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シスターズアルカディアSideB-Brand new Sisters-  作者: 藤本零二
第1章~Brand New Story~
9/58

第7話「ハイスクールデイズ」

*


 兄さま達と別れた翌日の朝、やってきたアスカさんと共にボク達はコクラ中央市アタゴ区にあるキュウシュウ国立第1軍学校高等部へとやって来た。


 そこでアスカさんに付いていき職員室へと向かい、簡単な入学の手続きを終えると、早速二年生の教室へと案内された(アスカさんは三年生なので職員室を出たところで別れた)。



 教室に入ると、クラスメイトからの視線がボク達に集中した。

 クラスメイトは全部で15、6人くらいで、全員が女子だ。

 というのも、第1軍学校は男子部と女子部で校舎が異なっており、ボク達がいるのは女子部の方で、男子部はまた別の場所にあるらしい。

 では何故男子のムツキ君が女子部の方にいるかと言えば、ボク達が特殊な事情(クローンであったり、門外不出の“加速装置”を持っていたり)を持ったサイボーグであるから、保護責任者であるアスカさんが監視しやすいように、という理由で特例処置を取ったとのこと。


 しかし、そんな事情を知らないクラスメイトの中には、女子の園に男子が入ることで嫌悪を示すものでもいるのではないかと心配していたのだが…



「はーい、というわけで、早速だが編入生を紹介する。

 皆、喜べ!我が女子部に、唯一の男子生徒が入学することとなったぞ!

 しかもお前達より年下、ショタっ子だ!!」



 担任教師(こちらも女性だ)の言葉に、クラスメイトからの黄色い声が響いた。

 理由はどうあれ、この様子ならムツキ君は歓迎されそうでホッと一安心だ。



 そんな雰囲気の中、ボク達の自己紹介は始まった。



「マイカ・フジワラ、19歳です。

 私は戦闘ではなく裏方仕事を主に担うことになります。

 皆より年上ですが、よろしくお願いします」


「年上のお姉様っ!!」


「素敵♪」



 早速マイカ姉さまのファンが何人か出来たようだ。



「ナナカ・フジワラ、17歳です。

 まだまだ知らないことばかりなので、皆さんに色々と教えてもらえたら嬉しいです、よろしくお願いします」


「ナナカさんも素敵♪」


「私がナナカお姉様に色々と教えてあげますわー!!」



 ナナカ姉さまにも黄色い声が飛ぶ。

 さて、次はボクの番だ。



「初めまして、ボクはミライ・フジワラです。

 色々と事情があって、この世界のことをまだよく知らないので

 迷惑をかけることもあると思いますが、どうぞよろしくお願いします」


「ボクっ娘ですわ!!」


「ボクっ娘よ!!」


「真面目カワイイ系ボクっ娘超イイネ!!サイコー!!」



 え、そういう反応なの?



「ボクは、モモコ・フジワラ…

 よろしく…」


「もう一人のボクっ娘ですわ!!」


「もう一人のボクっ娘よ!!しかも角と尻尾が生えてる!!」


「小悪魔ならぬ悪魔、クール系悪魔なボクっ娘、私と相乗りして欲しい…!」



 まぁ、モモコちゃんの場合はそうなるよね~…

 尻尾は隠せても角だけはどうしようもないからって、いっそ隠さずに堂々といこうって話になったんだけど、まぁ、受け入れられてるようで良かった。



「わたしはメイコ・フジワラよ!

 14歳だけど、戦闘なら誰にも負けない自信があるわ!

 よろしくね♪」


「メイコちゃんカワイイー!!」


「私の妹になってー!!」



 本当、このクラスには色んな趣味の()達がいるな~…

 そして最後、一番の歓声が沸き上がったのがムツキ君だった。



「え、えっと…、僕はムツキ・フジワラ、です!

 あの、えっと、年上のお姉さんばかりのクラスで緊張してますけど、その…、よろしくお願いいたします!」


「「「「「キャアアアアアアアアッ!!」」」」」


「ムツキ君カワイイ!!」


「わたしの弟にならないか!?」


「私と付き合ってー!」


「おっぱいの大きいお姉さんは嫌いかしら?」


「ちょっ、ムツキ君は私の彼氏なんだからね!?

 勝手な手出しは許さないわよ!?」



 そんな喧騒の中、席に座っていたムツミさんが立ち上がって前に出てきて、ムツキ君を抱き締めた。



「むぎゅっ!?」


「あーっ!!ムツミずるいっ!!」


「私だってムツキ君の恋人になりたい!!」


「私もっ!!」


「アタイだって!!」


「ムツキ君はわたしの弟になるのだよ!!」



 そう言って四人の女生徒が立ち上がって、ムツキ君を囲うように抱き付く。



「くっ、苦しっ…!」


「ちょっ、ムツキ君が苦しがってるでしょ?

 あんた達は離れなさいっ!!」


「ムツキ君が苦しがってるのはあんたがムツキ君の顔をそのおっぱいで挟んでるからでしょ!?」


「そのおっぱいからムツキ君を解放なさい!」


「そしてアタイのおっぱいで挟み込んであげる♪」


「巨乳だけが正義ではないぞ、ムツキ君。わたしの控え目なおっぱいだって、柔らかさや形に関しては他の者に負けてないつもりだ」



 と、そこで担任教師がパンパンと手を叩いて、騒動を納めた。



「はいはい、そこまで。

 早速ムツキ君のハーレムが完成しつつあるようだが、今はまだ朝礼中だ。

 その辺の話し合いは後でするように」



 ちなみに、この世界でもハーレム制度、一夫多妻制、一妻多夫制が認められているらしい。

 ただ、一般的というわけではなく、あくまで法的に認められているというだけで、その制度に疑問視する意見や、反対運動を行っている人達もいるという。



 ボク達も含めて皆が席についたところで、担任教師からのいくつかの連絡事項が伝えられた後、朝礼は終了となった。



 それから授業が始まるまでの数分で、早速ボク達の周りはクラスメイトで囲まれた。

 主にマイカ姉さまとナナカ姉さまの“お姉様趣味”グループと、メイコちゃんの“妹趣味”グループ、ボクとモモコちゃんの“ボクっ娘趣味”グループ、そしてムツキ君の“ショタっ子趣味”グループ。

 早速ムツキ君はムツミちゃんを含めた先程の五人のクラスメイトのおっぱいに挟まれて幸せそう(本人は苦しがっていたが)だ。



 それから授業が始まった。

 授業内容は一般の学校と同じ基礎教養の座学と、実技で構成されている。

 主に午前中が座学で、午後が実技といった感じだ。


 ボク達は前世での知識に加えて、改造時に脳にインストールされた基礎知識などもあって、授業内容についていけない、ということはなかった。


 実技の授業は、いくつかのグループに別れて行われる。

 大まかに言うと、遠距離戦闘向けのトレーニングをするグループや、逆に短距離戦闘向けのトレーニングをするグループだったり、他には指揮官としてのトレーニングを行うグループや、サイボーグの身体を応急処置するための後方支援部隊としてのトレーニングだったりだ。


 ボクとメイコちゃんは遠距離戦闘グループに、モモコちゃんは近距離戦闘グループに、ムツキ君は指揮官グループに、マイカ姉さまとナナカ姉さまは後方支援部隊グループに入り、それぞれの指導を受けた。


 ボク達は学期始まって間もない五月に編入してきた六人姉弟ということで目立っていたが、中でも特に目立っていたのはムツキ君とメイコちゃんだ。

 ムツキ君の場合は女子の中の黒一点というだけでなく、年下という意味でも目立っており、本人の意思とは関係なくすでにハーレムを形成しつつあった。

 一方のメイコちゃんは最年少ながら、頭もよく、運動神経も抜群で、しかも明るくカワイイ美少女ということで、誰が彼女の一番の“お姉様”になるかで場外乱闘が起こる程だった。



 そんなこんなで一日目が終わり、放課後となった。

 この学校の放課後も、一般の学校と変わらず部活動に勤しむ者もいれば、帰宅部として町に繰り出す者など様々いた。


 マイカ姉さまとナナカ姉さまは、アスカさんに生徒会に勧誘され(アスカさんが今の生徒会長らしい)、数人の役員達と共に生徒会室へと向かった。

 メイコちゃんは複数の運動部から勧誘を受けて、今日は体験入部ということで、その全ての部に顔を出すという。


 ムツキ君は、ムツミちゃんと他四人の帰宅部のクラスメイトに誘われて、仲を深めるためという名目で町のカラオケ屋へ向かった。

 ムツミちゃんはムツキ君を独り占めしたいようだったが、他の四人がハーレム派のようで、半ば強引に連れ出していた。


 そして、ボクとモモコちゃんはいくつかの運動部に勧誘されていたのだが、モモコちゃんが文芸部に入りたいと言ったため、ボクもモモコちゃんと同じ文芸部に入るため、全ての勧誘は断らせてもらった。



「ミライは…、入りたい部活はないの…?」


「ボクの入りたい部活はモモコちゃんの入りたい部活だから」


「そう…」



 モモコちゃんはクールな表情を装っていたが、その口角は少し上がっており、嬉しがっているのは一目瞭然だった。

 そんなモモコちゃんが可愛くて、ボクはつい後ろから抱き着いてしまう。



「キャーッ!!双子姉妹百合ですわっ!!」


「ボクっ娘双子の姉妹百合っ!!

 楽園はここにあったのねぇえええっ!!」



 そんな様子を見ていた何人かのクラスメイト達が後ろの方で黄色い悲鳴をあげていたが、とりあえずスルーしてボク達は文芸部の部室へと向かった。

 



*


 第1軍学校女子部は、L字になった校舎と、縦の辺から渡り廊下で繋がる図書館、そして横の辺から繋がる講堂及び体育館があり、ちょうどコの字を描くような形となっており、その真ん中に運動場がある。

 そして、運動部の部室棟が講堂の隣に、文化部の部室棟が図書館の隣に建っている。


 ボクとモモコちゃんは文化部の部室棟へと向かい、そこの一階、一番手前の“文芸部”と書かれた部屋の扉をノックし、中からの返事を聞いてから部屋の中へと入った。

 室内には学習机が六つ向かい合わせに、お誕生日席に一つ並んで置かれており、各机にはノートパソコンが一台ずつ置かれていた。

 左の壁には活動日報のファイルや、生徒の私物なのか様々なラノベや漫画が並べられていて、右側の壁には横長のソファが一つ置かれていた。

 席には三人の生徒が座っていて、一人はお誕生日席に座っていることから部長だと思われた。

 部長以外の二人は机に難しそうな本をいくつか並べながらパソコンに向かって何かを書いているようだった。

 一方の部長はラノベ(この世界で今一番人気のある作品らしい)を読んでいたようで、ボク達が室内に入ったのを確認すると本を閉じ、こちらへ向かって歩いてきた。



「ようこそ、我が文芸部へ。

 あなたたちは入部希望、ってことでいいのかしら?」


「はい…」


「えっと、ボク達は今日この学校に編入してきた、」


「ええ、噂は聞いています。

 六人姉妹の中の双子の二人、よね?」


「あ、はい、そうです」


「正確には、一人弟がいるから、六人姉弟(きょうだい)が正しい…」


「あら、ごめんなさい。

 えっと、私は文化部の部長のノドカ・サエグサです、よろしくね」


「ボクはミライ・フジワラです、よろしくお願いします」


「モモコ・フジワラ、です…

 よろしく…」



 ノドカさんは、その名の通りのどかな雰囲気の女性で、黒髪ロングの和風美女という感じだ。



「では、まずこの部の活動について簡単に説明するわね。

 部員はここにいる二人以外にはあと三人いて、私も含めて合計六人。

 主な活動は、図書館で本を読んだり、部員で持ち寄った本を部室で読んだり、彼女らみたいにオリジナルの作品や、二次創作ものの作品をかいたりしています。

 対外向けには、半年に一度開かれる文芸作品展覧会に出場するために、各自でオリジナルの作品をかいてもらい、部員内投票で一番良かった作品を展覧会に出展したりしてます。

 とはいえ、こちらの展覧会への出展は自由参加なので、かきたい作品が無ければ無理にかく必要はないんだけどね。

 ここまでで質問はあるかしら?」



 部長さんの質問に、ボク達は首を横に振る。



「いえ、大丈夫です」


「問題ない…」


「そう、じゃあ、とりあえず今日は体験入部、という感じで好きにしてもらっていいから。

 ここの部室の本を読んでもらっても構わないし、図書館に行ってそこで本を読むのもよし、図書館で借りた本をそこのソファに座って読んでもよし、

 何かかきたいものでもあれば、机の上のパソコンを自由に使ってもらって構わないわ」



 部長さんにこう言われ、とりあえずボク達は図書館へ行って何か本を探してみることにした。



「モモコちゃんは何か読みたい本とかあるの?」


「特に、目的があるわけじゃない…

 ただ、この世界の文学に興味があったから…」



 ここで初めてボクはモモコちゃんの意外な趣味を知った。


 図書館に入るなり、モモコちゃんは片っ端から本を漁り、貸し出し上限ギリギリの10冊の本を持って部室へと戻った。

 モモコちゃんの借りた本はとにかく多種多様で、純文学に詩集、恋愛小説にミステリ、SFからホラー小説、さらにはラノベに漫画や絵本までと、特定のジャンルというよりは本そのものが好き、ということのようだ。

 ちなみにボクは『魔法少女マギカ☆なのは』の小説版を借りてきた。


 部室に戻ると、部員がもう一人増えていて、パソコンを使って何か作業をしているようだった。

 ちなみに、部のパソコンでは小説から漫画まで、様々な作品をかくためのソフトが入っているらしい。



「本を読むならソファを使ってもらっても構わないわよ?

 お昼寝にも使える便利なソファよ♪」



 部長さんにそう言われ、ボク達はソファに座らせてもらって本を読むことにした。

 モモコちゃんは借りてきた本を空いている机の上に並べて、そこから一冊一冊順に読んでいくようだった。

 絵本なんかは数分もあれば読めるだろうが、数百ページある小説なんかは数日かけて読むやつなのだろうと思っていたら、モモコちゃんはあれよあれよという間に本を読み終えていく。



「え、モモコちゃん本読むの速くない?」


「別に…、普通…」



 いや、ボクが一冊の半分も読み終わらない内に、モモコちゃんはすでに借りてきた本の半分を読み終えているんですが…



「モモコさんは本が本当に好きなのね♪」


「うん…、本は、好き…

 読んでいる間は…、本の世界の住人に…、なれている気がするから…」



 そんなモモコちゃんの隣でラノベを読んでいたボクだったが、気持ちのいいソファと、隣のモモコちゃんから漂ういい匂いと、モモコちゃんの体温、伝わる心地好い呼吸音などを堪能していると、いつの間にか読んでいたラノベの世界から夢の世界へと旅立ってしまっていた。



「…ライ、ミライ、起きて…

 もう下校時間…」


「……ん、んん…?」



 ボクが目を覚ますと、見下ろすモモコちゃんの顔がまず目に入った。

 後頭部からは柔らかくて温かい感触…、どうやらボクはモモコちゃんに膝枕をされているらしい。

 そのままの体勢でふと隣の学習机の上を見ると、モモコちゃんの借りてきていた本の種類が全て変わっていた。

 ボクはどのくらい眠っていたのだろう?


 すでに部室にいた部員の人達は帰宅した後のようで、部室にいるのは部長さんとボク達だけのようだ。



「す、すいません、部活動中に眠ってしまって…!」


「ああ、気にしなくていいのよ?

 この部は何事も自由がモットーだから。

 それに、あなた達の仲睦まじい様子に刺激を受けて、創作意欲が刺激されたとナオちゃん達も言ってたから」



 ナオちゃん達と言うのは先程まで部室で何かの作品を書いていた部員達のことだろう。

 …まぁ、腑に落ちないが役に立てたというのなら良かったのだろう。



「それで、どうかしら?

 お二人はこの部に正式に入部する?

 それとも、まだ他の部も体験してみて決める?」


「ボクは…、最初からこの部に決めてた…

 ミライは、どうする…?」


「うん、ボクはモモコちゃんと同じ部がいいから」


「決まりね。

 じゃあ、入部届けを渡しておくから、今日はもう遅いから明日以降にでも書いてもってきてちょうだい?」


「はい!」


「分かった…」



 こうしてボク達は文芸部に入ることになった。

 それからボク達は部室棟を後にし、マイカ姉さま達と合流した。

 マイカ姉さまは生徒会会計補佐に、ナナカ姉さまは生徒会書記補佐という役職に就いたという。

 一方メイコちゃんは様々な運動部に顔を出した結果、野球部に入部することに決めたようだ(後から知ったことだが、この学校の野球部は古くからの伝統があり、かつては強豪として夏の大会を連覇したこともあったという)。


 そしてムツミさん達とカラオケに向かっていたムツキ君とはコクラの町で合流する予定だったのだが、まさかこの時ムツキ君達があんな事件に巻き込まれていたなんて思いもしなかった…

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