不幸の価値観
銃声よりも大きな音と同時にハジメと志熊の間を一筋の稲妻が奔る。ハジメは驚き後ろを向くとレイが腕を振り上げていた。そのまま、ハジメの右頬を引っ叩いた。レイは呆然としてるハジメの襟首をつかみ引き寄せる。
「今の話、本当なの?本当にこんな奴と死ぬ気!」
レイはハジメを怒鳴りつける。その表情は怒りと悲しさが入り混じっていた。まだ呆気にとられながらハジメは答える。
「あぁ、俺は人を殺してもなんとも思わない、そんな化け物になっっちまった。そんな俺がお前といても不幸にさせる」
そう言うと、レイはハジメの胸に顔をうずめ泣きながら叫ぶ。
「私の不幸をあなたが決めないで!あなたがいるから楽しいの!あなたがいるから生きたいって思えるの!あなたがいるから幸せなの!あなたがいない事が私にとっての不幸なの!」
レイはハジメの胸で泣きじゃくり、しばらくして落ち着いたのか急に立ち上がる。
「そう、化け物だから私といられないのね」
呟くように言った後、レイは志熊に近づいていく。そして、右手を志熊に向けた。何をしようとしているのか理解した志熊はヒステリックに叫ぶ。
「な、何をしようとしているのレイ・・・お願いやめて・・ね?・・やめなさい!あなた自分が何しようとしてるかわかってるの!私はあなたの実の母お『バチィ』・・・・・・」
喚く志熊をレイは一閃の青い稲妻で貫いた。胸に穴の開いた志熊の体がその場に倒れ込む。目を開けたままの醜い顔は見てて気持ちのいいものではない。レイはハジメの方に向き直り人を殺した後とは思えない爽やかな笑顔で言った。
「人を殺してもなんとも思わない。私もこれで、あなたと同じ化け物ね。これなら、一緒にいれるよね」
まだ、自体が飲み込めておらず呆然とするハジメにレイが抱き着く。
「約束・・・守ってくれてありがとう」
レイの言葉に、ハジメは涙を流しながらレイを抱きしめる。互いの体温を感じ合い、言葉なく強く抱きしめ合っていると、警報が鳴る。
「なんだ!」
「なに!」
何事かと周りを見るとタケミカヅチが起動していた。