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再会

 サンペイと別れたハジメは、エレベーターに向かっていた。

「フタバエレベーターはどこだ?」

『今進んでる通路を右に曲がってすぐです。』

ハジメは、角を曲がりエレベーターを見つけた。

「これから最下層に入る。お前たちは目的の物を回収したら撤収しろ。」

『いえ、待ってますよ。必ずレイさんを助けてきてください。』

「ありがとう」

ハジメはフタバに感謝を伝え、さっき奪ったIDカードでエレベーターを起動させに乗り込む。ゆっくりと下るエレベーターにイラつきながら、瞼を閉じる。するとエレベーターがゆっくりと止まる。とっびらが開くとそこには。天を突くようにそびえる筒状の機械と今いる場所からその機械まで伸びる一本道になっている。一本道の長さは50メートル程度で、一本道の横は、吹き抜けになっていて底が見えない。簡単な手すりがあるが簡単に飛び越えられそうだ。ハジメは機械を見て呟く。

「これがタケミカヅチか・・・」

そのでかさに圧倒されていると目の前から五年間待ち望んだ声が聞こえる。

「ハジメ!」

声の方に目を向けると白いワンピースを着たレイがいた。思わずハジメは見惚れるが、ふと我に返り一本道をレイに向かって走り出す。

「レイ!」

「ハジメ!来ちゃダメ!」

レイがハジメを制止する声が聞こえたのと同時に高威力の電撃が飛んでくる。ハジメは手を前に構え受けるが威力が強すぎて、来た道を戻される。起き上がりレイを見ると、レイの右腕が稲妻を帯びていた。レイの顔を見ると悲痛に顔をゆがめ、目から涙を流している。意味が分からず混乱していると、レイの後ろから声が上がる。

「驚いたかい?01号」

奥から眼鏡をかけた長髪の女性が出てきた。その顔を見た瞬間ハジメは不快そうに顔をしかめる。

「志熊唯か」

「ご名答♪君たちのお母さんだよ♪お帰り01号」

ハジメの回答に心底嬉しそうに答える。志熊唯はHu電池生産計画の発案者であり、人間を資源に変える技術を確立した科学者だった。

「お前がレイに何かしたのか」

ハジメは静かに言った。

「00号には私の言うことを良く聞くいい子になってもらったよ♪」

「お前、レイに何をした」

改めて、志熊に問いかける。しかし唯はおどけたしぐさをするだけで答えない。

ハジメは、身体強化で一気に通路を駆け抜こうとする。志熊はトランシーバーのようなものに向かって声を出す。

「00号、こちらに来ようとするハジメを攻撃しなさい。」

志熊の言葉を聞いた瞬間レイの右手から電撃が放たれる。またハジメが吹き飛ばされる。ハジメは立ち上がりレイのもとへと駆ける。またレイから電撃が飛んでくる。ハジメは右手に稲妻を纏わせ電撃を受け止める。少し踏ん張るがやはり威力が強すぎて、吹き飛ばされる。そこからはそれの繰り返しだった。何回も何回もハジメはレイのもとに駆けるが吹き飛ばされるそのたびにハジメは立ち上がる。体中の色々なところから血が出ており重そうな体を引きずりながら、もはや一歩ずつやっとの思いで進む状態になっていた。

「ごめんなさい。ハジメごめんなさい。」

レイはずっと謝りながら電撃を飛ばしてくる。

「気に・・・する・・・な・・レイ」

ハジメがやっとの思いで言葉を発する。遠くなっていく意識を気合でつなぎ留め、レイに向かう。

「01号は操作系だから遠距離で攻撃する手段がない。君が身体強化を使っても、それよりも早く00号が電撃を飛ばせる。しかも横は吹き抜けで避けることもできない。君に勝ち目はないよ。おとなしく実験体に戻りなよ」

ハジメは、志熊を無視してまた一歩踏み出した。自分を無視したことが許せなかったのか、志熊は少し怒気を含んだ声でトランシーバーに向かって命令する。

「00号、ハジメを殺しなさい♪」

レイの顔が驚きに染まり、体中から稲妻が迸り始めた。今までの電撃が軽く見えるほどの量の発電が起こる。レイは必死に声を上げて止めようとする。

「いや!いや!いや!止まって!発電をやめて!止まってよ!」

レイの抵抗も空しく稲妻がレイの右手に集まり始める。

「ハジメ!逃げて!」

レイは自分に出せる精一杯の声でハジメに警告する。しかし、ハジメはその場に立ち尽くすと、右手に稲妻を纏わせ前に構える。同時にレイから最高出力の電撃が繰り出された。空気を激しく振動させるほどの轟音と共にハジメを飲み込んだ。稲妻が霧散して消えると、そこには仰向けに倒れる血まみれのハジメがいた。

「いやあああああああああぁぁぁぁぁぁ!!」

レイの大きな悲鳴が部屋に響く。志熊は倒れてるハジメをゴミを見るような目で見る。

「00号、そのゴミを消し去りなさい♪」

レイは憎悪に満ちた目で志熊を睨むが体は倒れているハジメの方へと歩いていく。

「やめなさい!やめて!止まって!止まってよ!」

レイは声を張り上げながら言うが無常にもハジメの体を横に引きずっていくすると近くの手すりが地面に収納された。見ると志熊が何か端末をいじっていた。そして、レイの体はそのままハジメの体を突き落とそうとする。ハジメの体にレイの涙が零れた。




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