一人っきり
仕事帰り、夕暮れどき。
疲れた体を引きずるように、一人ぼっちの坂道をあがってゆくと、そこには悲しい瞳をした太陽がいたんだ。
太陽はあまりに熱すぎた。
太陽はあまりに、まぶしかった。
ぼうぜんと立ちつくす僕に、太陽は何か語りかけていた。だけど僕には太陽の言葉はわからなくって、なぜか涙あふれた。
太陽は僕を抱きしめて、僕の涙は乾いてしまった。
お願いだよ太陽。もうしばらくは、僕と一緒にいてほしい。
だいじょうぶだよ太陽。もうしばらくは一人でも、なんとか我慢できそうさ。
やがて太陽は僕を見つめると、寂しげな瞳のまま、この坂道をくだっていった。
しばらくすると、坂の下からは、今度は月がやってきた。
おおぜいの星たちにかこまれた月は、なんだかとても楽しそうで、月は僕に気が付くこともなく、そのまま空へと向かい、飛んでいってしまった。
そして、夜になった。
太陽はあまりに熱すぎて、誰も近づこうとはしなかった。
太陽はあまりにまぶしくて、誰も彼を見ようとさえしなかった。
☆ ☆
仕事の休憩時間、僕はときどき空を見上げる。そこにはいつも一人ぼっちの太陽がいて、悲しい瞳の僕を見つめる。
今の僕には、彼に伝える言葉など、何一つ思いうかばない。
だけど・・・
お願いだよ太陽。もうしばらくは僕と一緒にいてほしい。
だいじょうぶだよ、太陽。あと少しなら一人でも、なんとか生きていけそうさ。
1999_8_22




