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敗者達とネロ  作者:
7章 少年期の終わり
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37話 起こす者

「商会にいたと嘘をついていたそうだね。なぜそんなことを?」

 事がある度に放言してはいたものの、どこに耳があるかわかったものではないとネロは思った。

「当ててみな」

「嫌がらせだろう。裏切り者に踏みつけられるのは屈辱的だ」

 同じ穴の狢といことか。感性も似通っている。

「君の嫌がらせと報復は矛先を違えていた」

 ネロはどう反応すればいいのか迷った。なんとなく白けて、カートライトから目を逸らす。

「僕は、どうして誰も君に関心を持たないのか不思議だった。君が何者であるか、誰も気づいていないようだ。そして、君は自分の特異性に関心がない。何故なら、エルボー商会こそが敵だと信じ込まされたからだ」

 ネロは小説を弄ぶ。裏表紙にページが積もっていく。音もなくペラペラと紙が倒れていき、しおりを挟んだページで止まった。

「商会が作った極めて危険なドラッグが虎目石の市場に流れ、しかもテイザー・ハークの息子が犠牲になったとされていた。だがそれは、テイザーが事実を歪曲して打ち立てた、商会潰しの口実だ」

 刑事は病室の備品同様に、一切主張しない。パニーノが硬くなり、サラダのドレッシングは底に流れていく。

「そのドラッグに商会は関与していない。なのに、人知れず生きていた犠牲者は今も商会を恨んでいる。……こんな間違いは正さなくてはならない」

 ネロは小説を閉じた。

「それで?」

「ガズウィス・ハークには力がある。ドブさらいのネロとは違う。その力を貸してほしい」

「死人を生き返らせたい? あんたに何が出来るんだ?」

「君の報復を正しい形で達成させる。虎目石を滅ぼす」

「馬鹿馬鹿しいぜ」

「君の無軌道な生き方に指針を示す人が、この病院にいる。会って来るといい」

 カートライトが去ったあと、刑事が口をつけていないパニーノをネロに差し出した。ネロはそれを無視する。口の中が乾いて仕方がない。

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