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喪失する定点A
「命カラガラかい?」迂回男がそう質問した。
「僕はトリガラなんかじゃない!」僕はそう答えた。
「君にはカラカゼが吹いているようだね」と返してきた。
「只今の定点、仮に定点Aとするならば定点Aは交点なり。すなわち我も彼も直線あるいは曲線の如く、時の流れに沿いながら浮上し下降し、或いは左へ右へと三次元に進みながら、交わり、捻じれ、離れ、再び交わることもあれば、あい叶わぬこともあり。偶然と呼ぼうが、必然と呼ぼうが、今まさにこの定点Aにて交点となっているにすぎず、永遠と呼ぼうが、瞬間と呼ぼうが、留まることはかなわず。今まさに、只今交わる事実をとって、これ現実ともうすれば有と呼び、只今の前にこの交点なく、只今の後にこの交点なく、これ虚構ともうすれば無と呼ぶ。定点Aに固執することなく、見落とすことなく、ただ交点あるように、我の交点と観ずれば、迂回男、そなたは存在しない。」僕は呟いた。
鏡に映った僕と言う迂回男は消え、迂回男と言う僕はその鏡の前から立ち去った。
定点A、すなわちその交点は消え去った。




