拉致
滝崎はデパートの中で、青年を見失っていた。見失った地点を見回すと、偶然青年を発見することができた。さっきは声をかけて撒かれてしまったから今回は尾行しようと決め青年の後ろをついていく。青年は最寄りのコンビニに入り大量にアイスを購入していた。
『あんなにアイス買ってどうするんだろう。』
そんなことを思いながら青年の後を追う。しばらくすると、幽霊が出ると噂の廃病院の中に青年が入っていった。
『心霊とか苦手なのよね・・・・昼間だから大丈夫!・・・のはず』
自分を叱咤しながら廃病院に入ろうとすると突然後ろから声をかけられた。
「お姉ちゃんこんなところで何してるの?」
ビクッとして後ろを向くとそこにはかわいらしい長髪の小学生中学年くらいの女の子がいた。
「パトロールだよ」
子供の目線に合わせるためにしゃがみ優しい声で語りかける。
「お姉ちゃんはお巡りさんなの?」
子供の問いかけに滝崎は答える。
「そうだよ」
そう答えた瞬間、滝崎の体に悪寒が走った。何かと立ち上がろうとしたとき、目の前からバチッという音がしかと思うと意識が遠のいていくのを感じた。遠のいていく意識の中で、女の子が自分に手を向けている光景だった。
女の子が女性警察官が完全に気絶したのを見届けると後ろにいる青年に話しかける。
「終わったよ、ハジメお兄ちゃん」
「ありがとうアカリ、サンペイがアイス配ってるからもらっておいで」
ハジメは女の子に笑顔で答えその頭をなでる。女の子も嬉しそうに顔を緩ませ、アイスをもらいに廃病院の中に入っていった。残ったハジメは、滝崎の体を持ち上げ、廃病院に入っていった。




