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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。

何もない日常。

心の隙間を埋めるように俺は今日もぬいぐるみを抱きしめる

作者: Hino
掲載日:2017/05/25

「……寒い」


あいつと別れてから早一ヶ月、同棲(ルームシェア)してたから家賃や水光熱費は倍になって懐が痛い。

二人で住めるほどの広さはなかったこの部屋で、ルームシェアしてたものだからやたらと広く感じて、心はすきま風が吹き荒んでいる。

部屋は広さだけではなくて、それなりの傷や染みが二人の時間を思い出させるから、感傷にも浸るといったものだ。


寒さに耐えられなくなる。

エアコンの暖房を入れる。

でも、いつも抱き締めてたあいつがいない。

なんだか、前が寂しい気がする。


……はぁ、冬になんか別れるものじゃないな。



馴染みのいつものスーパー、スーパーまいらべる。

料理を作って家で待つ人は居ないというのに、いつもの習慣で曜日特売を買いに来てしまう。

そんなずらっと並んだ中に、不釣り合いなテディベアが陳列されていた。


クリスマスプレゼントに彼女やお子さんにどうだい!お値段たったの○,○○○円!本場イギリスからの直輸入!


そうか、そういえばそんな季節でもあるのか。

どこが本場とかは知らなかったが……もしあいつと別れていなければ買っていたかもしれない……そんな感傷に流され……


「お買い上げありがとうございましたー」


これ、独り身の男が持って帰るのは、気恥ずかしいものがあるな。



特にテディベアを置くためのスペース……などというものがあるはずもなく、なにともなくあいつの定位置に置く。



あまり美味くもない飯を作る


適当に溜まっていた洗濯物も回しておく


その間に風呂に入る


飯の炊けた音がして風呂から上がる



……っ!


風呂から上がって居間のいつもあいつが座ってたところに人影が……もちろん先ほど置いたテディベアだった。


ああ、あいつが居なくなって、俺、寂しいんだな。

テディベアの隣に座り、少しの間ぼーっとする。


……飯、食うか。


自分で作ったあんまり美味くもない飯は、やっぱりあんまり美味くもなくて、なんだか米と米の隙間が、まるで俺の心の隙間みたいで、なんだか余計に少し寒い気がした。

粗方食い終わり、食器の片付けもそこそこに、いつものように少し、横になろうとする。

食べてすぐ横になんな!マナー悪いぞ!なんて怒るやつは、もうこの部屋には戻って来はしない。


ぽふっ


横になると、そこにあったのはテディベアの足。

人形の場合も同じように言っていいのかは疑問だったが、テディベアの膝枕は、なんだかじんわりと心にしみた。


抱き寄せたら……どうなるのだろう。


そんな瑣末なことが頭によぎり、思わず抱き寄せる。

あいつより少し小さいが、あいつより少し冷たいが、ここ最近で一番素直に眠れそうだ。



-心の隙間を埋めるように俺は今日もぬいぐるみを抱きしめて眠る-

閲覧ありがとうございます

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