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英雄とドラゴンー第二部ー  作者: ヒトミ
第二部第一章
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ティローサ芸術都市国家

『ティローサ大劇場春季公演演目


【真の勇者】


これは遠い昔の勇者伝説である。


ある日小さな村に、どこからともなく伴侶を連れた旅人がやってきた。


始めはよそ者たちだと村人に警戒されたが、仁術を心得た妻の活躍と、村を襲う害獣を旅人が撃退したことで、彼らは徐々に受け入れられた。


だが、平穏な生活も終わりを迎える。


未曾有の大災害、天が裂け、海が割れ、大地が振動する、天変地異が起こったのだ。


旅人の妻もその災害で命を落とし、彼は失意のうちに村から姿を消してしまった。


村の生き残りの子孫が言うには、()の旅人は天変地異が起こった原因に、戦いを挑みに向かったのだとか。


彼こそ(まこと)の勇者である! その名は……』


「入都のときに配られた広告かや?」


ティローサ大劇場前にある広場の長椅子に腰掛け、ぼんやりと文字を追っていたラルジャンは、横から紙を覗き見てくるミストラルに視線を向けた。


「あー。大劇場で今公演されてる劇だってよ。観たけりゃ観劇券が必要だがな。どうする?」


観劇に興味はねえが、せっかく芸術の都に来てるんだ。ミストラルが見たいっつうなら付き合ってもいい。


「わらわは路上演劇を観れれば充分じゃ」


「そうか」


いつまでも大通りを眺めてるわけにもいかねえし、その辺を見て回るとするかな。


長椅子から立ち上がり、体をほぐす。


広告の文字から分かるように、今の季節は春である。


そう、ラルジャンたちが、黒天族探しを目的として活動を始めてから、一年が過ぎ去っていた。


この一年、探索者として気の向くまま依頼をこなしてきたが、黒天族らしき存在の情報は得られなかったんだよな……。


現在、ティローサ芸術都市国家に二人が来ているのはなぜかというと、単に赴いたことが無い場所を巡っているからである。


そしてなぜ二人で行動しているのかについては、簡単な問題だ。


黒天族探しの効率化のためである。同じ場所を四人で探すのは流石に効率が悪かった。よって、二人一組での行動となったのである。

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