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未定

作者: 未定
掲載日:2026/01/18

高校2年生。短期留学に行ったあの夏から始まった。

彼を初めてみた時、稲妻が走ったとか、どこか懐かしい気がした。

なんてことはなくて。ただ緊張でいっぱいだった。2週間なんてそんな短い時間で、会ったばかりの人に恋をするなんて思わなかった。おきまりの運命的な出会いでなかったからこそ、まるで出会うことは必然だったように、運命のように、感じてしまった。


けれど出会って2週間後には、恋を知った。人生で2回目の恋。けれど今までとは何かが、違った。彼のことを忘れられなかった。恋って、その人のいいなって思うところを見て、落ちるものだと思う。優しくていいな。かっこいいな。なんて。

でも距離も離れて、しばらくやり取りを続けるうちに、私は初めて、愛を知った。恋の間は嫉妬や妬みも少しあった。でも愛に気づいてからは、季節はずれだけど、まるでクリスマスの赤いライトみたいに、心を幸せに包み込んでくれるような綺麗な愛だった。お姉ちゃんや大好きな親友に感じるような、それに限りなく近い、親愛のようなもの。



今までのどれよりも美しいあの青。夏休み。

 



まだ、彼に”恋”してた時、毎日、毎晩、嫉妬と不安で狂いそうだった。彼がタイプだと言っていた完璧なあの子と過ごしているかもしれない時間や、彼と一緒にいられない時間、彼が他の誰かと新しい思い出を作る時間。その全てに嫉妬して。彼の近くにいられないこと、縁が切れるかもしれないこと、忘れられてしまうかもしれないことに不安を感じた。毎日、胸が締め付けられるように苦しくて泣いた。


そんな中ほとんど連絡をしなかった彼に、勇気を出して、連絡してみて、返事が返ってきて、関係ない話もできた時。とても嬉しかった。それから他のSNSのアカウントも教えてくれた時、彼のほうからなにか共有してくれたことが嬉しかった。なぜいまさら急に、という不思議というか怪訝な気持ちもあった。けどそんなことどうでもよかった。彼との繋がりがあることが特別だった。それからほぼ毎日写真を送り合ったり話したりするようになって。今思い返すと、あの時勇気を出さなければ、こんなにも話していなかったはずで、こんなに仲良くなれなかったかもと思うと動悸がする。本当によかった。


その後かな、共通の友達と、私が遊んだ時、ただの懐かしさで、遊びに誘ってもなぜか必ず受け流される。どこか距離を感じた。今思うとしつこかったよなと不安になる。けどその時はもっと不安だったし悲しかった。いつも欲しい言葉や行動をくれる彼がなぜそこだけは頑ななのか。答えは簡単だったが、その時の私の頭にはなかった。


彼には付き合ってか出会ってか、1年くらい経つ、彼女がいた。辛かった。混乱した。けれど、彼との縁がなくなるのが怖くて、まだ可能性を信じていたくて、女友達の中で1番くらいにはなりたくて、誤魔化した。強がった。早く言ってくれたらよかったのに、もっと彼女との話を聞きたかった、いいな、って。その中に本心が少しでもあったかは、今でもわからない。そこからまた、毎晩泣いた。今までは妄想の不安、だったのに、思わぬ形で、現実の悲しみが現れてしまった。その後からかな、彼が、”親愛なる”彼になったのは。



燃えるように熱く、生ぬるい雨が降っていた。晩夏。



ひとしきり悲しんだ後、彼への愛を忘れられることはなかったけれど、嫉妬や妬みは割とすぐに消えていった。逆に、時が経てば経つほどに、愛は深くなっていった。なんでかはわからないけど、とても彼が愛おしかった。それを、彼に伝えられないこと。彼には別に、愛おしいとお互いに想う相手がいること。その現実に何度も胸が締め付けられ、涙した。けれどなぜか、奪い取ろうなんて思ったことはなかった。愛故か、自身を美化しているのか。


彼は私にたくさんの感情を残して、去ってしまった。



冷たい風が、隙間を通っていた。初秋。



私は、彼は友達だから、と、彼や周りに言うように見せかけて自分に言い聞かせ、都合のいい言い訳をして、彼に会いにいってみたこともあった。それは余計辛くさせるだけだった。彼の優しさが、ありすぎるほどの余裕が、私に恋愛的な興味がないからだと思い知らされた。


それでも彼との縁を切りたくなくて、本心が建前かもわからないけど、彼は人として尊敬できるから友達ではいたいのだと言い聞かせて毎日のように話してしまう。ちょっとしたことを共有したいと思い、共有されると舞い上がってしまう。心が温まってしまう。彼に心を奪われてしまう。私はもっと広い世界を知らなきゃいけないのに。周りに、自分に目を向けなくてはいけないのに。留まってしまう。



私だけが白黒で、目を開けば眩しいばかりの赤。あき。



私からしたら彼は、運命すぎるほどの運命。彼からしたらきっと違う。頭ではわかっているのに、ふとした瞬間に思い浮かぶのいつも彼。近くて遠い、君を今でも忘れられない。


彼への気持ちを言葉にしようとすると、どうも薄くなって、そんな言葉じゃ形容できない、と、言葉にできない。






愛と呪いと祈りは似ている。

どこかで聞いた、この言葉に共感できなかったけれど、徐々にわかるようになってしまっているのかもしれない。

前に進みたい。進まなきゃいけない。彼を忘れなきゃと思ったことはほとんどない。でも、彼を忘れたいと思ったことは、ある。


いつかまた、私たちの人生は交わるのか。その時はまた、新たな気持ちで向かい合えるといいな。

なんて。

ほんとは前を向きながら、君を追いかけて、いつか君が振り向いてくれるのを、振り向かせられるのを、待っていたいとも、思う。


いまはまだ、悩ませていて。

いつか動き出せる日が来るかなんてわからないけど、その日まで。


             





運命的な出会いをした相手が運命の相手とは、限らないことを、知りたくなかった、あの冬。






全ての恋する人に捧ぐ。

どうか、気づかれませんように


ただ静かな祈りとして、あの海の泡と、あの冬空の星となる

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