第0話
「じゃあ、ドラインの新しい名前はミライ、藤原心望だ」
その日、兄さまに新しい名前を付けてもらってから、ボクの第二の、いや第三の人生が始まった。
ボクの名前は藤原心望、前世ではミラ・ターナーという精霊術師で、転生してからはクローンサイボーグNo.3のドラインと呼ばれていた。
前世だとか精霊術師だとかクローンサイボーグだとかいきなり濃いワードが大量に出て来て混乱する読者もいるだろうから軽くボク達のことを紹介しておこうと思う。
とはいえ、どこから説明していいものか…
まず、ボク達には多くの“姉妹”がいて、皆一人の男性を愛している。
その男性というのが“藤原陽一”という人で、ボクの“兄さま”になる。
つまり、ボクら“姉妹”は“兄”もしくは“弟”となる一人の男性を愛しているブラコンということになるのだが、この辺りにもいくつかややこしい経緯がある。
まず、多くの“姉妹”は陽一さんと現世での血の繋がりはなく、前世において“兄妹”、もしくは“姉弟”だった人達で、前世では血の繋がりの関係から結ばれなかった彼女達が、生まれ変わって晴れて結ばれることが出来るようになった人達なのだ。
では、ボクもそうした前世で結ばれなかった“姉妹”の一人なのかと言うとそうではなく、ボクは純粋に前世の彼に恋をし、転生してきてから新しく“姉妹”となった女の子達四人の内の一人なのだ。
その四人と言うのが、陽一さんの前世の妹のクローンということになる。
陽一さんの前世の妹、マコト姉さまとモトカ姉さまは、とある事情からコールドスリープして、130年後の世界にて目を覚ました。
ボク達は、その二人の遺伝子サンプルを基に作られたクローンであり、サイボーグ兵器、というわけだ。
だから厳密には現世の兄さまとは血の繋がりはない赤の他人で、前世の妹の遺伝子上の妹と言うのが正しいのだが、シスコンの兄さま的には全員まとめて“姉妹”ということで、ボクも恥ずかしながら“妹”を名乗らせてもらっている。
まぁ、兄さまに愛して貰えるのなら何だって構わないし、前世で一人っ子だったボクとしてはたくさんのカワイイ姉妹達が出来たこともすごく嬉しいしね。
さて、ある程度ボク達と兄さまの関係を説明したところで、次はボク達クローンサイボーグ家族のことを話そうか。
より詳しく知りたい人は本編小説の方を読んでね♪(宣伝)
ボク達、クローンサイボーグ家族は現在六人いる。
まず長女の藤原舞香、マイカ姉さま。
マイカ姉さまは19歳で、スリーサイズは上から92-61-89のワガママボディの超天才美少女だ。
前世では超天才科学者だった兄さまの助手をしており、マコト姉さまやモトカ姉さまをコールドスリープさせた張本人でもある。
また、クローンの中でも唯一完全な身体をもって生まれてきたこたから、サイボーグとしての改造を受けていない、純粋なクローン個体なのだ。
兄さまのことは“ヨウ君”と呼んでいる。
次に三女のボク、藤原心望、ミライで兄さまと同じ16歳、スリーサイズは84-54-84。
前世では兄さまの相棒として、この世界とは違うパラレルワールドで“雷の精霊術師”として、パラレルワールドの征服を企む魔人達と戦っていた。
現世では、不完全なクローン個体として、一部をサイボーグ化、一部の内臓をクローン双子の妹から移植されるという形で生まれたサイボーグだ。
そして四女がボクのクローン双子の妹、藤原望心、モモコちゃんで16歳、スリーサイズは87-53-87、口数の少ないクール系な妹だ。
前世では兄さまの幼馴染みで、“雷の魔術師”、つまりは魔人として、悪い魔人達を相手に戦って兄さまを庇って死んでしまったらしい。
現世では、その肉体のほとんどを“バイオヴァリアブルメタル”という生体ナノマシンで改造されており、そのせいか、“バイオヴァリアブルメタル”が魔人の魂に共鳴して、前世の頃の角と尻尾と翼が生えてしまった(翼だけは自在に出し入れ可能)サイボーグ。
次に長男の藤原睦月、ムツキ君は15歳で、女の子のような顔立ちの美少年。
彼には前世としての記憶がなく、純粋なクローンサイボーグとして生まれてきた個体だ。
そして五女の藤原明子、メイコちゃんは14歳でスリーサイズは82-53-83という年の割にナイスボディで、おまけに元気で明るいムードメーカー的妹。
前世では【炎帝石の戦乙女】として、“侵略宇宙機械生命体”という侵略宇宙生物と戦っていたらしい。
現世では、モモコちゃんと同様に、ほとんどの内臓を“バイオヴァリアブルメタル”で作られたサイボーグだ。
そしてもう一人、次女である藤原菜々香、ナナカ姉さまは、肉体年齢17歳でスリーサイズは84-52-86。
ナナカ姉さまは、クローン個体として生み出されたが、魂の宿らなかった個体だった。
しかし、動かないその身体を有効活用させようと、脳にAIチップを仕込み、アンドロイド型サイボーグ兵器として改造されたのだ。
当初は悪いヤツの操り人形として意思を持たない兵器だったが、色々あって完全自立型アンドロイドサイボーグとして蘇り、兄さまに恋をした新しい“姉妹”として、ボク達の家族となった。
ここまでが、簡単なボクたちクローンサイボーグ家族の説明だ。
何度も言うけど、詳しい経緯なんかは本編小説の方を読んで確認してね♪(宣伝)
ここからは、ボク達クローンサイボーグ家族の新たな物語。
兄さま達とは別の道を辿ると決めたボク達の運命の物語だ。