因縁の再会
メインホールではサンペイが義堂に怒りを殺気と共にぶつけていた。
「義堂!お前だけは・・お前だけは殺す!」
「出来るといいね。」
義堂は殺気をものともせず挑発する。サンペイの殺気が膨らみかけた時、ハジメがサンペイを手で制す。
「落ち着け、本当にあいつを殺したいなら感情的になるな。」
サンペイは目を閉じ、深呼吸する。ハジメの手をのけハジメの前に背を向けて立つ。
「もう大丈夫だ。お前は先に行け、義堂はオレが相手する。」
「大丈夫なのか」
ハジメの発言に答えるように、サンペイの体が発電し始める。そして一気に対峙する8人に放電した。八人は吹き飛ばされ壁に強く打ちつけられた。
「行け!」
サンペイがハジメに叫ぶ、ハジメは頷くと走り出す。
「死ぬなよ」
ハジメは通り過ぎざまに一言言って専用エレベーターへと走っていった。サンペイは見回すと8人中5人が起き上がっているのを見て驚きに目をむく。サンペイは不適に笑う義堂を見つめて聞く。
「お前らの装備は特殊みたいだな」
「そうだね、君たちが脱走したことをきっかけに作られたものだからね。」
飄々と答える義堂にまた電撃を飛ばす。義堂は軽々と避ける。しかし同時に放っていたほかの5人に対する電撃は当たりまた吹き飛ばされた。5人とも吹き飛ん時に壁に強く体を打ち付け動かなくなった。最初の電撃で起きてこなかった3人は吹き飛ばされたときに壁に強く打ち付けられていたのをサンペイは見逃さず、吹き飛ばせるなら障害物に強く打ち付ければいいと考えたのだ。
「これでお前と俺の一騎打ちだな。親父の仇取らせてもらう」
「資源程度の君ができるかな?」
義堂の挑発にサンペイは感情的に叫ぶ。
「俺たちは人間だ!」
サンペイは義堂に電撃を飛ばす。感情的であっても頭は冷静のようで、当たれば壁に強くぶつかるよう計算されていた。
「資源風情がおこがましいよ」
軽口を叩きながら、電撃をよけサンペイに接近する。サンペイへと肉薄した義堂は、右の拳をサンペイの顔面に叩き込もうとする。サンペイは顔をっ左に向けることで回避するが、義堂の左拳が鳩尾のめり込む。思わず肺から空気が漏れる。腹部に走る激痛を歯を食いしばって我慢しながら、サンペイは全身から放射状に放電しながら後ろに跳び、距離を取ろうとするが、義堂は電撃が体に当たるのもお構いなしに追ってくる。放電が意味ないと思った分かったサンペイはすぐに発電を止めどうすれば良いのかを考える。しかし、義堂の攻撃が鋭すぎて回避するのが精いっぱいだった。じりじりと壁際に追い込まれるが、そこで倒れている黒づくめの男の近くに落ちている銃が目に入る。銃に気を取られた一瞬で、義堂の重い拳がまた腹部に突き刺さる。カハッと息を詰まらせながら義堂を見ると右腕を引き絞っていた。サンペイは繰り出された右ストレートを左脇に転がり込み回避した。転がりながら落ちていた銃を拾い、振り向きざまに義堂に向かって引き金を引こうとするが、義堂はサンペイの手元を蹴り上げ銃を蹴り飛ばす。銃を蹴り飛ばされたサンペイは義堂に懐に入られそのまま仰向けに組み伏せられる。義堂はサンペイの胸に右足を置き押さえつける。抜け出そうと暴れるサンペイに義堂は、サンペイの右腕を腰につけていたハンドガンで打ち抜く。腕から伝わる灼けるような痛みにサンペイは思わず叫び声をあげる。
「うわああああああああああ」
義堂はサンペイに語り掛ける。
「五年前、逃げ出さなければこんなことにはならなかったのにね。」
サンペイは歯を値が出るほど食いしばり必死に痛みに耐える。そんなサンペイに義堂が語り続ける。
「資源の分際で夢を見るからこうなるんだよ03号」
「俺の名前はサンペイだ」
「名前っていうのはね、人間につけるものなんだよ。03号君たちは人間じゃない。」
サンペイはまだ動く左手で義堂の足首を掴むとありったけの放電をする。しかし、義堂は平然と立っている。サンペイは驚いた。さすがに0距離の放電なら通じると思っていたからだ。そんな様子を察した義堂が答える。
「これはね、対放電系電池人間用の装備なんだよ。繊維一本一本が絶縁体なんだそれを全身を覆うように着てる。だから君の電流が効かない。」
義堂はいやらしい笑みを浮かべながら、銃口をサンペイの額に向ける。『ここまでか・・』サンペイは心の中でつぶやく。
「シキは子供が大好きで、よく子供たちと楽しそうに遊んでる。」
義堂は、急に語りだしたサンペイに首をかしげる。サンペイは構わず語り続ける。
「フタバは小説が好きでよく恋愛小説を顔真っ赤にしながら読んでる。ハジメは、絵が好きでよく風景を楽しそうに少し悲しそうに描いてる。アジトの子供たちは今UNNOに大ハマりして大きな輪っか作っていつもやかましくやってる。」
サンペイが涙を流しながら語りが叫びに近くなっていく。義堂は引き金に指をかける。
「お前たちが何と言おうと!俺たちは人間だ!」
サンペイの叫びがメインホールにこだまするのと同時に銃声がメインホールに響いた。