サンペイの怒り
サンペイが目を開け銃声が鳴った方を見るとそこには滝崎がいた。滝崎が義堂に銃を向けていた。
「義堂さん、彼から離れてください」
「葵ちゃん、君が何でこんなところに?いなくなったって聞いて心配してたんだよ?」
義堂は、本当に心配そうな顔を滝崎に向ける。
「彼から父の最後を聞きました。私を騙してたんですね。」
滝崎は義堂を見据える。その目には涙が溢れていた。これは最終確認だ。今まで良くしてくれた義堂が本当に自分を騙していたのか本人に確認したかった。
「どうして・・・どうしてですか!」
涙を流しながら聞いてくる滝崎に義堂は心配そうな顔が変わり、めんどくさそうに何でもないように答える。
「そっか聞いちゃったか。そうだよ君のお父さんを殺したのは僕だ。君を騙した理由なら簡単だよ監視のためさ。君が妙なことをしないかね。何かしたらすぐ殺せるように」
帰ってきた答えは想像よりも残酷だった。崩れ落ちる滝崎をしり目に義堂はサンペイの上に乗っけてる右足に力を籠める。胸の骨がミシミシと音江男立て始める。このまま胸を踏み抜いて殺すつもりらしい。しかしそんな義堂の背後から電撃が飛んでくる。反応が遅れた義堂はもろに電撃を食らいサンペイの上から吹き飛ばされた。しかし受け身をきっちりと決めたためダメージはほとんどなかった。義堂が電撃が飛んできた方に目を向けるとそこにはユウスケがいた。義堂が退いたのを確認したユウスケは義堂への警戒を解かずにサンペイを抱き起す、そこになんとか立ち直った滝崎も加わる。
「サンペイ君、大丈夫!」
サンペイは飛びそうになる意識を何とか手繰り寄せ、義堂に視線を向け口を動かす。
「ぉ・ぇ・・・・ヵ」
消え入りそうな声に義堂が首をかしげる。サンペイは今度は大きな声で言う。
「お前は、それでも人間か、この人が・・・親父の死でどれだけ悲しんでるかを・・・・そばで見て、知ってるんだろ・・信頼させておいて・・・それを裏切っといて・・・平然と・・へらへらしていられる・・・お前は・・・お前はそれでも人間か!」
サンペイの右手が今までにない位すさまじく発電する、その蒼い稲妻を纏った右手を義堂に向け電撃を放つ。義堂は銃を構えサンペイに銃を撃つ。サンペイの放った電撃は拡散し、視界すべてに広がるほどすさまじいものだった。蒼い電撃と銃弾が接した瞬間銃弾が溶けた。サンペイの放った電撃には鉄を溶かすほどの熱が込められていた。義堂は迫りくる電撃を避けようにも広範囲すぎて避け様がなかった。そのまま電流の群れに飲まれていった。電流によって起こった砂埃が晴れるとそこにはハチの巣のように体に無数の穴の開いた義堂がいた。即死の用でピクリとも動かない。サンペイは発電しすぎたのか意識を失いその場に倒れる。それをユウスケが支えようとするが、それよりも先に滝崎がサンペイの体を支える。そして、眠ったように気を失うサンペイの顔を見ながらつぶやいた。
「ありがとう。」