幕間「ムツキとムツミ」
ヨウイチ達が聞乳をしていた頃、ムツキはムツミに連れられてムツミの家にやって来ていた。
ムツミの家は二階建ての一軒家で、一階には居間が二つとキッチン、二階には私室が二つという作りのようだ。
また、小さな庭もあり、ムツミの趣味なのか、家庭菜園を行っているようだ。
「結構いい家に住んでるんですね」
「ええ、野々原一家に憧れててね、この家もそれを参考に作ってもらったんだ♪」
「野々原一家…?アニメですか?」
「うん、そう!
『クレヨンさんちゃん』っていうアニメの主人公の名前が野々原さんたろうって言うんだけど、
そのさんちゃんの住んでる家ほとんどそのまんまなんだよ♪」
「そうなんですね」
それからムツミに促されて、家の中に入るムツキ。
「お、お邪魔します…」
「ええ、どうぞ♪
好きなとこに座っててね、飲み物とお菓子持ってくるから。
飲み物は何がいいかしら?」
「あ、えっと、ムツミさんと同じので大丈夫です」
「そう?じゃあ、ちょっと待っててね」
「はい」
ムツミに言われ、ムツキは居間の端にまとめられていた座布団を一つ拝借し、テーブルの長辺、庭を背にする側に座った。
床は畳敷きで六畳くらいだろうか。
キッチンとの仕切りには障子が、隣の居間との仕切りには襖が使われており、ムツキは知らなかったが、まさに『クレヨンさんちゃん』に出てくる野々原一家の作りそのままと言って良かった。
ムツキがきょろきょろと室内を見回していると、入口側の壁を背に置かれているタンスの上にいくつかの写真がフレームに入れられて置かれているのが目に入った。
ムツミの幼い頃の写真と思われるものやムツミの両親らしき二人の男女、そしてもう一人、ムツミより年下だと思われる少年の写った写真が複数あった。
「その子はね、私の弟なの。
…ニ年前に両親と一緒に死んじゃったけどね」
「え…」
キッチンからお菓子と二人分のアイスコーヒーを淹れて持ってきたムツミが、ムツキの視線に気が付いて説明を始めた。
「ほら、私がなんで一年遅れで高等部に入学したのか、気になってたでしょ?」
「えぇっと、まぁ…、少しは」
「その理由が、二年前に私達が巻き込まれたテロ事件ってわけ」
「テロ事件…!それって、まさか“レジスタス”の?」
“レジスタス”、それは反キュウシュウ国同盟軍を語り、“キュウシュウの壁”撤廃と、大陸側の大国である“クレイヴァス帝国”との同盟強化を目指し、真なる自由と平和を国民が享受する新たなる国家を樹立するという大義名分で、キュウシュウ国各地で無差別テロ事件を起こしている連中だ。
つい最近も、ダイリ区でテロ事件を起こしたばかりだが、偶然その場に居合わせたイツキ達によって、その時の実行犯らは全滅させられた。
「ええ、その通りよ。
家族でショッピングセンターに行ってる時だったわ。
“レジスタス”による自爆テロに巻き込まれて、両親と弟は即死、
私は奇跡的に命は助かったけど、約半年間意識不明の状態で、肉体の損傷も激しかったの。
目覚めた私は両親と弟が死んだことを知り、自ら望んでサイボーグ兵士としての手術に志願し、
一年間のリハビリ期間を経て、高等部入学と第3小隊への入隊が決まったのよ。
ただ、入隊と同時に副隊長に任命されるとは思わなかったけどね。
どうにもアスカさんに気に入られちゃったみたいで」
「そうだったんですね…
あ、ひょっとして年下の男性が好きというのは、その弟さんが原因ですか?」
「か、勘違いしないでね!?
確かに、カワイイ男の子を見ると弟にしたくなる衝動に駆られることはあるけど、
ムツキ君のことはそういうのじゃないから!!
本当の本気で好きになっちゃったんだから!!」
「わ、分かりました!
って、近い、近い!近いです、ムツミさん!!」
「私がどれだけムツキ君のことを好きか、今から証明してあげる!
勿論、この身体で、ね♪」
「ム、ムツミさん!ふ、服脱がないでくださっ、むぎゅ!?」
「ムツキ君、私、もう我慢できない!!」
「んんんんんっ!?!?」
ムツミのふくよかな胸に顔を挟まれたムツキは、苦しみながらも、どこか心地よい感触についつい身を委ねてしまうのであった。




