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シスターズアルカディアSideB-Brand new Sisters-  作者: 藤本零二
第2章~Extra Number of Sisters~
26/58

第9話「本当の彼女」

*


「…ぷはっ……、やっぱり、君とウチは“相棒パートナー”だったニャ♪」



 突然アタイの唇を奪ったそいつは、自らとアタイが“相棒パートナー”だと言う。

 “相棒パートナー”とは、特殊な契約を結んだ霊能力者と妖獣の間柄のことで、互いの霊力と妖力との波長のようなものが合った者同士でしか成立しない、唯一無二の関係だ。


 確かにアタイは霊能力者で、目の前のこの女は“妖猫ようびょう”のようだが、お互いに魔人の血が混じった混血ハーフ同士だ。

 何とも奇妙な“相棒パートナー”だな、と思いながら、呆然とその女の顔を、アタイはじっと見続けていた。

 そのアタイの視線をどう解釈したのか、その女は自らの名を名乗った。



「そうだ、自己紹介がまだだったニャ。

 ウチの名前はイシス・モラン、よろしくニャ♪」


「あ、アタイは、……、」



 女の自己紹介に、アタイもつい反射的に名乗ろうとしたが、そこでアタイの張り詰めていた気が抜け、意識を失ってしまった。




*


 それから、アタイとイシスの共同生活が始まった。



 彼女、イシス・モランは魔人と“妖猫ようびょう”のハーフだった。

 “妖猫ようびょう”だった母親がある時、気紛れでこの世界“ワールドアイラン”にやって来たとある魔人の男に捕まり、“隷獣”契約させられた後、魔人達の世界“ワールドダークネス”に拉致され、そこでその男にレイプされて出来た子供らしい。


 そんな彼女は、“ワールドダークネス”で独学で魔術を勉強し、母親を縛る“隷獣”契約を破棄させるために父親を殺し、母親と共に父親の使っていた転移魔法陣を使って“ワールドアイラン”に逃げてきた。

 その後、二人で山の中で貧しくも幸せに暮らしていたそうだが、母親が若くして亡くなり、イシスは10歳にして一人暮らしを余儀なくされた。


 それから4年後、彼女が14歳となったある日、山の中で山菜採りをしていた時に、少年院から脱走したアタイと出会ったのだそうだ。



 なんとなく、アタイと似たような境遇の彼女とは気が合い、いつしかアタイにとって彼女は“相棒パートナー”以上の大切な存在になっていた。



 一緒に生活しながら、アタイはイシスから魔術を学び、ようやくまともに魔術が使えるようになったことで、魔術師としても覚醒した。

 さらに、霊能力『状態変化』と魔術を組み合わせることで、水の魔術で出した水を氷に変えたり水蒸気に変えたりすることも可能となり、これまで以上に多彩な攻撃が可能となった。



 それから数ヶ月後、イシスの腹違いの妹(年齢はアタイ達と同じ14歳だった)である魔人、“闇の魔術師”イリス・モリアーティが、父親の仇と称して手下の魔人数人と共に現れ、イシスを殺そうとしたが、アタイ達は手下の魔人達を返り討ちにし、イリスだけはイシスの懇願もあって生け捕りとし、逆らえないようイシスと“奴隷”契約をして、イリスはイシスの“奴隷”となった。



 イリスは最初こそ反抗的だったが、イシスの人懐っこさにほだされたのか、次第にアタイ達に懐いていった。

 元々、父親の仇討ちというのも建前で、何かしらの手柄を立てて“ワールドダークネス”での地位を得たかっただけらしく、手下も失って自前の魔力だけでは世界を行き来するだけの『転移魔術』も起動できないため、“ワールドダークネス”での成り上がりは諦め、この世界でアタイ達とのんびり過ごす日々を選ぶことにしたのだそうだ。

 


 だが、そんな暮らしは一年と少しで終わりを告げた。

 アタイ達の住んでいた山小屋から一番近くにある小さな村(と言っても山を降りる必要があり、下るだけでも半日はかかる距離だ)に、アタイ達は時々衣服や食料などの買い出しに出掛けていたのだが、その村にある日、“妖獣ハンター”がやって来て、次々と村人達を襲いさらっていった。

 村人達の大半は“相棒パートナー”を戦争などで失った妖獣達だったため目をつけられたのだろう。

 “妖獣ハンター”達は若い女の人類や妖獣は生かして捕らえ、金持ちの好事家や魔人達に売り付け、それ以外の年寄りや男達は情け容赦なく殺していった。


 そんなタイミングにアタイ達はたまたま居合わせ、山から降りてきたばかりのアタイ達を見つけた連中が、アタイ達を捕らえようと襲ってきたので返り討ちにしてやったら、生き残った村人達から感謝されてしまい、その噂を聞き付けた政府役人連中がアタイ達に接触し、アタイ達を軍に誘ってきやがったのだ。

 当然、アタイはその誘いを断るが、後日、アタイの過去を調べ尽くした連中が再びアタイ達の元に訪れ、アタイの過去を清算する代わりに、アタイ達に軍人になれと要求してきた。

 断れば、アタイは犯罪者として、イシスとイリスは犯罪者を匿った罪として罰を受けることになる、と。



 こうしてアタイ達は全く望まぬ形で軍人となり、その数年後に起こる“第二次妖魔大戦”へと駆り出され、そこでアタイは“死神デス”、イシスは“シス”と呼ばれるようになる。



 そして、終戦間際に奴と出会うのだ。

 唯一アタイに土をつけた、あの霊能力者と………




*


「あ…、い、イーディスちゃん…?

 イーディスちゃんニャの!?」


「イシス…、本当にイシスなのか…!?」



 魂の無いクローンサイボーグNo.13、サティスの肉体に突然宿った魂、それはアタイの前世の“相棒パートナー”、イシス・モランだった。



「どうです?先払いの報酬は気に入っていただけましたか?」



 そう言うのは、アタイが殺したシロックの肉体に宿った男。



「…あんた、一体何者だ?どうやってイシスの魂を転生させた?」


「おっと、そう言えばまだ名乗っていませんでしたね。

 私の名前はジョウゴ・カサハラ、かつて『魂転生論』という学問を追求し、魂の再利用をすることで人工的に超能力者を生み出すことに成功した、“新人類教”の教祖、と言えば分かりますか?」



 “新人類教”教祖、ジョウゴ・カサハラ、元々この世界の出身でない()()()は知らないが、フォルス(サイボーグNo.4)として脳にDL(ダウンロード)された知識の中にその名があった。

 …なるほど、さっきこいつがアタイ達の味方だと言ったのはそういうことか。



「あんたも、ヨウイチ(ヨウ博士)に恨みを持つ人物、というわけかい」


「ええ。彼の発見した“バイオヴァリアブルメタル”による死なない(サイボーグ)兵士、のおかげで、私の魂を再利用した(超能力者)兵士は陽の目を浴びることはありませんでした。

 まぁ、当時の私がまだ未熟だったのは事実です。

 せめて当時の時点で、100%の確率で転生と超能力覚醒が出来ていれば…!」


「その言い方だと、今なら100%出来る、って言いたげだな?」


「ええ、その証拠にイシス殿を転生させてあげたでしょう?

 あ、ただし彼女に超能力が覚醒したかどうかは分かりません。

 超能力を100%覚醒させるためには、死ぬ前に準備が必要ですので」


「えっと…、話がよく分からニャいんだけど……?」


「えっとだな…、」


「どうぞ、イシス殿に現状を説明してあげて下さい。

 それまで私は待っておりますので」



 ジョウゴの了承を得て、とりあえずアタイはイシスにこれまでのことを説明した。

 イシスも最初は色々と戸惑っていたが、サティス(サイボーグNo.13)の脳にもアタイと同様にこの世界の知識や、クローンサイボーグ達の情報がDL(ダウンロード)されていたため、すんなりとアタイの話した事実を受け入れてくれた。



「…よく分かったニャ。

 それで、イーディスちゃんはどうしたいのニャ?」


「アタイの目的は決まってる。

 アイツを、ヨウイチ(サウ)をこの手で殺すことだ!」


「…本当に、それでいいのニャ?」


「何か、問題でもあるってのかい?」


「…いや、いいニャ。

 ウチはイーディスちゃんの“相棒パートナー”だから、イーディスちゃんの望み通りにするだけニャ」



 何となく引っかかる言い方だが、イシスが仲間となってくれるのは心強い。

 彼女は魔術に加えて妖術が使える。

 さらに、サティス(サイボーグNo.13)の能力として、サティスの意思で動く無数の“ナノロボット”を掌から出して操る能力がある。

 この“ナノロボット”は肉眼では視認出来ない程の超小型ロボットながら、映像や音声の録画と録音や、内蔵の注射針から毒などの物質を相手に投与したり、あるいは耳から脳に入り込み、特殊な電磁波を脳の特定箇所に流すことで特定の記憶を一時的に再生不可状態(一時的に思い出せなくする、と言った方が分かりやすいか)にしたり、洗脳状態にしたりすることが出来る。


 とはいえ、“ナノロボット”の主な使用目的は、映像と音声の録画と録音を中心とした敵の偵察活動となるだろう。

 脳へ侵入させて、特定の記憶を一時的に忘れさせたり、洗脳状態にして操ったりする能力はかなり強力だが、イシスへの負担が大きすぎるため、常時他人の脳を操る場合は最大でも一人が限度だろう。

 “ナノロボット”はイシスの意思で操られており、他人の脳を操るには、常に一定の感覚で特殊な電磁波を流すようイシスが指令を出さなければならない。

 それは、イシスが寝ている間も、脳の一部が常に稼働して“ナノロボット”を動かし続けなければならないということで、いくらサイボーグであっても、それだけ常時脳を稼働し続けていれば、負担は半端ないだろう。



 というようなことを考えていると、先程からずっと待っていたジョウゴが口を開いた。



「さて、サティス殿も事情が分かったところで、フォルス殿にお願いです。

 私に力を貸して頂けませんか?

 力を貸して頂いた場合の報酬は、残りの二人、フォティス(サイボーグNo.14)ゼクスティーナ(サイボーグNo.16)の肉体にも、あなたの望む魂を転生させて差し上げますよ?」


「望む魂、だと…?」


「ええ。少し、難しい話となりますが、魂に関して、私が知りえたことをお教えいたしましょう」



 ジョウゴが言うには、魂と言うのは一度肉体から離れると、現実世界より一つ上の世界、いわゆる“あの世”と一般的に言われている世界に行くらしい。

 そして、普通ならば“あの世”で魂は浄化され、記憶も何も失った状態で数年から数千年、あるいは数万年漂い、ふとしたきっかけで“こちらの世界”に引き寄せられ、新たな肉体に定着して転生する、らしい。

 この場合の“こちらの世界”と言うのは、パラレルワールドも含めた全ての平行世界のことらしい。

 なので、一度“ワールドアイラン”で死んだアタイが、ここ“ワールドシルヴァネア”に転生してもおかしくないようなのだが、



「だがちょっと待てよ、“あの世”とやらに行ったアタイの魂は浄化されて記憶を消されてるハズだろ?

 なのに、今のアタイには前世の記憶があるし、イシスにも前世の記憶がある。

 その辺は一体どうなってんだ?」


「それに関しては、あなた方が一部の例外の中でも、さらに特殊な事情があるからです」



 さらにジョウゴが続けるには、ごくまれに魂が浄化されず、前世の記憶を持ったまま転生してしまう場合もあるらしい。

 だが、アタイ達の場合はさらに特殊なパターンらしく、どうやら魂が浄化されないための膜のようなもので覆われているらしい。


 その正体に関してはジョウゴも分からないとのことだったが、後に知ったところによれば、それはかの魔王ヤミによる魔術的呪いによるものだ、とのこと。

 何故魔王ヤミと面識のないアタイらにそんなものがと思ったが、これは元々魔王ヤミが自らを封じたヨウイチ(【建国の王子】ヨウ)の魂を中心に、その転生後も含めた姉妹達の魂にも()()していき、2000年後、つまりは今この時代に転生させるための魔術だったらしく、その魔術の余波がヨウイチと深く関わった周りの人物、より正確にはヨウイチに対して()()()()()()()()の魂にも()()し、その結果、アタイやイシスの魂にもその魔術的呪いが()()し、魂が完全には浄化されずに、他のクローン姉妹達同様、ヨウイチ(ヨウ博士)と深い繋がりのあるクローンの肉体に魂が定着したのだという。



「そういうわけで、その膜によって浄化されずに記憶が残った他の者の魂を召喚し、残りのフォティスとゼクスティーナの肉体に定着させることが私には出来るのです」



 どうやらジョウゴは、魂に関する実験を繰り返している内に、誤って自らの魂を肉体から剥がしてしまったことがあったらしく、その際にここより上の次元の世界の存在に気付いたという。

 そして、元の肉体に戻った際に超能力『魂転生』が覚醒し、あらゆる魂を“あの世”から連れ戻し、魂の無い身体に定着させられるようになったのだという。



「ちなみに、人間を超能力者として覚醒させる方法は、あなた方の魂に仕掛けられた膜と似たような方法を使います。

 まず、私がかつて大陸で入手した特殊な薬草から作られた“ポーション”という液体を飲むことで、その魂の浄化を防ぐ為の膜が作られます」



「次に、その魂を刺激させる方法で自殺を図ってもらいます。

 その際出来るだけ多くの他の魂を巻き込むことで、より強力な刺激が魂に加えられ、その魂に眠っていた力、即ち超能力が覚醒するのです。

 死に瀕した人間が復活した際、ごくまれに特殊な才能が開花する、というのはつまりそういうことなのです」



「そうして自殺し肉体から離れた魂は、普通なら“あの世”に行って浄化されますが、

 “ポーション”によって作られた膜によってその魂は保存された状態で“あの世”に漂います。

 後は、その漂う魂を私が回収して、他の肉体に定着させることで、超能力者が完成する、というわけなのです」



「さらに、あなた方クローン個体のほとんどが魂無き存在として生まれる理由は、そもそもこの世界は、他のパラレルワールドに比べて、転生出来る魂が少なくなってきているからなんです!」



「というのも、この世界は近い未来、といっても数千年か数万年後に、寿命が訪れ滅びる定めとなっているようなのです。

 この世界の出生率が年々減少しているのは、この世界に戻ってくる魂が少なくなってきているのが原因で、それは世界の寿命が近いからだということなんですね!

 故に、クローンとして誕生したあなた方姉妹の大半は魂無き存在となり、定着した魂はヨウ博士由来の魂がほとんど、ということになったのですよ!」



 奴の話をじっと聞いていたら、興が乗ったのか、アタイらの聞いてないことまで話し始めたジョウゴ。

 この辺りは根っからの科学者ということなのかね…



「…っと、少々話し過ぎましたね。

 というわけで、私に力を貸して頂けるなら、そちらの二人に望む魂を転生させて差し上げますよ?」


「仮に断った場合はどうなる?」


「別に何も。

 現状、今の私ではあなた方に敵いませんので、武力で無理矢理あなた方を仲間にする、という手段を取れない以上、この身体を捨てて別の肉体に転生し、別の方法でヨウイチ(ヨウ博士)に復讐を考えようと思います。

 ですが、あなた方としては、私と手を組んだ方がメリットが大きいのではないですか?」



 確かにジョウゴの言う通りだ。

 話が上手すぎるというのはあるが、こちらの戦力を増やせるだけ増やしておいて、いざとなった時に奴を切り捨てる、という手もある。

 今は、奴の力を借りた方が得策、か。



「オーケイ、分かった、あんたに手を貸すよ」


「ありがとうございます。

 では早速ですが、彼女らに誰の魂を転生させましょうか?」



 と言っても、アタイの前世で仲間に出来そうなのはイシスの義妹のイリスくらいしかいない。

 とりあえずはイリスを転生させておいて、もう一人は適当にその辺の人間を超能力者として覚醒させて転生させるか……、いや、待てよ、二人なら、



ヨウイチ(サウ)の“相棒パートナー”だった妖犬の女と、レイブン(ツキヨ)の“相棒パートナー”だった妖狐の女の二人を転生させられるか?」


「ニャニャ!?なんでその二人なのニャ!?

 てっきり一人はイリスちゃんを転生させるのかと思ってたんだけど!?」


「それも考えたが、奴らに確実に復讐するには、元の仲間だった二人が敵になった方がいいかと思ってな。

 あの二人を転生させ、アタイの“隷獣”として支配し、奴らと戦わせる、なかなかにいい復讐だと思わないか?」


「ま…、まぁ、それは確かに……」


「では、その二人の魂を転生させましょう。

 場合によっては魂が浄化されてしまって見つからない可能性もありますが、彼の関係者であるなら、あなた方同様魂が保存されている可能性が高いでしょう」



 そう言ってジョウゴは、数秒の間目を閉じ、再び目を開けるとこんなことを言った。



「む…、すいません、どうやら転生させられるのは一人だけのようですね…」


「そうか、それはつまりどちらかの魂が浄化されているということか?」


「いえ、二人の魂は浄化されずに存在していました。

 問題はフォティスの肉体の方にあります」


「フォティスの肉体に?それは一体どういうことだ?」


「どうもフォティスの肉体にはすでに魂が転生しているようです」


「な、何だって!?」


「ええ。

 少し前に魂が転生したようですが、まだ目覚めていない状態のようです」


「魂が目覚めていない…?」



 これは、ちょっと予想外の展開だな。



「ちなみに、誰の魂が入っているのかは分からないのニャ?」


「この感じは…、トゥエニとフィフティーナに転生していた二人の魂に非常に近い存在、彼女らの姉妹だと思われますね」



 トゥエニとフィフティーナに転生した二人の姉妹…、か。

 こいつ、そこまで分かってるってことは、かなり前からシロックの肉体に転生していたな?

 …まぁ、今はそんなことどうでもいいか。



「そういえば、トゥエニ(サイボーグNo.12)フィフティーナ(サイボーグNo.15)フォティス(サイボーグNo.14)の肉体は遺伝子的に一卵性の三つ子だったか。

 オリジナル(マコとモカ)の遺伝子を元に作った卵原細胞に他者の遺伝子情報を一部組み込んで作り出されたクローン姉妹、とかだったか?アタイも詳しくは理解出来んが。

 それが影響しているのかは分からないが、あの二人(トゥエニと)の肉体(フィフティーナ)に三姉妹の内の二人の魂が転生した段階で、フォティスにも残るもう一人の姉妹の魂が宿った、のか?」


「恐らくその認識で間違いないかと」


「…ふむ、ならまずはフォティスに眠る魂を覚醒させることにしよう。

 ジョウゴ、どうすればいいか分かるか?」


「このようなパターンは初めてなので何とも言えませんが、脳に電気的刺激を与えてみる、とか?」


「電気的刺激、か…

 ふふ、そうか、いいことを思い付いたぞ!」


「イーディスちゃん、悪い顔してるニャ~……」


「イシス、お前のサイボーグとしての能力を使うんだ」


「サイボーグとしての…、それって“ナノロボット制御”かニャ?」


「ああ、そうだ。

 “ナノロボット”をフォティスの脳に送り込み、刺激を与えて魂を覚醒させ、さらにその上でトゥエニとフィフティーナの姉妹だったという記憶を再生不可状態にし、アタイ達に絶対服従するよう洗脳するんだ」


「ニャ、ニャんでそんなことを?」


「決まっている、そうした方が奴らが苦しむ顔を見られるからだ」


「……分かったニャ、とりあえずやってみるのニャ」



 そう言うとイシスは、右手の掌から“ナノロボット”を複数放出し、それらをフォティスの耳の中へ入れた。

 しばらくして、フォティスが苦しみ出すと、その尻から魔人の尻尾が、そして背中の右側にだけ魔人の羽が生え、頭の左側にだけ鬼のような角が生えてきた。



「う…、あ……、こ、ここは何処…?

 なんでぼくは…?」


「なるほど、トゥエニは魔人でフィフティーナが亜人の“鬼人デーモン”だったが、フォティスはそのハーフというわけか」

 

「な、なんだ君達は…、ってなんで君達は裸なんだ!?」


「ニャニャ!?そう言えばウチら裸だったのすっかり忘れてたニャ!?」


「裸とは失敬な、一応これ(ボンテージ服)は着ているだろう?

 それに、お前だって同じ格好だ」


「え?……あ、きっ、きゃあああああああ!?!?

 なんで!?なんでぼくこんな格好してるの!?」


「そんなことより、お前は自分のことが分かるか?」


「そんなことって…、まぁ、いいや、えっと、ぼくはカリナ・ライダロス、だけど……」


「ふむ、それで、他に姉妹はいるか?」


「姉妹……、そうだ!

 アリナお姉ちゃんとサリナちゃんは!?二人はここにはいないの!?」


「姉のアリナと妹のサリナ、か。

 イシス、分かったか?」


「うん、二人に関する記憶情報が収納されてる場所、特定できたニャ」


「よし、じゃあ、やれ」


「了解ニャ」


「え、やれって何、を……っ、あ゛ああああああっ!?!?」



 イシスの指令でフォティスの脳に入った“ナノロボット”が、二人の姉妹に関する記憶の納められた箇所に特殊な電磁波を流し、二人の姉妹に関する記憶を再生出来なくした。

 そして、アタイらに対して服従心を抱くよう、フォティスの脳を洗脳し、支配した。



「あ…、が……、」


「フォティス、アタイらのことが分かるか?」


「え…?あ、はい……、我が主、フォルス様と、サティス様…」


「お前の名前は?」


「ぼくの、名前は…、フォティス…」


「お前の姉妹は?」


「ぼくの、姉妹は…、フォルス様とサティス様、です……」


「よし、成功だな」

 

「ふふ、なかなか面白い趣向ですね、フォルス殿」



 ここまでの様子を黙って見ていたジョウゴが、そこで口を開いた。



「さて、フォティス殿の処置が終わったところで、もう一人、ゼクスティーナの方はどうしますか?」


「ああ、それも考えてある。

 ゼクスティーナには、ツキヨの“相棒パートナー”である“妖狐(ようこ)”の魂を転生させてくれ」


「ほう、それは何故?」


「まずはレイブン(ツキヨ)から攻めようと思ってな。

 そのためには奴の“相棒パートナー”を、今度は記憶を残したまま支配して奴にぶつけようと思ってな」


「なるほどなるほど、それは確かに面白そうです。

 では、ゼクスティーナには彼女の、イザヨイの魂を転生させましょう」



 ジョウゴがパチンと指を鳴らすと、今度はゼクスティーナが苦しみ始め、その尻からは狐の尻尾が生え、髪が尻の辺りまで伸び、頭からは狐耳が生えてきた。



「あ…、はぁ…はぁ…、こ、ここは何処…?」


「やぁ、お目覚めかい、イザヨイ?」


「え…!?その顔…、サウ、なの…!?いや、でも女の子…、というか魔人!?

 ま、まさか、アンタは…!?」


「ふふ、そう、そのまさかさ。

 そして、今からお前はアタイのものとなる!」



 アタイはゼクスティーナの唇にキスをし、魔力を注ぎ込み、『隷獣契約』の魔術を使った。



「ん゛っ…!?んん……っ!!」



 じたばたと暴れるゼクスティーナだったが、もう遅い。

 ゼクスティーナの首にはアタイとの“隷獣”契約である証の“隷属輪リング”が巻かれ、アタイの右手の人差し指にはその対となる“主人輪マスターリング”が現れた。



「ふふ、これでもうお前はアタイのものだ」


「う…、うぅ…、な、なんで、こんな……」



 大事な所が丸見えのボンテージ服のみを着て、絶望に涙するゼクスティーナの姿に、アタイは言い知れぬ興奮を覚えた。



「ふふ、そうだ、アタイの“隷獣”となった記念に、プレゼントをやろう」


「え?」



 そこで、アタイは魔力で作った金属製のリードを作ると、彼女の“隷属輪リング”に結び付けた。



「どうだ?これでお前はアタイの“隷獣ペット”だ。

 これからしっかり可愛がってやるからな♪」


「い…、いやぁああああああああっ!!」



 ゼクスティーナの絶望の悲鳴が海底研究所に響いた。




*


 その後、ジョウゴはアタイ達に“新人類教”の新しい教祖とならないかと言ってきた。

 “新人類教”の教祖となれば、超能力者を含めた数十人の駒と、ジョウゴの子孫が自分との関係が分からないように管理している、彼が生前に集めた資産や土地などを自由に使えると言うのだ。



「いつまでもこの海底研究所にいるわけにもいかないでしょう?

 なので、私の子孫が管理している“新人類教”の秘密研究施設に一度拠点を移すのはどうでしょう?」


「ふむ、それもそうだな。

 では、ここで出来ることを済ませ、後はデータを出来るだけ回収してその秘密研究施設とやらに移動しよう」



 というわけで、まずアタイは自分達用の戦闘用のスーツをデザインし、作成した。


 アタイが纏うのは、悪の女幹部を思わせる黒のビキニアーマーに、裏地が赤いマントのスーツだ。

 そして、イシスとフォティスにはアタイの着ているビキニよりさらに布地の少ない黒い三角ビキニだ。

 ボンテージ服が脱げないため、その上からビキニを着用することになる。

 一見、無防備のように見えるが、肌が見えている部分も透明な耐久素材で覆われており、通常兵器なんかでは傷一つ付けられない仕様だ。



「ニャ~…、ちょっと布少な過ぎニャいかニャ…?

 さすがにこの格好でずっといるのは恥ずかしいのニャ…」


「何を言う、これだけ露出度が高ければ、女に甘いあの男(ヨウイチ)の油断を誘えるハズだ。

 それに、とても似合っていて可愛いぞ?」


「ず…、ずるいニャそれ!

 そんなこと言われたら、文句言えなくなるニャ…」



 ふふ、恥ずかしがるイシスも可愛いな、もっといじめたくなってしまう。

 正直、この露出度の高い衣装はアタイの趣味というのもあり、本当なら何も着せたくないくらいだ。



「あ、あの…、わ、私の服は…?」



 そう言うのはイザヨイ、いや、今はゼクスティーナと呼ぶか。

 彼女にだけはボンテージ服の上からは服を着せておらず、女の大事な所が全て丸見えの状態だ。



「お前はアタイの“隷獣ペット”だぞ?

 ペットには服など必要ないだろ?」


「そ、そんな…っ!」


「何、お前も十分に綺麗で可愛いぞ?

 恥ずかしがることはない、全てをアタイに見せるんだ…」


「あ…、んん……っ!?そんな、とこ…、触らなっ、あぁんっ!?」



 アタイはゼクスティーナの背後に回り込み、左の乳首を弄りながら、ゼクスティーナの股間に指を挿入して入口周囲を弄ると、可愛い声で鳴き声をあげた。

 ふふ、前世の敵だった頃は憎らしかったコイツも、“隷獣ペット”となった今の姿は、形も大きさも柔らかさも完璧な胸に、柔らかい尻尾、少女特有の甘い匂い、そして何より安産型の尻、全てがアタイの好みだ♪



「ああ、素晴らしい身体だ…

 これから存分に可愛がってやるからな♪」


「ん…んん…!?そ、それ以上は…、やめっ、んぁああっ!?イッ、イッちゃうからぁああああ!?!?」


「…むぅ、イーディスちゃん、すっかりイザヨイちゃんにご執心だニャ…、ジェラシー感じちゃうニャ…」


「ふふ、イシスも一緒に可愛がってやるから、今夜まで待て」


「…約束だからニャ?」



 その後、研究所のデータを出来るだけ回収した後、アタイ達はナンヨウ県六本松市にあるとう“新人類教”の秘密研究施設(どうやら製薬会社の地下に、社員すら知らない施設が作られているらしい)に拠点を移すことになった。


 その時にはすでに月が変わっており、5月の初日を迎えていた。

 世間的にはゴールデンウィークとかいう長期休暇に入ってるのもあり、製薬会社に残っている社員は“新人類教”の地下施設を知る者のみ(要はジョウゴの子孫達及び“新人類教”の隠れ教徒というわけだ)とあって、すんなりと地下施設へ入ることが出来た。


 その社員達はジョウゴの復活に喜び、また新たに教祖となったアタイ達を歓迎してくれた。

 ま、大半の連中はアタイ達の魅力的な肉体に欲情しているだけだろうがな。

 見るだけなら構わんさ、そのための衣装でもあるし、駒共の士気も大いに上がるというものだろう。

 特に、ほぼ素っ裸のゼクスティーナへ向けられる視線は凄かった。

 中には偶然を装ってその身体に触れようとする者まで現れた。

 アタイはそいつの腕を掴み、水の魔術と『状態変化』の複合技『アイスショット』を放ち、その腕を凍らせた。



「おい、何勝手にアタイの()()()隷獣ペット”に触れようとしてんだ?」


「ひっ、ひぇっ…!?」


「今度やったら、その血液を沸騰させるからな?」


「すっ、すいませんでしたっ!!」

 


 男は血相を変えて逃げていった。



「ふんっ、忌々しい…」


「…お、お礼なんて言わないからね?」



 ゼクスティーナがアタイと視線を合わせずにそんなことを言った。



「お礼?何のことだ?」


「そ、それは、私をか、かばって…、」


「別に、礼を言われたくてしたわけじゃない。

 ただ、お前はアタイの()()()隷獣ペット”だ、大切なものを守るのに理由なんていらんだろう?」


「そ、そう…」



 ゼクスティーナは相変わらずアタイと視線を合わせようとしないが、心なしか先程よりアタイに近い場所に立っているような気がする。

 まぁ、何処の馬の骨とも分からん奴に裸は見られたくないだろうから、アタイのマントを盾にでもしようというのだろう。

 アタイとしては自慢の“隷獣ペット”の美しい裸身を大いに自慢したいところなのだが、触れるのだけは許さん。

 汚い男の手に触れてアタイの可愛い()の身体が汚れでもしたら…、



「…ん?()だと…?」



 …何故、アタイは今コイツを見て、()だなんて思ったんだ……?

 違う、コイツは()なんかじゃない、ただの“隷獣ペット”だ!

 ヨウイチ(サウ)レイブン(ツキヨ)に復讐するための駒でしかない!

 アタイにとっての家族はイシスとイリスだけ…、いや、それも違う!

 アイツらだってアタイにとっては…、



「どうかしたの?」



 不意にアタイの方へと視線を向けてきたゼクスティーナ。

 その可愛いらしい表情と、美しい肢体に、思わずアタイの心臓がドクン!と跳ねた。

 今すぐコイツを抱き締めたい…っ!

 そんな衝動に思わず駆られたが、なんとか理性で抑え込み、今度はアタイの方から視線をそらした。



「いっ、いや、何でもないっ!」


「…そう?」


「と、とりあえずだ!

 この施設に海底研究所から持ち帰ったデータなんかを移植するぞ!

 それからイシスとフォティスは、我らの寝所を整えよ!」


「了解です、フォルス様」


「はいニャ!」



 これ以上ゼクスティーナのことを考えていると思考が変な方向に入ってしまう…

 アタイはこの研究施設の改造に着手し、無理矢理思考を変えることにした。


 その時、イシスがボソッと何かつぶやいた。



「……イーディスちゃん、少しだけ、昔に戻ってきてる…?」


「ん、イシス、何か言ったか?」



 だが、距離もあって一人言のような呟きだったので、何を言ったのかよく聞き取れなかった。

 


「んニャ、ニャんでもニャいのニャ♪」


「…そうか?」



 そうして地下施設の改造は二日程かけて完了した。




*


 地下施設改造後、戦力が整うまでのしばらくの間、ジョウゴは繋がりがあるというヤクザの組、“ハットリ組”と秘かに連絡を取り合い、奴らが生産している“ポーション”の元となる薬草と引き換えに護衛用の超能力者を数人渡したりして、“新人類教”の再活動のための準備をしていた。


 一方のアタイ達は…



「ん…、あ……んっ♪フォ、フォルス様ぁ…ん♪」


「ふふ、フォティスはここが気持ちいいんだな…♪」


「はい…、中……、とても気持ちいい…、です…っ♪」


「全く、指三本でこれだけイキがるなんて…、本物を挿入()れたらどうなることやら…♪」


「んっ、はぁああああああっ!?!?」


「フォ、フォティス…」


「ニャはは、お預け食らってるイザヨイちゃんの()()、すっかりトロトロのヌレヌレだニャ♪」


「あっ、ふぁ…っ!?イ、イシス、さんっ…、急にふ、触れないで…っ!?」


「そんニャこと言って、イザヨイちゃんも早くイーディスちゃんに弄って貰いたいんでしょ?」


「そっ、そんなことは…っ、はぁん♪」


「ニャはは、乳首もビンビンだニャ♪

 おマ◯コはイーディスちゃん専用だから、おっぱいはウチが貰うからニャ♪」


「んん…っ!や、やめ…、てっ…!」



 アタイ達四人はボンテージ服のまま、ほぼ裸の状態で絡み合っていた。

 とは言え、“隷獣ペット”であるゼクスティーナだけは、X字のはりつけ台に両手両足をXの字にして固定した状態だ。

 今、アタイはフォティスの秘部を指で愛撫しており、イシスがはりつけにされたゼクスティーナの乳首を指や舌を使って愛撫している。


 コイツらはアタイの大切な駒だからな、いざという時にしっかりとポテンシャルを発揮してもらわねばならない。

 そのためにもしっかりとした管理が必要で、当然その中には性欲処理も含まれる。

 残念ながら、アタイ達は皆女なので、直接挿入()れることは出来ないし、仮に男のモノがあったとしても、コイツらの処女をアタイが奪う気はないし、他の誰にも奪わせる気はない。

 それだけは、絶対にしたくない、アタイみたいな思いは、させたくない…

 せめて、コイツらの初めては好きな男に…、

 


「…いや、アタイは何を考えているんだ。

 好きな男に、などと…」


「…フォルス様?いかがなさいましたか?」


「いや、何でもない。

 また、柄にもないことを考えてしまったなと思っただけだ…」



 そうだ、これらの行為はあくまで管理という名目でアタイが楽しみたいだけだ!

 アタイがコイツらと愛し合いたいだけで、決して…、



「待て待て!そもそもアタイがコイツらと愛し合いたいだって!?

 そんなハズがないっ!!アタイがコイツら家族と……、っ!?」


「イーディスちゃん…?」


「フォルス様?」


「イーディス、様……」



 待て待て待て!

 本当にアタイはどうしたんだ!?

 この身体に転生してからどうにもおかしい…!

 気付けば、アタイはコイツらのことを………、



「あの、イーディスちゃん、」


「……すまん、イシス、アタイは先に休む。

 明日は、新たな()を作るために早く起きるから、そのつもりで………」


「え、あ、うん……、お休みニャ…」



 アタイは、いつの間にかコイツら(姉妹達)のことを、愛してしまっていた………




*


 イーディスちゃんが自分の寝室に戻って行ったので、ウチらの日課はそこで終了となった。

 ニャ~、今日ウチはイーディスちゃんから愛撫されてニャいからおマタが疼いてたまらニャいのニャ…


 だけど、イーディスちゃんの変化に期待感を抱いていた。



「えっと…、あの……」



 と、はりつけ台に固定されたままのイザヨイちゃんがウチに話しかけてきた。



「何ニャ?ひょっとしてイザヨイちゃんもおマ◯コお預け食らったから疼いて仕方ないのニャ?」


「ちっ、違っ…、ゎないけど……、でも!今はそっちじゃなくて!」


「分かってるニャ、今すぐ下ろしてあげるのニャ」



 イザヨイちゃんをはりつけてたのは、そういうプレイを楽しむためで、ゼロみたいにずっとそのままにして観賞するためじゃないから、プレイが終わるといつもイーディスちゃんが下ろして、一緒にお風呂に入ってそのまま寝室に行くのが日課になってたのニャ。

 だけど、今日は先にイーディスちゃんが部屋に戻っちゃったからイザヨイちゃんがそのまま放置された状態になっちゃったんだよね。



「いや、えっと…、それもそうだけど…、彼女、イーディスの様子がおかしくない?」


「……まぁ、イザヨイちゃんも気付くよね~」



 ウチはイザヨイちゃんをはりつけ台から下ろしながら、イーディスちゃんの()()()()()を話すかどうか悩んでいた。



「ねぇ、イシス、今のイーディスと、私達の知る“死神デス”は、どっちが本当のイーディスなの?」


「……それ、は…」



 イザヨイちゃんの真剣な眼差しに、ウチは()()()()()を打ち明けることに決めたのニャ。

 と、その前に、



「フォティスちゃんの洗脳も一時的に解除するニャ」



 ウチは、フォティスちゃんの脳に寄生させて、記憶の一時消去と洗脳を行っている“ナノロボット”を一時的に停止させた。



「……はっ!?ぼ、ぼくは一体…?」


「ねぇ君、自分のことと、それからウチらのことが分かるかニャ?」


「え、っと…、ぼくの名はカリナで…、あ、いや、今はこの身体に転生しているからフォティス、か…

 それから、あなたはサティス様で、それから君はゼクスティーナ」


「君の前世の姉妹達のことは?」


「前世の姉妹…、それは、アリナお姉ちゃんとサリナちゃん…、だけど……」


「今までのことは、覚えてる?」


「…うん、ぼくはこの身体に転生して、それから、何故か君やフォルス様に従わなきゃいけない気がしてて、さっきまで……、うぅ、恥ずかしい……」


「え!?フォティス…、いえ、カリナには洗脳されてた時の記憶があるの!?」


「うん、ウチの“ナノロボット”で一時的に封じてるのは前世の記憶だけで、それ以外の転生してからの記憶は当然脳に記憶されてるのニャ」


「ねぇ、サティス様、何故今ぼくの洗脳を解除したの?

 ぼくが反乱を起こして君を殺すかもしれないなんてことは考えなかったの?」


「その時はその時だと思ってたのニャ、ウチは、いやウチ達はそれくらい酷いことを、君達の姉妹にこれからしようとしているんだし」


「まぁ、このままぼくが記憶を忘れたままだと、ぼくは転生したアリナお姉ちゃんとサリナちゃんと戦わなきゃいけないわけだしね……」


「逆に、何故フォティスちゃんは今ここでウチを殺さないのニャ?」


「…よく、分からない……

 でも、少なくともこんなことされても、ぼくは君達を憎む気持ちがないんだよね……」


「それは、私もそうかも…

 イーディスに“隷獣”契約させられたり、裸に首輪だけで“新人類教”の教徒達の前に立たされたり、はりつけにされて気持ちいい…、じゃなくて、変なことされたりして嫌なハズなのに、それに、前世でも散々殺し合いをしてきた敵同士のハズなのに、

 でも、今はイーディスのことを、心の底から憎むことが出来ない…、むしろ、愛しい気持ちも、あったりして……」



 それは、きっとウチ達が遺伝子的な繋がりを持った姉妹だから…

 うん、ウチの判断は正しかった。

 この子達なら、きっとイーディスちゃんを……!



「二人に、聞いて欲しいことがあるのニャ。

 そのために、フォティスちゃんの記憶を一時的に回復させて、元の()()()ちゃんとしての状態に戻したのニャ」


「それは、話が終わればまた記憶を封じる、ってこと?」


「…うん。心苦しいけど、今はまだ、イーディスちゃんがそれを望んでるから……」


「分かった、サティス様のことは信用してるから、だからそんなに気にしないで、ね?」


「うん…、ありがとニャ、カリナちゃん…」


「それで、話したいことって言うのは、さっきの私の質問の…?」


「そうニャ。

 イザヨイちゃん達の知る“死神デス”も、ウチ達姉妹のことを愛して、こんな風にエッチな意地悪をして可愛がってくれるイーディスちゃんも、本当のイーディスちゃんなのニャ。

 変なのは、フォルスに転生した状態の、ヨウイチちゃん達を憎むイーディスちゃんなのニャ」


「それは、どういうこと?」


「イーディスちゃんは前世で、政府から戦争犯罪人としてスケープゴートにされて処刑されてから、怒りと憎しみと悲しみで記憶がぐちゃぐちゃになり、本当に憎むべき相手が分からなくなっちゃってるだけなのニャ」


「本当に憎むべき相手…、それは…」


「うん、だから君達に酷い仕打ちをしていて、図々しいことだってのは分かってるのニャ。

 だけど、ウチの言葉だけでは届かないから、だから、君達にも手を貸して欲しいのニャ」



 そこでウチは二人に向かって土下座をした。



「どうか、イーディスちゃんを助けて欲しいのニャっ!!」

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