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幸せのカタチ?

作者: 星宮未羽

なんとなくふと思い浮かんだので書いてみました!


書いてる私にも何がかきたかったのかよくわからないですが、是非読んでください!

 

「マッチは、マッチは要りませんか……」

 しんしんと降る雪の中、少女の声が暗い空に寂しく響く。

「あの、マッチは……」

 無言で通り過ぎる者。憐れんだ目を向ける者。マッチを買ってくれる人も少しいた。

 はぁーー。

 むき出しの白く細い手に自らの息を吹きかけて、少しでも暖まろうとする。



「それ1つ、もらってもいいかな?」

 声をかけられました。

 私はかごの中からマッチ箱を1つ取り出し、声の主を見ました。

 背丈が同じくらいの人が、立っています。

 深くフードをかぶっているので、お顔はわかりません。


 何でこんな時間に、こんなに小さな子が?

 ベタ塗りされたような暗い空の下には不似合いな年齢かと思われました。

 私は10歳です、多分。

(多分というのは私が生まれた日をよく知らないからです)

 同じくらいの背の高さ、ということはつまり同じくらいの年齢ということで……。

 あぁ、ダメダメ。マッチを売らないと。

 マッチを渡し、代金を受け取ります。


「ありがとうございました」

 しっかりと言ったつもりでしたが、寒さで震え、掠れた声しか出ませんでした。

「ねぇ、お姉さんさ」

 私をお姉さんと呼んだということは、年下なのでしょうか。

 そんなことを考えていると、

「何でそれ売ってるの?」

 私の腕にあるかごを指し、首を傾げます。

 なぜ、と言われましても……。

「旦那様のお申し付けだからです」

 ふーん。

 実際には聞こえてませんが、なんとなくそんな感じがしました。

 お顔は見えないんですけどね。

「それなに?」

 先ほどと同じく、指は私の腕にあるかごを指していました。

「それって、マッチのことですか?」

「へー、マッチっていうんだ」

 知らずに買ったのですか……?思わず、先ほどのこの方のように首を傾げてしまいます。

 不思議なお客さまです。


「お姉さん名前は?」

「リコ、と呼ばれております」

 あくまで呼ばれているだけですが。

「ふーん。」

 今度は聞こえました。

 いったい、なにがききたいのでしょうか。

「なんでだんな様におもうしゅ……おもうしつけられてるの?」

 かみましたね。

 それにしても、質問の多いお客様です。

「ええと……養っていただいているからでしょうか?」

 お客様の目がキラーンと光ったように感じました。

 ……お顔はまだ見えませんが。

「養うって……まだ10歳でしょ?お母さんは?」

「いませんよ。死んでしまいましたから」

 あら?私、年齢教えましたっけ?

 ますます不思議なお客様です。

「ええっ、そうなの?!」

 大きく目を見開きました。

 と思ったら今度はにこにこしています。

 随分と表情が沢山あるのですね。

 今度は見えています。先程フードを外されたようで。

 いつのまに……。


「お姉さんの話もっと聞きたいよ!教えて?」

 立っている私を座らせ、その隣にとん、と腰を下ろしました。

 まだマッチを売らなければならないのですが……

 隣を見ると、お客様はマッチを1本すっていました。

 これはお話しするしかなさそうですね。

 はぁー。

 吐く息は白く、空気は痛いほど冷たいです。

 ふわふわと、軽い雪が降っています。


「お話は、10年ほど前に遡ります。もちろん、この時はお母さんもいたのです。

 でもお母さんの顔は覚えていません。

 歌詞のない、だけれども心が落ち着くような、そんな子守唄を歌ってもらったことだけを、おぼえています。

 お母さんは私が4歳の時に死んでしまいました。理由はわかりません。最期のお別れもさせていただけませんでした。

 そして、訳もわからないままだんな様のお家に引き取られます。

 それから5年、6年……毎日こうして働いております。

 ある日は靴を磨き、ある日はお屋敷の掃除をし、ある日はこのようにマッチをうっているのです。

 サボったりはしませんよ?だって旦那様が怒ってしまわれるから。

 怒った旦那様はとても恐ろしいです。手当たり次第にそこらにあるものを投げつけてくるのですから。

 ここ、右ほっぺのキズはその時出来たものです。」


 ふぅー。

 いっきにに喋ったので少し疲れてしまいました。

 すって、はいて。息を整えます。

 まったく、面白い話ではなかったと思うのですが、お客様は目をキラキラと輝かせ、胸の前で指を組んでいます。


「それ、痛くないの?」

 私の右ほほを指さし、うきうきといったようすで尋ねてきます。

「痛くありませんよ」

「えー、でもいたそうだよ?」

「ですが、痛くないのですよ……?」

 ふーん。

 私たちの足元には、マッチが3本、落ちてあります。

「話にでてこなかったけど、おとーさんは?」

 おとうさん、とは?

「知らないです……」

 足元のマッチが4本になりました。

 雪はもう、止んでいます。


「ねぇお姉さん、ううん、リカさん!」

 興奮したご様子でしたが……

 リコなんですけどね。

「しあわせになりたい、って思うよね?」

 キラキラキラ

 先程よりも目の輝きが増したような気がします。

「なんでそんな、すぱるたなお家にずっといるんだい?」

「旦那様がおっしゃるからです」

「にげだしたいと思わないかい?」

「逃げる場所がありませんから」

「でも、しあわせになりたいって思うよね?」

「幸せって、なんですか?今、もうご飯も屋根も寝るところもあるんですよ?」

 だんだんと、会話のトーンが下がっていきます。

 お客様は目を爛々と輝かせて、大きな声で言い切りました。

「僕が君をしあわせにしてあげる!」

「僕は神様だから、君を連れていきたいんだ!」


 足元のマッチが両の手の指の数を超えてしまいました。

 ですが、かごの中にはまだ2つ、マッチ箱が残っています。

 私は1つを取り出し、お客様にお渡しします。

 お客様の目が不安で揺らぎました。

「ねぇ、うんって言ってよ、何が嫌なの?」

 自称神様が私の肩を揺さぶります。

 痛いです……。

「ねぇリカさん、ねえってば。」

 心底不思議そうに、首を傾げます。

 はじめに質問された時よりも、大きく大きく首を傾げます。

「私を幸せにしてくれるなら、マッチを買ってくださいな」

 だって、幸せって何かわからないんですから。

 きっと旦那様を怒らせないことが私にとっての“幸せ”なんですよ、ね?

 自称神様は私の回答がご不満だったようです

 目はまん丸。唇はとがっています。

「ねぇ、神さま」

 足元のマッチは増えていません。

 雪は粉っぽく、しんしんと降り積もっています。


「私はもう、充分『幸せ』なんじゃないでしょうか」

 たずねてみます。

「確かに両親はいませんが、だからといって幸せでないってことではないでしょう?」

「でも、だって、君。使われてるんだよ?愛情だって、注がれてないんだよ?」

 わたわた。縋るように私の目を覗き込みます。

 そんなこと、大丈夫なのですけどね。だって

「愛情が何かわかりませんから」

 自分でも少し驚いてしまうほど、清々しく笑っていたと思います。

 自称神様は愕然とした様子で、ふらふらとマッチを買ってくださいました。

 私は幸せものですね。

 だって全部売れました。

 今日は、幸せな、いい日です。


どうでしたか??


後味の悪い感じの小説?でしたね


他の星宮未羽作品もよろしくお願いします!

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