01 勇者登場?
すみません。ジャンルを修正しました。
恋愛要素も有りますが、メインではありませんm(._.)m
ここは、我々の世界の、すぐ隣にある世界『オヨナ』。
所謂、異世界とも言われている所。
豊かな自然と、不思議な力に満ちた世界。
人間と魔物。剣と魔法の世界。
文明レベルは中世くらいの、その世界で、人間と魔物は、それぞれに王を立てて争っていた。
魔物は人間を襲い、人間は魔物の縄張りを侵略していた。
魔物との争いで、人間の数は増える事もなく、ほぼ一定数を保っている。
人間同士が争っていない点で言えば、これはこれで、平和なのかも知れないが。
◆◆◆◆◆
そんな世界の、人間領側の辺境地に、一人の若者がやって来た。
彼の生れ育った地域は、もっと中央寄りなのだが、彼は一つの目的の為に、この辺境へとやって来ていた。
「ここで、安全に経験値を稼いで、レベル上げをしなくちゃな!」
腰に剣を下げ、魔物の領域に近い町を、ウロウロとしてる彼の名は『アキラ』と言った。
彼がウロウロとしていた理由は、援軍や救助がくる環境で、魔物と戦いたかったからだ。
魔物の領域に入って戦うには、アキラの力は、いまだに脆弱だった。
そして、脆弱な奴を、誰も仲間にしてはくれない。
仲間になる為には、何らかのメリットか実力を自力でつけなくてはならない様だった。
「魔物が侵入してくる事も、確かにあるらしいから、気長に待つしか無いのか?」
そう呟いて、アキラは懐の路銀を確認した。
生まれてから一流の冒険者を目指して17年間。
家業の商人以外にも働いて貯めた金に、両親からの餞別も有ったが、冒険者ギルドへの仮登録料と、数か月の生活費で、今にも底をつきそうだ。
「こんな筈じゃあ無いんだけどなぁ~」
アキラは項垂れ、溜め息をついて、今までの事を思い出した。
この世界で生まれた彼には理解に苦しむ事が幾つか有った。
一つは名前。
父の名は『ウマル』でアラブ系。母の名は『アリスカ』でロシア系。息子の彼は『アキラ』で日系だ。
外観は白人系に統一されているが、なぜだか名前の国籍がバラバラ。
そして、『アキラ』と言う名前が、彼の前世の名前と同じだと言う事。
そう。彼は転生者。
癌になって日本の病院に入院していた日本人男性。鈴置晃65歳。
ある日、目覚めたら、赤ん坊になって見知らぬ男女に抱き抱えられていた。
彼は、入院中に孫が忘れていった小説を読んでいたので、この状況に見当がついた。
『これは、今、流行の異世界転生と言う奴ではないか?』
状況は合っていた。
前世/おそらくは、癌で死んだのだろう/の記憶はある。
中世の世界で、人間と魔物が剣と魔法で戦っているらしい。
更に魔王と冒険者が居ると聞いていた。
加えて、異世界ゲームの様に、周りの人間には、名前を示す『タグ』が付いている事。
「この環境で、異世界転生したら、『勇者』しかないだろう?」
理解できない二つ目が、これだけ揃っていて、彼には何の特殊能力も無いと言う点だ。
小説の他にもテレビやネット小説で調べたが、転移者や転生者には定番の能力だ。
冒険者ギルドで聞いた話では、その様な特殊能力を持った人間は存在せず、皆が武装と人数を揃えて、罠や戦術で戦っているらしい。
「なんで、レベルもスキルも、特殊アイテムも無いんだ?」
だが、アキラは諦めなかった。
「主人公の勇者だけの、特殊能力が有っても発現しないのは、レベル0(ゼロ)が原因かも知れない。まずは、何かを倒してレベルが上がるのを確認してからだ」
そう。その為に、アキラは傍らの高い壁を見ながら、倒せる魔物を探してアンパンを口にする。
三つ目の理解出来ない点が、文化だ。
前世の文化が、当たり前の様に存在する。
絵画、食文化、印刷技術など多岐にわたる。
但し、電気を必要とする文化だけは、なぜか存在しない。
勿論、点火プラグを必要とするエンジン関係も無い。
まるでアキラの様な転生者が多数居る様な状態だが、その辺りは確認していない。
下手に話題に出せば、自分自身が転生者である事を知られてしまい、メリットが減るからだ。
転生者でない者には、有って当然の文化なのだろうから。
人間の領域と魔物の領域の間には、荒野が広がり、その荒野と民家の間には、高い壁が聳え立っていた。
魔物は時折、その壁を突き破ったり、乗り越えてやって来るのだと言う。
人間側も、農耕地を広げる目的で、壁の外へ出掛ける事がある。
そこに新たな壁を築き領域を広げて、より安定した生活を求めていたのだ。
「仕方が無い。金も尽きるし、一時的に帰るか?」
アキラが迷って、そう口にした時、近くの通りで何かが壊れる轟音がした。
「事故か?」
壁から幾分か離れた場所から、土煙が立っている。
善意で駆けつけようと走ったアキラの目の前に現れたのは、身の丈3メートル近くある二足歩行の牛。
「魔獣?どうして、こんな街中に?」
兎に角と、剣に手を掛けて戦おうとしたアキラだったが、剣を抜くより早く、腹部に衝撃と痛みを感じて、気を失った。
当初は不定期に更新予定
実は、全ての答えが、この一話に隠されています。
後々、見直して下さい。