幕間「乙女石」
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“戦乙女”とは、“ワールドカシミウラ”という世界において、“機械星”と呼ばれる星から現れた、“侵略宇宙機械生命体”と呼ばれる侵略宇宙生命体から人々を守るために戦う少女達のことだ。
彼女達は、“乙女石”と呼ばれる特殊な石をピアスのように耳たぶに装着することで、そこから血液を介してナノマシンが全身に行き渡り、それぞれの“乙女石”に対応した特殊信号を受信して、戦闘用の特殊外装を纏った姿に変身、『武装化』する。
そして、各“乙女石”に対応した特殊信号を送信することが出来る石を“主人石”と呼び、それを指輪のようにして指に装着した者を“主人”と呼んだ。
また、“戦乙女”は『武具化』という武器に変身することで、“主人”が装備して戦うこともある。
そうするメリットは、『武装化』した時と、『武具化』した時で、使用出来る能力がガラッと変わるからだ。
例えば、『武装化』した時の能力が遠距離特化なら、『武具化』すると近距離特化になる、という感じだ。
なので、“戦乙女”と“主人”は状況に応じて、その戦闘スタイルを変えて戦うのだ。
“戦乙女”は、最初から“主人”とセット、つまり変身時に“乙女石”と“主人石”が必要だったわけではない。
世界で最初の“戦乙女”、【原初の戦乙女】は、“乙女石”のみで変身出来た。
この時の“乙女石”は、破壊された“機械星”の欠片が、地球の大気圏に突入した際の摩擦熱などで化学反応を起こして変化した高エネルギー物質で、地上のあちこちに散らばって存在していた。
そのため、個人として活動する“戦乙女”がほとんどであった。
その後、散らばっていた“乙女石”を回収し、新たに人工的に改良を加えた“乙女石”が作られて、“戦乙女”を組織化していった。
そこからさらに時代が進み、時の権力者達の思惑などが複雑に絡み合い、“戦乙女”達をより適正に管理しようとする動きが出てきた。
そうした動きの中で作られたのが、“乙女石”を制御するための“主人石”だった。
そして現在、“戦乙女”達を育成するための学校、戦乙女養成学院では、“予科乙女石”と呼ばれる汎用型の“乙女石”が使われている。
“予科乙女石”は“汎用主人石”と呼ばれ、それらは訓練担当教官が所持しており、“汎用主人石”一つで、一学年の生徒全ての“予科乙女石”を起動させることが出来る仕組みになっている。
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「私に“乙女石”と“主人石”を作って欲しい?」
アニ君との姉妹デートが行われている時期に、マイカ姉ちゃんにそう頼んだわたしことメイコ。
「うん、ほら、わたしのサイボーグとしての能力って、“加速装置”だけでしょ?
勿論“加速装置”そのものはチートなんだけど、普段はオーバースペック過ぎて使えないでしょ?
そうなると、わたしってほとんど役立たずじゃない?」
「なるほど、だから“戦乙女”としての力が欲しい、と」
「そういうこと!」
わたしは、前世では【炎帝石の戦乙女】として、“侵略宇宙機械生命体”と戦っていた。
“炎帝石”と言うのは、“乙女石”の中でも特定の人物にしか扱えない特殊な石、ということになっている(詳しいことはわたしもよく分からない)。
その“炎帝石”は、わたしの死と共に行方不明になっていて、現在も見つかっていないということらしい。
いずれは“ワールドカシミウラ”に戻って“炎帝石”を捜索してみようとは思っているけど、捜索には時間がかかるだろうから、本格的に探すとなると学校が長期休暇に入ってからになるだろう。
「だから、それまでは普通の“乙女石”で我慢しようかな、って」
「でも、作ってと言われてもそう簡単には…
そもそも材料とか構成とか全く分からないし…」
「なので、アニ君達から“予科乙女石”を貰ってきたんだ!」
そう言ってわたしは、アニ君達から貰った四つの“予科乙女石”をマイカ姉ちゃんに渡した。
「これは、ヨウ君達が“ワールドカシミウラ”で、戦乙女養成学院に編入してた時に手に入れたもの、だったっけ?」
そう、それらは戦乙女養成学院に編入したアニ君とイツキ姉ちゃんとカズヒ姉ちゃん、そしてツキヒちゃんが着けていた“予科乙女石”だ。
「元々、“主人石”はオリジナルの“乙女石”を解析して、その力を制御するために“乙女石”を改造して作られたものらしいんだよね。
で、それらをさらに学生用にデチューンして作られたのが“予科乙女石”とそれを制御するための“汎用主人石”、ってことみたい」
「…なるほど、であれば、この“予科乙女石”を解析して、改造を加えれば、元の“乙女石”と“主人石”を作れるかもしれないわね。
幸い、素材が四つもあるのだから、これらを改造して1セットくらいは作れるかもしれないわね」
「本当に!?」
「ええ、と言っても期待はしないでね?
確実に出来るとは約束できないし、結構時間もかかると思うから…」
「うん、そこは理解してるつもり!」
その時のわたしは、完成するのは正直難しいだろうなと思っていた。
仮に完成するとしても、下手したら数ヶ月かかる可能性もあるんだろうなとも考えていた(それでも行方不明となった“炎帝石”を見つけ出すよりは可能性は高いと思っていた)。
だけど、わたしはマイカ姉ちゃん達の実力を、どうやら過小評価し過ぎていたらしい…




