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夢の中の蟲毒な学園  作者: キャシヨ
第1章 夢

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第4話 忌避の仮面

「う、う〜ん」

 何だか眩しくて目が冷めた。どうやら壁の亀裂から光が差しているようだ……って、壁の亀裂!?

 布団を跳ね除け、周りを見渡す。散らばった本と半分になった本棚。部屋のドアは、切り裂かれて、原型をとどめていない。

 あれ?これって、昨日の夢の続き……。

 窓のカーテンを開け、下を見る。イグアナがいない事にホッとする。

 あぁ、良かった。でも、もういいよこの夢、もう一度寝よう。

 もう一度布団にもぐり込み、眩しいので頭まで布団を被る。


 ……寝れない。目が冴えてしまった……って、夢の中で目が冴えるってどういう事?

 く〜、何なの、この夢!逆に目を覚ませば、いいのか?

 ぎゅ〜と、手の甲やほっぺたをつねってみるが痛いだけだ。

 どうすれば起きるんだ?顔でも洗うか!

 ボロボロの部屋の入口を抜け、階段を降りて、洗面所に向かう。この夢の中では、両親はいないようだ。

 あれ?洗面所の鏡を見て気付いた、学校の制服を着ている。

 ちゃんとパジャマに着替えて寝たのにな、夢だからか?しかし、制服だなんて、学校嫌いなのに。

 蛇口をひねり水を出し、バシャバシャと顔を洗う。

 はぁ、スッキリした気がするが、目は冷めないな。これは、もう、この夢を楽しむしかないか?


 私は仕方なく、こちらもイグアナに壊された玄関から外に出てみた。朝日が眩しい。街並みに特に変わったところは無いけど、何だか人の気配が無いみたい。

 少し歩いて気づいたけど、人どころか鳥や虫の気配さえ感じられない。生物自体いないのだろうか?

 暫くして大通りに出たが、やはり車は走ってないし、人影も見えない。信号は虚しく規則的に赤や青を繰り返すだけだ。

 店の電光掲示板等も動いているので電気は通っているみたいだけど、この世界で生きているのは、私だけなのだろうか?寂しいような、嬉しいような、変な気持ちだ。

 そんなことを考えていたら、遠くの方から何やらバイクのエンジンのような音が聞こえてきた。

 何か嫌な予感がする。私はコンビニの横にある自動販売機の影に隠れ、そっと様子を伺った。


「ブォンブォン、ブォブォブォン……」

 ヤカラがわざと大きな音が出るように、バイクのマフラーを改造してアピールするヤツ。あの耳障りな爆音が近づいてくる。

 大通りの方を覗いてみると、2台のガラの悪いバイクが蛇行運転をしながら走ってくるのが見えた。乗っているのは白い特攻服を着た女……うちのクラスのヤンキー二人組、鬼頭 美紗(きとう みさ)中条 絢乃(ちゅうじょう あやの)だ!


 うわっ、最悪!よりによって何でこんな奴がいるんだ?

 クラスでは、クイーンと四天王がいるから大人しくしているが、校外での素行の悪さは私でも耳にしている。廊下等ですれ違うときは、睨んでくるので、いつも目を逸らしている。


 早く通り過ぎろ……。

私が身をすくめて隠れていると、何故か近くでバイクを止めた。

 えっ?見つかった?!ヤバイヤバイ……。


 「ギャハハ」と下品な笑い声とともに、こちらに近づいてくる気配を感じる。

 うぅ、せめて私だとバレないように、顔を隠して逃げるか?

 私が葛藤して、顔を抑えると、手が硬い何かに触れるのを感じる。

 えっ!?何だ?マスク?

 顔をペタペタ触ると、いつの間にか顔の上半分を覆ったようなマスクをしている事に気付く。目の部分はくり抜いてあるようだ。

 こ、これは、よくアニメとかである、正体がわからなくなるマスクか!?鼻と口は見えてるから、知り合いならわかりそうなものだけど、誰なんだみたいな……認識阻害効果って奴かな?

 夢だから思った通りになったのかな?これで、顔を見られたって……。

 私がドキドキしながら、逃げるタイミングを計っていると。特攻服の2人はコンビニの中に入って行った。


「ここでは、万引きし放題だな!」

「あぁ、カメラ気にしなくてすむぜ」

「チューハイとタバコも持ってったろ」


 2人はいくつか品物を袋に詰め、再び爆音を響かせバイクで走り去っていった。

 

 な、なんだ、気付かれたんじゃないんだ、コンビニ寄っただけかよ。夢だから何でもありだな。しかし、何だあの格好?昭和かっつーの!まったく、何でヤンキーって、ああいうファッションが好きなんだ?服だけならまだしも、爆音でバイク走らせるのが意味わからないよね。

 引っ越す前の地域では殆ど見なくなったけど、こっちじゃたまに見るもんな。あんなの自分のセンスの無さをアピールしてるようなものなのに。


 う〜ん、でも、夢の中まであいつ等に気を使うなんて、釈然としないな。そもそも、これって、私の夢じゃないの?どうせ夢なんだから、普段と逆にやり返してやれば良かったかなー。

 私は自分の気の弱さを嘆きつつ、再び街を歩き出す。


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