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短編集

別れ

作者: ゆずは

 ゲーセンの騒音はなかなかのものだ。ゲームのBGMに人の声。普段ならそんな騒音で周りの人の声など聞こえない。しかし今日は何故か目に入った二人の会話が耳に吸い込まれていくように聞こえた。


「ねーけん。あれとって」


 カップルだと認識するには充分すぎる視覚情報だ。そもそも女の方が男の腕に抱き付いている。その時点で気に入らない。公共の場でイチャつくなっての。


「いいよまいたん」


 男の方がにっこりと頷いてまいたんの指差したクレーンゲーム機へと歩いた。つかたんってなんだよたんって。


 付き合うのは悪い事では無いと思うのだが、こうやって公共の場でイチャイチャされると無性に虫唾が走る。ここで俺はある作戦を思いついた。


 男がポケットから財布を取り出し、硬貨を入れる。そのままクレーンを操る。取ろうとしてるのはあの可愛いクマのぬいぐるみらしい。アームがぬいぐるみを掴み、持ち上げ……そして元あった位置の少し手前で落ちた。


 俺は後ろでざまあと笑いつつ、カップルの機の後ろに立つ。幸いながら変わってくれた二人を押しのけ硬貨を投入。アームを操りクマの首を絞めるように掴む。首を絞められた状態だ。そのままアームは自動的に移動し、下の取り出し口へと降下した。


「こんなんも取れないのかよ」


 カップルに聞こえるようにそう言って鼻で笑った。


「いこ」


 男がそう言って女を連れて別の場所へと移った。まあそれをやすやすと見逃す俺では無いが。


 コインゲームに金魚すくいのゲームがある。カップルはそれに腰掛けると女が「これとってー」とまた言った。自分で取れよ。


 この金魚すくいは同じ画面を四人のプレイヤーがプレイする。つまり、妨害可能。女の指した金魚を目で追いながら反対側の席に座り、コインを入れる。紙ぽいが自分の画面の前に現れた所で向かい側に居る男の紙ぽいを見る。


 女の言った金魚は金色の金魚、レアな金魚でレバー操作の紙ぽいでは速度で追いつけない。なのにも関わらず金魚を追い続け紙ぽいを破り続ける。見ててアホらしい。


 俺は紙ぽいを操作し始めた。向かう先はカップルが狙う金魚の進行方向。ボタンをポチッと押すと輝く金魚が三枚のコインに変わり、消えた。すると同時に俺の足元でチャリンと三回鳴った。


 コイン三枚ゲットである。


「お前! さっきから俺の獲物取るなよ!」


 やはり男が突っかかって来た。どう対処しようか考えていたら女が立ち上がって吠えた。


「あんたが出来ないから悪いんでしょ! そうやっていつも人のせいにして! あんたなんかもう最低!」


 自然と頬が緩んだ。席を立ち、ゲーセンの出口へと向かう。後ろでは女が罵声を浴びせ、男が頑張って弁解して居る。そしてそのまま口論へ。


 俺はそれを見た後自動ドアを潜った。そしてそのまま一言。


「リア充なんて爆発しちまえ」

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