明の仕方だったなー。俺も今度からこれ使おっと。


「なるほどー。って事は兄貴は【不変】を使うと全ての攻撃を無効化できるって事っすか?!!!!」

「まぁ、そうなるなー」


 それ以外にも結構いろんな場面で使えるんだよなー。

 例えばお湯なんかもそうだが、あたたかい物をあたたかいままにしておく事ができたり、物の耐久を不変にして永遠に使えるようにしたりな。

 これ、めちゃくちゃ便利だから重宝するんだよなー。


「これで分かったかしら?あんたが想像していたよりも遥かに下僕は強いのよ」

「……」

「どうしたのかしら?もしかして、恐怖を抱いてしまったのかしら?それも無理はないわね。だって私の下僕は人知の及ばない程、強いんだもの」

「…すっげぇ」

「は?」

「すっげぇよ兄貴!!!!まさか兄貴が世界最強だったなんて!!!!俺、兄貴の舎弟になれてほんとに良かったっす!!!!!」

「えぇ?」


 何故こうなる?何故こうも俺の予想を軽々と超えた反応をしてくる?

 俺はてっきり「そ、そんなに強いなんて…」みたいな感じで、ちょっと引かれるかなー?って思ってたのに、むしろ寄ってきてない?

 あまりにも予想してた事と違い過ぎて、ちょっと頭が混乱してるんだけど。


「俺、兄貴の舎弟になれた事を誇りに思うっす!!!!!」

「あー、分かったから。とりあえず今日は解散しよう」

「はい!!!お疲れ様でした!!!兄貴!!!!」


 あー。騒がしいのがやっと出て行った。

 …って言っても一時的な物でしかないがな。


「で、お前の所はどうだったんだよ?」

「…急に訳の分からない事を言わないでくれる?」

「訳分からなくはねーだろ。そもそも、今日ここに集まったのは、お前が「あんたが着替えを取りに行ってた間に何があったのか、具体的に説明しなさい」って言ってきたからだろ?」

「…ダメね。さっぱり何言ってるか分からないわ」

「なんでだよ」


 今の説明で分からなかったら、もうお手上げ状態なんだけど?


「あー、俺が着替えを取りに行ってた間、お前も、あの。あー、何だっけ?」

「プラスアップ?」

「そう。その素早くダッシュに襲われてたんだろ?」

「…え?なんでその事を知ってるのかしら?覗き?有罪?死刑?」

「いささか判決が早すぎやしませんかね?」

「戦う前から勝負は決まってるのよ」

「それ絶対今使うべき言葉じゃないだろ」


 その状況でその言葉を使ったら、賄賂やら重たいお菓子やらで被告人を無理やり有罪にしました感が出るだろ。


「ちょっと。今その話関係ないじゃない。関係ない話をしてお茶を濁さないでよ」

「お前が発端なんだけど?」

「ほら、また濁してるじゃない」

「…アッシュから聞いたんだよ。あいつ、無駄なくジャンプのボスの右腕だったらしいからな」

「へぇ。あんな小娘が№2だったなんて。人材不足ここに極まれりね」

「いやでもあいつ結構強かったぞ?そうだなー。…力だけで言ったら多分ガルフさんよりも強いかな?ちょっと微妙だけど」

「へぇ。あの小娘、なかなかやるのね」


 お前アッシュの事「小娘小娘」言ってるけどお前の方が年下だからな?…そんな事言ったら俺もアッシュに敬語使わないといけないんだけど。

 …まぁ兄貴権限で大丈夫でしょ。


「で、どうだったんだよ」

「どうだったも何も、別にいつも通りよ?ボスごと全員凍らせて終わりよ」

「て言う事は、つまんなくなるはもう壊滅状態って事か」

「そうね。まだ正確には分からないけれど、暫くの間、ムカつく奴からちょっかいかけてくる事はないんじゃない?」


 んじゃもうスパークプラグの心配はしなくていいって事か。


「ま、何事もなくて良かったよ」

「…心配してたのかしら?」

「いや、心配はしてなかったけど、一応な。万が一の可能性があるから」

「ないわよ。むしろ不可思議が一にもないわよ」

「それはもうないでいいだろ」

「それじゃ寝るわよ」

「りょーかい」


 ふぅ。ようやく誰もいなくなったか。


「…もう、寝よ」


 今日は疲れたからなー。…今日も、か。

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